▲当記事は、中古車情報誌『カーセンサー』の連載『CERC』のスピンオフバージョンである。カーセンサー本誌に収録しきれなかった話題を、同連載の語り手である本誌デスク本人が赤裸々に綴る。ちなみにCERCとはCarsensor Editors Racing Club(カーセンサー・エディターズ・レーシング・クラブ)の略。(筆者プロフィールは記事末尾参照) ▲当記事は、中古車情報誌『カーセンサー』の連載『CERC』のスピンオフバージョンである。カーセンサー本誌に収録しきれなかった話題を、同連載の語り手である本誌デスク本人が赤裸々に綴る。ちなみにCERCとはCarsensor Editors Racing Club(カーセンサー・エディターズ・レーシング・クラブ)の略。(筆者プロフィールは記事末尾参照)

2代目ロードスター購入の経緯

初っぱなから挑発的な見出しを付けてしまった無礼を、どうか許してほしい。鼻持ちならない自慢話に聞こえてしまったら、それはもう、申し訳ない。ただ、今回の私的な中古車購入を振り返るにつけ、「完全勝利」としか言いようがないくらい、大成功だったのだからしかたない。その経験を読者の皆さんに還元できないかと思案した結果が、挑発的にも取れる見出しになったわけだ。

今回、私が購入したマツダ ロードスター(2代目)のNR-Aは、当時のカタログによると「1.6L車をベースにサーキット走行に対応するポテンシャルを確保したスペシャルモデル」とある。そして「ターゲットはJAF公認のワンメイクレース(NR-Aカテゴリー)。登録ナンバープレート付のNR-Aに安全装備を装着するだけで参加できるなど、気軽におしゃれに楽しめる『パーティレース』だ(原文ママ)」と続く。要するに、一手間加えれば、直ぐにサーキット走行&レースを楽しめる競技ベース車両である。

▲購入したH15年式のNR-A。プライスボードの金額は車両本体価格。これに諸費用を加えた総額は75万円也。埼玉県東松山市にあるコクボ自動車販売にて購入 ▲購入したH15年式のNR-A。プライスボードの金額は車両本体価格。これに諸費用を加えた総額は75万円也。埼玉県東松山市にあるコクボ自動車販売にて購入

予想外の落とし穴

本題に入ろう。なぜ、私は中古車選びで失敗しなかったのか。このテーマを成立させるには、失敗する確率が高いタイトロープな状況が前提として必要だ。今回のNR-A購入には、2つの側面で、失敗への落とし穴が待っていた。ひとつは「中古車市場の動向」。もうひとつは「予算&条件設定」だ。

まず、「予算&設定条件」。購入を思い立ったのは昨年9月のこと。設定した検索条件は、「ロードスター」「2代目」「NR-A」「総額表示」の4つのキーワード。これに「予算50万円前後で狙える」「チューニングが施されていないノーマル車」の2点を加えていた。条件と呼べるほどたいそうなものではない。まるで底抜けのザルのごとき(大抵は該当する)条件だ。

ところが、それに「中古車市場の動向」が加わったからややこしい。探し始めた当初から2代目ロードスターのNR-Aの流通量は少なく、相場も週替わりで上昇する様相を呈していた。「どうせサーキットでギャンギャン走るのだから、年式とか走行距離とか修復歴とかは気にしない」と心に決めていたものの、予算50万円で買える物件自体がない。あれこれ比較して選ぼうとすれば、当初の予算の2倍(100万円)は必要だったのだ。

普通は見送る悪球が、これ以上ないホームランボールに!?

どうやって私はこれら落とし穴をクリアしたのか。作戦は至ってシンプル。とにかく「観察」すること。荒れ模様のNR-A市場だったが、ほぼ毎日カーセンサーnetで観察していると、そのスピードやトリッキーな球筋に目が慣れてくるのだ。「打球が止まって見える」に近い感覚か。

購入した物件は、いわゆる“ワケあり車”だ。以下、ワケを列挙してみよう。

・低年式=H15年式ゆえ、初度登録から13年経過している
・修復歴あり=検討段階ではその程度&状態は明らかではなかった
・総額75万円は掲載当時、ほぼ最安値=安い車には(概ね)ワケがある


まあ、普通は見送る球だ。完璧にストライクゾーンから外れている。だが、打撃の神様こと川上哲治(古い!)ばりに錬磨されていた私の中古車選球眼には

・完璧なノーマル車
・カーセンサーnetに出ていた内装の写真が他車より格段に綺麗
・総額75万円なら、ギリギリ許容できる予算アップ圏内


と、これ以上ないホームランボールに映ったのだ。今、冷静に振り返ると、この物件をカーセンサーnetで見つけたときに、私の成功は決まってたのだと思う。こうして、私の中古車購入は大成功という結末を向かえるワケだが、その模様はぜひ、カーセンサー本誌4月号の連載『CERC』をご覧いただきたい。

選球眼を錬磨するのは難しくない

ことほど左様に、タイトロープな中古車選びはエキサイティングな経験である。もっと楽に中古車を選びたいのなら、たんまり予算を用意し、私が踏み込んだ“ワケあり”&“最安値”のフィールドを避けることをオススメする。だがもし、よんどころのない事情でそれが叶わないのであれば、選球眼を錬磨するしかないだろう。なに、それほど難しい話ではない。日々カーセンサーnetを見ていれば、必ずや、球が止まって見えるようになるはずなのだから。

なお、私が購入したNR-Aのような「一手間加えれば、直ぐにサーキット走行&レースを楽しめる競技ベース車両」としてオススメの中古車もセレクトしてみた。こちらもチェック!

▲ノーマルと言えども、そこは競技ベース車両。ENKEIの15インチアルミホイールやビルシュタイン製ダンパー、大径ブレーキなどなど、スポーツ走行向きのパーツを標準装備する ▲ノーマルと言えども、そこは競技ベース車両。ENKEIの15インチアルミホイールやビルシュタイン製ダンパー、大径ブレーキなどなど、スポーツ走行向きのパーツを標準装備する
▲白いボディに赤シートが映える ▲白いボディに赤シートが映える
▲現行型ロードスター(右)とパチリ。見た目や乗り味の料理法にはさすがに隔世の感はあるが、車を操る感覚は驚くほど通底するところがある ▲現行型ロードスター(右)とパチリ。見た目や乗り味の料理法にはさすがに隔世の感はあるが、車を操る感覚は驚くほど通底するところがある
text・photo/編集部 中野
1970年生まれ。群馬県在住の編集・ライター。カーセンサー本誌の編集デスク担当。
2015年9月に参加したメディア対抗ロードスター4時間耐久レースでの惨憺たる結果から一念発起。
運転技術を磨くべく、マツダ ロードスター(2代目)のNR-Aを購入した。