▲パッと見て福祉車両とわかる車はイヤだったというMさん。「この車は外見では福祉車両とわかりません。一方で、スロープが軽くて出し入れがしやすく、電動ウインチが備わっていて車いすの乗降も簡単です」 ▲パッと見て福祉車両とわかる車はイヤだったというMさん。「この車は外見では福祉車両とわかりません。一方で、スロープが軽くて出し入れがしやすく、電動ウインチが備わっていて車いすの乗降も簡単です」

車いすで生活する母親のために、福祉車両の購入を決意した神奈川県のMさん。とはいえ、Mさんは車で走るのも大好き。どのようにして福祉車両を選んだのだろうか。

回転&昇降シート車では狭い駐車場に苦しんだ

Mさんの母親が倒れたのは約8年前。医者から母は車いすの生活になると告げられた。すぐに福祉車両に詳しい知人に相談し、スバル レガシィツーリングワゴンの回転&昇降シート車を購入。「もともと走って楽しい車が好きなんです。それに、いかにも福祉車両然としている車はイヤでした」とMさんは語る。

以降、月2回程度、母を通院させる生活が1年半ほど続いた。しかし、回転&昇降シート車はドアを大きく開けるため、助手席側に大きなスペースが必要だったのだが、病院の駐車場が狭く、ほとんど使えなかったのだ。

母の体力の衰えが進み車いす仕様車を選ぶことに

そこで、今度は自分の好きな車を選ぶことに割り切って、スバル インプレッサ WRX STi R205、同WRX STi S206をそれぞれ1年半ほど乗り継いだ。シートは回転&昇降しないが、慣れたせいもあるのか、車いすからの移乗はなんとかこなせた。けれども、ずっと車いす生活を続けていた母の体力の低下は、想像以上に早かった。

「母はもう何かに掴まれば立てる、という状態ではなくなりました。これはもう移乗させるのはムリだなと思ったんです」

こうしてMさんは病院の駐車場にも駐めやすい軽自動車で、車いすから移乗する必要のない車いす仕様車、かつ福祉車両に見えない車を探し始めた。

車いす仕様車キットの活用で欲しい車を手に入れた

ほどなく候補に挙がったのがN-BOX+の車いす仕様車。とはいえターボ車の設定がなく、試乗してみると、どうしても走りに満足がいかなかった。

ところがターボ車に車いす仕様車キットを備えれば、車いす仕様車として利用できると知った。「R205やS206に乗っていた私でも、このターボ車なら十分満足いく加速感がありました」。見た目や装備もこだわり抜き、手に入れたのが現在の愛車だ。

通院の他にも、Mさんは健康的だけど味の薄い食事ばかりになる母を、例えば「夏だしウナギを食べに行こうか」と、月に2回ほど食事に連れ出す。また、友達ともアクアラインを使って千葉県の高滝湖まで毎月2回は趣味の釣りに行ったり、買い物でも広いラゲージを活用したりしている。

様々なシーンで活躍してくれているN-BOX+に、Mさんは「ホントに、ひとつも文句の付けようのない良い車です」と満足げだった。

▲愛車はN-BOX+カスタム G ターボAパッケージの2トーンカラースタイル。これに車いす仕様車キットを装着した。ブラックルーフとブラックのアルミホイールは標準装備。「カッコいいのがまず気に入りました」とMさん ▲愛車はN-BOX+カスタム G ターボAパッケージの2トーンカラースタイル。これに車いす仕様車キットを装着した。ブラックルーフとブラックのアルミホイールは標準装備。「カッコいいのがまず気に入りました」とMさん
▲オプションで備えたのはカーナビとETCくらい。本革巻きステアリングや、レッドメタリックのエアコンアウトレットリングは標準装備だった。「欲しいものが標準装備なので助かります」 ▲オプションで備えたのはカーナビとETCくらい。本革巻きステアリングや、レッドメタリックのエアコンアウトレットリングは標準装備だった。「欲しいものが標準装備なので助かります」
▲車いすを載せない時は、このようにスロープをボード下に収めることができる。2m10cmあるという愛用の釣り竿が収まる点もMさんのお気に入りのポイント。普段の買い物の際も、荷物がたくさん載せられて便利だという ▲車いすを載せない時は、このようにスロープをボード下に収めることができる。2m10cmあるという愛用の釣り竿が収まる点もMさんのお気に入りのポイント。普段の買い物の際も、荷物がたくさん載せられて便利だという
text/ぴえいる