▲ふだん活躍する場面の少ない車載工具だが、災害時に活用できるかもしれない! ▲ふだん活躍する場面の少ない車載工具だが、災害時に活用できるかもしれない!

車好きでヨカッタ、と思える時がいつか来る?

異常気象が当たり前に感じる昨今、いつ巻き込まれてもおかしくない自然災害。イザって事態に備えて防災用品を用意している方も多いでしょうが、実は身近なところに、災害時に役立つツールの宝庫があるのです!

お察しのとおり、それは車。緊急時などに一時的に雨風がしのげる…ってだけじゃありません。今回は「車+カー用品」が災害時、こんなに頼もしい!という話をしましょう。

ちなみに東日本大震災では、被災地全域で電気が完全復旧するまでに約3ヵ月もかかったそうです。携帯電話を持っていても充電が切れて使えない…という事態になるのは必至です。そんな状況で活躍するのが車のシガーソケット。一般的な車では、家電などを使うことは無理ですが、携帯電話を充電するぐらいなら問題なし。それだけでも恩恵は絶大ですよね。万が一に備えてシガーソケットから携帯電話に充電できるチャージャーやAC/DC変換器を用意しておいても損はありません。

▲シガーソケットから携帯電話に充電できるチャージャー。車の直流電流を家庭用と同じ交流に変換するAC/DC変換器もあると、なお便利! ▲シガーソケットから携帯電話に充電できるチャージャー。車の直流電流を家庭用と同じ交流に変換するAC/DC変換器もあると、なお便利!

次は主にタイヤ交換の時しか出番のない車載ジャッキ。家屋の倒壊が多く発生した阪神淡路大震災では、車用のジャッキが人命救助に役立つ事例がたくさんあったそう。重い柱などの下敷きになった人を助ける際にジャッキで隙間を広げることで、実際に多くの被災者の救出に成功したそうです。

▲一般的な純正車載ジャッキでも頼りにはなりますが、許容荷重に余裕のある社外品の油圧ジャッキであれば、普段の整備がスピーディになるだけでなく、緊急時にも大いに活用できる可能性大 ▲一般的な純正車載ジャッキでも頼りにはなりますが、許容荷重に余裕のある社外品の油圧ジャッキであれば、普段の整備がスピーディになるだけでなく、緊急時にも大いに活用できる可能性大

ただし純正のパンタグラフジャッキは必要最低限のスペックなので、車以外に使用するとグニャッと壊れてしまいがち。できればスペックに余裕のある社外品の油圧ジャッキを用意したいところです。

また、固定電話も携帯電話も通じない! という緊急時の通信手段として期待できるのが「無線」。電話と違って通信会社などのサービスを必要とせず、自力で交信できるのですから無敵です。

▲最近はあまり見なくなった車用のアマチュア無線。しかし災害時の通信手段としては現在でも最強だ ▲最近はあまり見なくなった車用のアマチュア無線。しかし災害時の通信手段としては現在でも最強だ

ただし無線を使うには免許が必要。最もカンタンな「アマチュア無線4級」で交信できる範囲はせいぜい数10kmですが、災害時の救援要請や消防要請を出せる恩恵は計り知れません。

…とはいえ、最近は自家用車にアマチュア無線を装備している方、免許を持っている方はほとんどいませんよね。トラックやタクシーなどの職業ドライバーは無線を使っている方が多いので、どうしても、という緊急時にはそういった車両を探して交信を頼むという方法が現実的でしょうか。

最後は、エマージェンシーな場合のテクニック。避難した場所で火が必要、だけどマッチやライターは持ってない…そんな時、アナタならどうします? そんな緊急時には、バッテリーのスパークを利用するという手があります。

▲バッテリー上がりのトラブルは意外と多い。持っているとイザという時に便利です ▲バッテリー上がりのトラブルは意外と多い。持っているとイザという時に便利です

まず、電装品のショートを防ぐためにバッテリーの端子につないであるコードをすべて外します。次にバッテリーにジャンプコードをつないで、プラスとマイナスのクリップを接触させるのです。

ジャングルや砂漠で遭難した時のテクニックとして有用ですが、着火しやすいものの近くでなくてはなかなか上手くいきません。またジャンプコードをバッテリーにつないだら、金属部分を絶対に手で触らないように! あくまで他に手段がない、でも火を点けなければ生命に関わる緊急時のみの手段です。

このように、実は車の中には災害時に活用できるツールがいっぱい。特に電力が確保できるというのは大きいです。でも使い慣れていなければ、道具があっても宝の持ち腐れになりかねません。普段から愛車の整備に挑戦していると、イザって時に役立つかもですよ!

text/田端邦彦