最近耳にするようになってきた「オールシーズンタイヤ」ってどうなんだろう??(夏~秋編)
2017/10/01
聞いたことはあるけれど、どんなタイヤかはよくわからないオールシーズンタイヤ。サマータイヤでもなくスタッドレスタイヤでもないというが、いったいどういう用途に向いているのか……。実際に装着して試してみたので、気になっている人はぜひ参考にしてほしい。
オールシーズンタイヤに関する長年の疑問
念願かなって前々から気になっていたタイヤを自分の車に装着し、約1400kmを走行した。そのタイヤとはグッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクター 4シーズンズ ハイブリッド」。ざっくり言うと、夏用(ノーマル)タイヤと冬用(スタッドレス)タイヤの中間に位置するというか、いいとこ取りというか、その名のとおり、春夏秋冬すべての季節に対応するというふれこみのタイヤだ。
オールシーズンタイヤは日本ではあまり流通していないが、北米や欧州では新車装着タイヤとしてもメジャーな存在だという。しかし、そんなに都合のいいタイヤがあるのに、どうして日本の多くのユーザーはオールシーズンタイヤを選ばず、コストと手間をかけて夏用と冬用をせっせと使い分けているのだろうか……。そのような疑問を持っていた。
そんな中、グッドイヤーがオールシーズンタイヤを日本国内で本格展開し始めたため、長年モヤッと抱き続けていたその疑問に決着をつけるべく、まずは自分の車(ボルボ V40)に装着してテストすることにした。
ベクター 4シーズンズ ハイブリッドとはどんなタイヤ?
今回試乗したベクター 4シーズンズ ハイブリッドについて少し説明しておきたい。
夏用タイヤと冬用タイヤの中間をいく性格をもったタイヤで、コンパウンド(ゴムの素材の配合)は専用のものが使われているものの冬用に近い。一方で他にあまり見ないユニークなパターンのトレッド(踏面)とブロックパターン(構造)は、どちらかというと夏用に近い。いかにも排水性がよさそうな、V字が強調されたデザインだ。
よく見るとセンター部分は各ブロックが小さめで、スタッドレスタイヤに見られるような細かい溝があり、ショルダー部分へいくにしたがってだんだんブロックが大きくなり、夏用タイヤのデザインに近くなる。繰り返しになるが、見た目も構造もコンパウンドも夏用と冬用の間を取ったようなタイヤだ。
タイヤ側面部分は、ぬかるみや積雪路を走行可能なことを示すM+S(マッド+スノー)表記の他、国際標準化・規格設定機関が寒冷地で十分な性能を発揮すると認証したスノーフレーク表記が付く。また日本でスノータイヤ(スタッドレスタイヤではない)として認定されているため、冬季に高速道路などで敷かれる冬用タイヤ規制下での走行も認められている。
日本の厳しい夏を難なくクリア
8月中旬、ボルボ V40にベクター 4シーズンズ ハイブリッドを装着した。早速、暑い昼下がりの都心をゆっくりと走行する。これまでの夏用タイヤと比較して当たりがマイルドだなというのが第一印象だ。舗装のよくない部分を走行した際にステアリングを通じて伝わるフィーリングや、ちょっとした段差を越える際に身体に伝わる衝撃が柔らかい。最新のスタッドレスタイヤに近い。
走行距離が100kmを過ぎたあたりから徐々に負荷をかける走行をしてみた。山道で普段より少しハイペースでコーナリングを試みたが、問題なし。細かく見れば夏用タイヤに比べ、ステアリングを切り始めてから実際に車が曲がり始めるまでにほんの一瞬、間(ま)があるが、注意深くチェックしないとわからないレベルだ。高速走行時、100km/hでレーンチェンジを試みてもよれるような不安な動きはなかった。ブレーキング時にも特に制動距離が伸びた印象もない。当たりのマイルドな夏用タイヤとして使える。ただしフラットネス、すなわち上下動なくビシっと進んでいく感じはこれまでの夏用タイヤの方が少し上かもしれない。
以上はドライ路面での印象。ウエット路面ではスタッドレスタイヤ寄りの印象を得た。まずラフなアクセルワークで発進すると、一瞬ズリッとホイールスピンを見せる。またややハイペースでコーナリングすると外へ膨らむ傾向がほんの少し夏用タイヤよりも強い。ブレーキングもしかりで、停止寸前にひと転がり多いかなといった印象。ただし、いずれもこういうものだとわかっていればまったく問題ない。
つまり四季のうち雪の降らない春、夏、秋はOKということ。最も気になるであろう冬季の使用については、低温による凍結および積雪を待ち、追ってレポートする。(続く)
【取材協力】
日本グッドイヤー株式会社
東京ジーワイ株式会社 本社営業所
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