▲ヘリにも見えるがタイヤが3つも…。実はこれ、陸でも空でも時速180kmで移動できる陸空両用車なんです! ▲ヘリにも見えるがタイヤが3つも…。実はこれ、陸でも空でも時速180kmで移動できる陸空両用車なんです!

オートジャイロと3ホイーラーが合体! の無敵ビークル見参

巷では待ちに待った行楽シーズン到来!ってことで、帰省だ、観光だ、と車で街を脱出するとお約束の渋滞に巻き込まれるわけですが……、そんな折、ゴキゲンなニュースがオランダから届きました。なんたって渋滞中の道路を尻目に、時速180キロでスイスイ移動できちゃう車が発売された、という夢のようなお話です。

オランダ製のこの「PAL-V One」は、いわゆる3ホイーラー(3輪のモーターサイクル)とオートジャイロを合体させた陸空両用の乗りモノ。カーボンファイバー、チタン、アルミが多用された軽量ボディは、乾燥重量で680kg。最高出力230hpを発生する4気筒エンジンを搭載し、走行モード、飛行モードともに最高速度は180km/hをマークするというライトウエイト2シータースポーツなのです。

▲高速コーナリングだってこのとおり。速度やステアリング操作に応じて、操舵&バンク角が電子制御されます ▲高速コーナリングだってこのとおり。速度やステアリング操作に応じて、操舵&バンク角が電子制御されます

な~んだ、オートジャイロじゃん。そんなの珍しくも何ともないよ!とか言わないでください。時速180km/hで地上を走行できるオートジャイロなんて、今までなかったわけです。しかも0-60mph(約97km/h)は8秒以内というから、大排気量SUV並みの発進加速性能を持っていて、そのうえ超低燃費。1回の給油でなんと1200kmも走れちゃうというんだからオドロキです。

▲ローター類がフォールディングされた状態の走行モード。なんと0-60mph(約97km/h)加速は8秒以内と相当な早さ! ▲ローター類がフォールディングされた状態の走行モード。なんと0-60mph(約97km/h)加速は8秒以内と相当な速さ!

走行モード~飛行モードの切り替えは約10分。大小ふたつのローターと尾翼が展開され、すぐに飛行態勢に。もちろん空を飛ぶ場合、ライセンスは普通免許だけじゃNGで、ヨーロッパでは「レクリエーショナル パイロット ライセンス(RPL)」か「プライベート パイロット ライセンス(PPL)」が必要とのこと。

飛行モードでの航続距離は約350~500kmとのことなので、東京からなら、四国くらいまでは無給油で行けてしまうわけですね。もちろん、陸上走行を中心に、山岳路や市街地だけ空を飛べば、さらに航続距離は延び素晴らしいドライブが経験できるはずです。

▲こちらがPAL-V Oneの飛行シーン!

そして、何と言っても、「渋滞に関係なく目的地を目指せる」というパフォーマンスの魅力的なこと! ちなみに飛行時は地上165mまで上昇することが可能とのことで、当然ながら普通の車では経験できない景色が車窓に展開されるわけです。そう、渋滞の列の上をスイスイ飛んで行く、という誰もが一度は夢想したことのあるアレが眼下に展開するわけです。

▲こちらは飛行モード。180km/hで飛行でき、航続距離は約350~500km。飛行時の最低速度は50km/h ▲こちらは飛行モード。180km/hで飛行でき、航続距離は約350~500km。飛行時の最低速度は50km/h

ところで、ひとつ気にになることがありませんか? そうです。渋滞してたら、そこからそのまま飛べるのか?という、ごく当然かつ素朴なギモン。つまり、高速道路や市街路で自在に離着陸できるのか?という疑問です。

これはPAL-VのホームページのFAQ(よくある質問)にも採り上げられていて、答えはNOです……。離着陸に必要な距離(離陸165m/着陸30m)が確保されている空港やグライダーサイトなどの専用エリアでないと離着陸できない…という制限があったりするのでした。

▲渋滞なんか関係ないもんね~!のイメージ画像。離着陸の問題さえ解決できればいつかは現実に! ▲渋滞なんか関係ないもんね~!のイメージ画像。離着陸の問題さえ解決できればいつかは現実に!

そんなわけで、渋滞を避けて自在に空を飛ぶという夢はそうそう簡単に実現しないもんだという〆になってしまいましたが、これは間違いなく大きな前進でしょう。お値段も29.5万ドルということで、このパフォーマンスを考えれば、かなり思い切った価格設定と言えるでしょう。

まずは自宅に165mの滑走路をお持ちの方から、この感動とパフォーマンスを味わっていただきましょう!

text/内藤知己(graaab)