パナソニックはミリ波レーダーの新たな高精度化・広角化技術を発表した。40m先の自動車や自転車、歩行者を0.1秒以下で個別に判別し検知することができる。今後は交差点内の事故を未然に防ぐ検知センサーなどに応用し、交通支援システムの進化と普及を加速させる。

ミリ波レーダーは、ミリ波と呼ばれる周波数帯の電波を利用しており、プリクラッシュセーフティ(衝突軽減)システムなどに数多く採用されている。最長で200mほどの範囲を探知するほか、雨や雪などの悪天候に左右されないという特徴を持つが、視野が狭い上に、至近距離は検知しづらく、歩行者などに対する感度も低いという側面があった。

従来のミリ波レーダーは、運転者から見て車の影に位置している歩行者や自転車などは検知しづらかった。そのため、低価格なシステムでは検出範囲をある程度限定させ、高価格なものは赤外線レーザーや可視光カメラなど、複数の検出装置を組み合わせることで対応しているケースが多かった。

今回、新たに開発されたレーダー技術では、レーダーの精度を高めることで、歩行者や自転車も間隔が20cm以上離れていれば、0.1秒以下で検知することが可能になった。また、相互干渉を抑えた複数のミリ波レーダーを同時に動作させることで広視野角化にも対応している。

ミリ波レーダーの周波数には60Ghz帯と76Ghz帯が使用されてきたが、2012年より79GHzも使用可能になっている。今回の研究は、この79GHzを有効活用するための総務省の取り組みの1つで、パナソニックのほか富士通や広島大学などが研究を進めている。パナソニックは今回の技術を2016年に実用化することを目指している。

従来は車とバイク、信号機と歩行者は一体のものとして検出されていたが、新技術ではそれぞれを分離して検出することが可能になった

従来は車とバイク、信号機と歩行者は一体のものとして検出されていたが、新技術ではそれぞれを分離して検出することが可能になった

ミリ波レーダーの広視野角化も今回開発された技術。複数のレーダーを使用することで検出できる範囲が最大で120度と広くなっている

ミリ波レーダーの広視野角化も今回開発された技術。複数のレーダーを使用することで検出できる範囲が最大で120度と広くなっている