【試乗】新型 メルセデスAMG GT 4ドアクーペ│スポーツカーのパフォーマンスと快適な移動空間を共存させた走り
カテゴリー: AMGの試乗レポート
2019/10/15
メルセデス AMG独自開発初の4ドアモデル
メルセデス AMG独自開発、2ドアクーペの「AMG GT」、オープンカーの「AMG GTロードスター」に続くGTシリーズ第3弾となる、メルセデス AMG GT 4ドアクーペ。
AMG GTは元々は、専用のフレームを携えた2ドアクーペで、レーシングシーンでも活躍するポテンシャルをもつ。その流れをくんで登場した、4ドアクーペモデルが今回試乗する「AMG GT 4ドアクーペ」である。
このモデルの試乗会は、すでに富士スピードウェイにて行われているが、公道でのハイパフォーマンスモデルの走りぶりを確認するために今回、公道での試乗も行うことにした。
試乗するグレードは最上位、「AMG GT 63 S 4マチックプラス 4WD」で、出力は639ps、トルクは900N・mのまばゆいばかりのハイパワーモデルである。
並々ならぬオーラと高い剛性感
「この超ハイパワーモデルを一般道ではどのように扱えばよいのだろうか……」そう考えながら乗り込むことにした。
エクステリアはマットなダークグレーで、いかにも悪いといわんばかりの印象だ。この外観で遅いわけがないという、スタイルである。
もっともこのデザインは2ドアクーペのAMG GTのスタイリングを踏襲した流れになっている。
リアにあるカーボンでこしらえた固定式ウイングが、本物のハイスピード・ハイパフォーマンスの象徴とも言えよう。
まやかしは、この車には通用しないということだ。
実際に乗り込むと、見た目より中の空間は快適だ。かなり高級に仕立てられ、グランドツアラーに非常にふさわしい。また、センタコンソールなども、スペースフレームのAMG GT 2ドアクーペの太いセンタートンネルの雰囲気を醸し出している。
「メルセデス AMG GT 4ドアクーペ」はCLSをベースにしたモノコックフレームであるそうだが、ドアを閉めたときから発する剛性感は似て非なるモノである。立てつけ剛性と精度がとても高い。
スタイリッシュに使いこなせるハイパフォーマンスカー
エンジンを始動するとクランキングの時間もなく瞬時に火が入る。これだけで底知れぬパフォーマンスが身体の奥から感じとれる。
Dレンジに入れてコンフォートモードで走り出すと、思いの外、とても運転しやすい。これだけパワフルなエンジンにも関わらず扱いやすく感じる。
しかも前方の見切りも案外よく、さすが扱いやすさのメルセデスと思わせる。
ただ、外観から見るよりもコックピットに収まると着座位置が高く感じた。それほど地をはうようなイメージで作られたデザインなのであろう。
ロードクリアランスも思った以上にあって、普通のドライビングが可能だ。車庫入れも容易で、エンジン音を除いてはアクセルの扱いもしっくりくる。
このメルセデスAMG GT 4ドアクーペの真価は、やはりハイウェイであろう。
本線への合流はひとつのパフォーマンスを図れるが、この車はぐっと踏み込むとちゅうちょなくいだてんの加速を繰り広げる。
トランスミッションは伝達を最優先として、滑らかにシフトアップ・ダウンを繰り返す。強靭なパワーをもちつつ、とてもジェントルな走りである。
ユニットはV型8気筒の4リッターツインターボで、出力特性はフラットで軽やかである。この出力をタイトな標高が高い山間部などのシチュエーションで試したが、この出力で、これほど柔らかい特性にできるのだと、ただ驚くばかりである。
900N・mの厚みのあるトルクで走らせる醍醐味は、エンジンを回しても官能的であるとともに、どこからでもじわっと踏み込めばググッと出る加速力だ。そして、エンジン音もドライビングプレジャーを倍増させる。
また制御能力も高く、大きな出力を4MATICという独自の4WDのセッティングにより、前後に振り分けてスタビリティの高い動力性能を得る。
この制御によって、フラットな乗り心地を作り出しているのは言うまでもない。シートのホールド性も相まって乗り心地が思ったよりもいい。引き締まっているがゴツゴツとした感じがなく、家族で乗っても嫌がられないはずの車だ。
本物のポテンシャルをもつ車
スポーツモードからレースモードに変更すると、サスペンションの動きがまるで違う。
車高を可変させて最良のストロークレンジで動かすので、ドライバーからすると実にしっくりくる。
公道では積極的に勧められないが、最高のパフォーマンスを繰り広げるモードにふさわしい。
コーナからの脱出時のリアの安定感も抜群で、しっかりと路面をとらえつつ前に強く送り出す。スロットルに負荷を与えておけば、きちんとした仕事をしてくれるのである。
隆々とした骨格から内部に潜む力を感じさせるけれど、強靭なパワーは出さずに静々と走る美学が、AMG GT 4ドアクーペには感じられる。
本物のポテンシャルをもち合わせた車はスムーズで安全に走らすことができ、それがハイパフォーマンスカーの根幹であると再認識させる走りであった。
【試乗車 諸元・スペック表】
●63 S 4マチックプラス 4WD
型式 | 4BA-290689 | 最小回転半径 | 5.8m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 5.05m×1.96m×1.45m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.95m |
ミッション | 9AT | 前トレッド/後トレッド | 1.67m/1.67m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | ◯ | 車両重量 | 2150kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.13m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
ジュピターレッド、オブシディアンブラック、イリジウムシルバー、グラファイトグレー、ブリリアントブルー |
||
オプション色 |
ダイヤモンドホワイト、セレナイトグレーマグノ、ブリリアントブルーマグノ、グラファイトグレーマグノ |
||
掲載コメント |
- |
エンジン型式 | 177 | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆ |
---|---|---|---|
種類 | V型8気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 80リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 3982cc | 燃費(WLTCモード) |
7.7km/L
└市街地:5.4km/L └郊外:7.9km/L └高速:9.4km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 639ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
900(91.8)/4500 |
型式 | 4BA-290689 |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 5 |
ミッション | 9AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | ◯ |
標準色 | ジュピターレッド、オブシディアンブラック、イリジウムシルバー、グラファイトグレー、ブリリアントブルー |
オプション色 | ダイヤモンドホワイト、セレナイトグレーマグノ、ブリリアントブルーマグノ、グラファイトグレーマグノ |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.8m |
全長×全幅× 全高 |
5.05m×1.96m×1.45m |
ホイール ベース |
2.95m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.67m/1.67m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 2150kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.13m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | 177 |
---|---|
種類 | V型8気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 3982cc |
最高出力 | 639ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
900(91.8)/4500 |
環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆ |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 80リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | 7.7km/L
└市街地:5.4km/L └郊外: 7.9km/L └高速: 9.4km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『車は50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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