ハイブリッドではないのにJC08モードで27km/L以上という燃費

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10年ぶりに復活した三菱ミラージュ。新型は世界戦略車のエントリーモデルという位置づけだ。生産拠点でもあるタイでは3月から発売されている。日本には今年8月に導入される予定だ。今回、クローズドコースでこの日本仕様のプロトタイプに試乗した。

最大の特徴は、ハイブリッドではないのにJC08モードで27km/L以上という燃費の良さだ。一般的なドライバーがこの値で走ることは現実的に難しいとしても、すこぶる良い値であることには間違いない。ガソリンエンジン搭載の登録車ではトップである。これはコンパクトで低フリクション化が可能な副変速付きのCVTの恩恵だ。低燃費を実現すべく、専用チューニングが施されている。目に見えない緻密なセッティングは日本の得意中の得意とするところだ。

モジュール方式のユニットを上手に使って開発された1L直3DOHC MIVECエンジンは、振動が少なく静粛性も素晴らしい。タイ製産とはいえ、軽自動車でしのぎを削った日本メーカーならではの仕上がりと言える。走り出しも、必要なトルクをCVTで巧みに作りだしスムーズだ。クリープでの車庫入れもコントロールしやすく、前後の見切りが非常に良い。このあたりは日本の道路事情にマッチしてる。

80km/hまでの急加速から一気にフルブレーキングした際の姿勢は安定している。シャーシ剛性が高く、超高張力鋼を使用した成果が感じられる。ボディの軽量化による乗り心地の硬さも気にならず快適だ。車重が870kgに満たないことが何よりの性能である。

良く言えば隙のある飽きのこないデザイン

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タイ工場では、日本の熟練工の指導の下、できるだけ組み立てを簡略化しながら“ほど良い精度”に仕上げる生産方式が取られていることが伺える。ロボットではなくマンパワーで作る。複雑な取り付けが少ない分、良く言えば隙のある飽きのこないデザインである。だが“世界戦略車”という次元で見るとデザインの稚拙さは否めない。

厳しい言い方をすれば、外観を見たかぎり日本のメーカーが作ったモデルとは思えない。アジアではこの手の車が売れる。その理由のひとつにブランドとしての“Made in Japan”がある。それを逆手にとったかどうかはわからないが、三菱のエンブレムを取ったらどこの車かわからないデザインは魅力に欠ける。

走行性能や燃費性能では、コストを抑えながら最大の効果がきちんと出ていると思う。性能面ではいかにも日本メーカーらしい車である。それだけに、グローバルカーを狙うにしては脆弱なデザインが残念だ。

SPECIFICATIONS

参考主要諸元のグレード ミラージュ プロトタイプ
全長×全幅×全高(mm) 3710×1665×1490
車両重量(kg)
エンジン種類 直3 DOHC
総排気量(cc)
最高出力[ps/rpm]
最大トルク[Nm/rpm]
Tester/松本英雄  Photo/尾形和美