三菱 ランサーエボリューション VII GT-A【プレイバック試乗】
2010/04/23
コンセプト
快適性を兼ね備えたAT仕様のランエボVII
スバルインプレッサSTiとともに4WDスポーツを代表するこのランサーエボリューション。もともとはWRCをグループA規定で闘うベース車両となるべく、1992年限定生産で初代が投入されている。それが代を重ね、モデルチェンジを経てVIIにまで発展してきた。その間、WRCで輝かしい戦績を収めただけでなく、国内のモータースポーツシーンにおいても不可欠な存在となっている。
とはいえ、競技用ベースグレードのRSが販売に占める割合は3%に満たない。つまり大半のユーザーは高性能を楽しみながらも日常の足としている、ということ。
そうした背景のもと、この高性能を気軽に幅広いユーザーに楽しんでもらうべく、より快適性を考慮したシャーシに初めてATを組み合わせ与えたのがGT-Aである。
室内&荷室空間
大人の4ドアスポーツを演出する室内デザイン
ボンネットのエアアウトレットを廃したり、リアスポイラーを小型化するなど、荒々しさを潜めた外観と同様に、インテリアもハードさを抑えて、大人の4ドアスポーツといった雰囲気を重視する。インパネのアクセントパネル部やコンソールのシフトレバーパネルなどは深い光沢のブルーパール色とされ、三菱初のステアリングシフトスイッチを設けたステアリングも、ラグジュアリィグレード用のようなおとなしいデザインだ。
フロントシートはレカロ製が標準のGSRとは違い、セディアワゴンターボと同形状のスポーツシートが備わる。またオプションとなるレカロ製シートもセディアワゴン用と同形状のタイト感を抑えたタイプ。さらにソフトな本革シートまでもが用意されている。トランク容量は従来モデルと変わらない。
ドライブフィール
ツアラーとしての安定性をもつ車体
最高出力を8ps落とし、低中速域のレスポンスとトルクに振ったエンジンと、ギャランVR-4用をベースに最終減速比などを見直した5速ATは上々のマッチング。発進の瞬間こそMTのような強烈な蹴り出しを得ることは難しいが、その一瞬を過ぎれば加速は文句ない鋭さで、2速、3速へのつながりもスムーズ。またシフトレスポンスもATとしてはかなり速く、ダウンシフトは軽いショックを伴うものの瞬時に行われる。GSRに対し前軸荷重が50kgも重いというハンディと、スタビリティ重視のシャーシは、シャープな回頭感こそ薄れさせたが、ライントレース性は見事に高い。ウエット路でも確実に路面をとらえる安心感はGSR以上。GSRの軽快感とは異質だが、ツアラーとして好ましい安定性を得ている。
こんな人にオススメ
ランエボの高性能には憧れていたが、日常はATじゃないと面倒、あるいは家族も運転するので、といった人には待たれていた存在。コンパクトサイズの4ドアセダンなので実用性も使い勝手も高い。乗り心地はGSRよりソフトなので日常も不満はない、など家族を説得する条件も満たす?ただし3月末までの受注期間限定なので急ぐべし。SPECIFICATIONS
グレード | GT-A |
駆動方式 | 4WD |
トランスミッション | 5AT |
全長×全幅×全高(mm) | 4455×1770×1450 |
ホイールベース(mm) | 2625 |
車両重量(kg) | 1480 |
乗車定員 | 5人 |
エンジン種類 | 直4DOHCターボ |
総排気量(cc) | 1997 |
最高出力 | 200kW(270ps)/6500rpm |
最大トルク | 343N・m(35.0kg-m)/3000rpm |
車両本体価格 | 330.0万円 |
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