【試乗】新型 マツダ CX-30|デザインの考え方には疑問が残るが、スポーティながらも奥ゆかしさを感じるモデルだ
2019/12/06
デザインに違和感を抱かずにはいられない
初めてCX-30のデザインを見た瞬間、感じたことがある。
横置きエンジンだがロングノーズ、切り立ったフロントノーズ、ウインドウエリアを少なくしたシャープなデザイン……。
「ここまでボルボのクロスカントリーシリーズのデザインを意識しなくてもいいのでは?」ということだ。
しかし、CX-30とボルボでは大きく異なる点がある。
例えばボルボは、V60という標準タイプがあるうえで、V60クロスカントリーというモデル設定されている。
標準タイプがしっかりしているからこそ、派生のクロスカントリーモデルがより力強く見えるのだ。
一方、CX-30はこのSUVタイプのみで勝負しているので、タイヤハウスよりも下側の力強さがやや劣っているように見える。
だからこそブラックアウトした樹脂パーツを駆使し、たくましい装いに見せているのだろう。
また、本来ロングノーズはエンジニアリング的にFR(後輪駆動)に採用されるものであり、疑問を感じずにはいられない。
話を伺ったチーフデザイナーの柳澤氏も、CX-30は真横から見たときに中央よりも上の部分で勝負していると話していた。
「そこがかっこよければ良いとされるデザインである」と、はっきりと語っていた。
しかし、車のデザインというのは全体のバランスが取れてこそ、ユーザーに認められるものではないか。
そして、マツダのデザインはアート(芸術)だと、メーカー自らが語っている。
メーカー自らが芸術と語ってしまうのは、少し心苦しい。周りが評価して初めて、アートと呼ばれるべきだと思うのだ。
「マツダが考えるアートは、車のどこまで浸透しているのだろうか?」
そんな思いを抱きつつ試乗へと移った。
サスペンションとシャシーのマッチングが良い
1.8 XD Lパッケージ ディーゼルターボ AWD
初めはAWDのディーゼルモデルだ。
新しいプラットフォームは、今マツダができることを惜しみなく投入した感じが強い。その証拠に、接着剤をふんだんに使っているのだ。
プラットフォームを進化させていくうえで、最後の手段として使うのが接着剤なのだ。
MAZDA3でも感じたが、このプラットフォームはAピラーから下部のフロアに振動が生じる。
ややネガティブな部分も考慮しながら、CX-30に試乗してみる。
エンジンを始動させると、驚くほど静粛性は高い。
まさに新しいプラットフォームの恩恵だと言えよう。
CX-30はホイールベースを短くしているため、剛性が向上しているのでは? とますます期待できる。
Dレンジに入れて発進すると、非常にアクセルとトルクの制御がきめ細やかで乗りやすい。
スタートしてすぐに待ち構えている踏切の横断は、サスペンションとボディ泣かせの定番スポットである。
CX-30は、決してソフトなセッティングではないがいい感じに衝撃をいなしていることがわかる。これは気持ち良いセッティングだ。
渋滞気味の国道へと入る。見切りもよく、左右後方は見やすい。
質感を高く見せるシートや内装は、こういった渋滞時に触れたり見回すことが多くなるが、満足感は高い。
続いて車線を変えながら首都高速に入る。合流までの加速は申し分なく、エンジン音も静かだ。
乗り心地はスポーティな要素がありつつ、欧州メーカーのような奥深さも感じる。
サスペンションのセッティングがとてもシャシーとマッチしている分、ステアリングに物足りなさを感じる。感触が少々軽くて接地感を感じづらく、最も気になった部分だ。
ただし、速度を上げた状態でのクルージングは、しっとりとしていい。
ホイールベースを短くすると真直性が落ちることが多いが、CX-30はサスペンションとステアリングの組み合わせが素晴らしく良好だ。
MAZDA3で気になっていたAピラー下のフロアの振動は、かなり減少しているようだ。
走行中の後席との会話は少し聞き取りにくかったので、静粛性がさらに改善されることを願いたい。
FFでも加速中の真直性が高い
2.0 20S Lパッケージ 2WD
続いて、2WDの2Lガソリンモデルに試乗する。
ガソリンAWDモデルに比べ、2WDモデルの重量はおよそ80kgほど軽い。これは単に後輪の機械的な重量の差だが、どのような影響があるのだろうか。
踏切を通過する。やはりリアの剛性感と落ち着きはAWDにはかなわない。
しかし、以前のプラットフォームに比べ、横置きエンジンの2WD仕様でもトラクションは良好だ。
加速するとガソリン特有の吸気音が聞こえ、スポーティな雰囲気だ。
NA仕様のガソリンエンジン特有のやんわりとしたトルクは扱いやすく、ドライバーに安心感を与えてくれるだろう。
素早く加速しても、ステアリングが浮き気味にならず、真直性は高い。
ハンドリングも軽快で、一層スポーティな印象だ。
ただ、フロントシートは快適であるが、リアは若干突き上げを感じる。
ガソリンモデルにはMT仕様もあり、一層意のままにスポーツドライビングを楽しめるモデルもある。
こういったところは、ファミリー向けのモデルでも走りにこだわるマツダらしい。
【試乗車 諸元・スペック表】
●1.8 XD Lパッケージ ディーゼルターボ 4WD
型式 | 3DA-DM8P | 最小回転半径 | 5.3m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.4m×1.8m×1.54m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.66m |
ミッション | 6AT | 前トレッド/後トレッド | 1.57m/1.57m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.83m×1.49m×1.21m |
4WS | - | 車両重量 | 1530kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.18m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
||
オプション色 |
ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 3DA-DM8P |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 5 |
ミッション | 6AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
オプション色 | ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.3m |
全長×全幅× 全高 |
4.4m×1.8m×1.54m |
ホイール ベース |
2.66m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.57m/1.57m |
室内(全長×全幅×全高) | 1.83m×1.49m×1.21m |
車両重量 | 1530kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.18m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | S8-DPPTS | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | 軽油 |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 48リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 1756cc | 燃費(WLTCモード) | 18.4km/L └市街地:15.5km/L └郊外:18.5km/L └高速:20km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 116ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
270(27.5)/2600 |
エンジン型式 | S8-DPPTS |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1756cc |
最高出力 | 116ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
270(27.5)/2600 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | 軽油 |
燃料タンク容量 | 48リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | 18.4km/L └市街地:15.5km/L └郊外: 18.5km/L └高速: 20km/L |
燃費基準達成 | - |
●2.0 20S Lパッケージ
型式 | 5BA-DMEP | 最小回転半径 | 5.3m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.4m×1.8m×1.54m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.66m |
ミッション | 6AT | 前トレッド/後トレッド | 1.57m/1.57m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.83m×1.49m×1.21m |
4WS | - | 車両重量 | 1400kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.18m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
||
オプション色 |
ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 5BA-DMEP |
---|---|
駆動方式 | FF |
ドア数 | 5 |
ミッション | 6AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
オプション色 | ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.3m |
全長×全幅× 全高 |
4.4m×1.8m×1.54m |
ホイール ベース |
2.66m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.57m/1.57m |
室内(全長×全幅×全高) | 1.83m×1.49m×1.21m |
車両重量 | 1400kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.18m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | PE-VPS | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | レギュラー |
過給器 | - | 燃料タンク容量 | 51リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 1997cc | 燃費(WLTCモード) | 15.4km/L └市街地:12km/L └郊外:15.7km/L └高速:17.4km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 156ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
199(20.3)/4000 |
エンジン型式 | PE-VPS |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | - |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1997cc |
最高出力 | 156ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
199(20.3)/4000 |
環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
使用燃料 | レギュラー |
燃料タンク容量 | 51リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | 15.4km/L └市街地:12km/L └郊外: 15.7km/L └高速: 17.4km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
【関連リンク】
あわせて読みたい
- 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 ランボルギーニ ウルスの巻
- 先代BMW 3シリーズ(F30型)を買うなら、総額150万円以下が狙い目だ!
- 【トヨタ タンクの中古車を買うなら?】オススメの選び方や相場、グレードなどを徹底解説
- EVハイパーカーメーカー「リマック」が今熱い!従来のスーパーカーを猛追するクロアチアの新星【INDUSTRY EDGE】
- 【試乗】新型 日産 ノート|市販モデルではプロトタイプのネガ部分が消え、スタビリティの高さが際立った
- 【功労車のボヤき】「オペルとは思えないほどイカしてる!」というトホホな褒め言葉に涙した日もあったけど……。オペル一族の逆襲!?
- 【フェルディナント・ヤマグチ×編集長 時事放談】自動車業界と半導体について(中編)
- 【試乗】メルセデス・ベンツ 新型Sクラス│”新時代の車”を堪能できるラグジュアリーセダンの最高峰!
- 9年連続エンジン・オブ・ザ・イヤー2.0~2.5L部門賞を受賞した「2.5L直列5気筒TFSIエンジン」搭載の狙い目モデル3選
- ドア開閉音からも分かる卓越したビルドクオリティ、空冷時代だからこそ生きたポルシェの技術力