商品改良で新たなパワートレインを手に入れたCX-5&CX-8は、どんな走りを見せてくれるのか?
カテゴリー: マツダの試乗レポート
2018/11/17
新たなパワートレインが追加された
2017年に発売されたCX-5とCX-8だが、今回一部改良モデルが登場した。今回はパワートレインの異なる複数のモデルに試乗する機会を得た。
試乗はクローズドのテストコースである。
高速でのレーンチェンジを行ったり、タイトなカーブが連続するコースを走行したりと、一般道では試すことができないテストを行った。
どう「走りのアップデート」がなされたのかお伝えしたい。
短期間で改良を繰り返すCX-5
初めはCX-5である。
今年の2月にも改良を実施したので、2017年に登場してから2年も経たずに2回目の改良となる。
今回の最も大きな変更点は、2.5Lのターボエンジン搭載モデルの追加だ。
このユニットは直列4気筒DOHCであるが、42.8kgf・mという4L NAのガソリンエンジンを超えるトルクをもたらしている。
開発主査は「優雅でパワフルな余裕のある走りができる」と力強く述べていた。
現行モデルのCX-5 XDに搭載しているディーゼルエンジンは、さらに上をいくトルクである。
ガソリンターボモデルは、そのあたりのパフォーマンスと比べてどのように味付けしているのか楽しみである。
そしてもう1台、よりキビキビとスポーティに楽しめそうな XDのMTモデルも新たに加わったので、こちらにも合わせて試乗する。
まずはガソリンターボモデルのステアリングを握る。試乗車は25Tと呼ばれる6ATのAWD仕様だ。
エンジンボタンを押して始動するとアイドリングは至って静かである。
特に変わった様子はない。ゆっくりと本コースへのアプローチを走らせる。
6ATはギアレシオが離れているが、エンジンの粘り特性で心地よくシフトアップを繰り返す。
時速50kmくらいの速度までは、トルクもリニアで扱いやすい。
このときはアクセルもゆっくり踏んでいたので、ターボが発揮する大きなトルクはまだ感じられない。
そこから高速周回路に速度を合わせるため、強めにアクセルを踏み込み加速する。
4気筒特有の振動が増してノイズも大きくなる。
ターボ特有の音は感じられないし、大きなトルク変動もない。
ターボエンジンのモデルの中では、扱いやすい部類である。
一方で出力は優雅でパワフルという感じではない。
重さが1.7トン近いボディと、このシャシーでは出力の高いガソリンユニットをもっても、高級感を演出することは難しいように思えた。
価格も25TはXDと大きくは変わらない。
25Tの付加価値と存在感が不安定なように思えた。
次に6MT仕様のXDに試乗する。パワフルなトルクを意のままに操れて、サスペンション性能がぐっと向上したCX-5であれば、スポーツドライビングを楽しめるに違いない。
1速に入れ少々荒めにクラッチをつないでも、発進は穏やかだ。
ディーゼルらしく燃焼が安定している証しである。
大きなトルクの加速を味わいながら速度を上げ、どんどんシフトアップする。やはりこれは面白い。
追い越しなどで加速したいときには、シフトダウンすることで1.7トン近いボディを軽やかに加速させる。
しかし、一点だけ苦言を言えばシフトチェンジのときにセンターコンソールBOXに腕が当たりやすいことである。
ATのレイアウトをメインに考えていてMTとしては考えたレイアウトではなかった点がとても惜しい。
さすがは国内フラッグシップSUV
続いて、国内ではフラッグシップSUVとなるCX-8だ。
CX-5同様にガソリンターボモデルが加わった。
早速エンジンを始動してDレンジに入れる。CX-5に比べて静粛性が高い。
CX-5の同じエンジンを搭載したモデルよりも200kgほど重いが、走り出しはジェントルで高級感ある落ち着いた加速だ。
加速時の静粛性もCX-5とは比較にならないほど良好だ。
サスペンションの動き具合もしっとりしており、Bピラーから後ろのボディ剛性が全く違う。
さすがはフラッグシップSUV、満足度は高い。
まるで技量が向上したような錯覚に!?
CX-5、CX-8両モデルともに、「G-ベクタリング コントロール プラス(GVC Plus)」が搭載された。
Gベクタリングコントロール(GVC)とは、『車の速度とステアリングの舵角操作に応じてエンジンのトルク制御を行い、デバイスで不快感を克服する』機能だ。
今回の“プラス”では、エンジンの細かなコントロールに加えて、ブレーキも制御することで、ドライバーをはじめ同乗者がキャビン内で今まで以上に快適に過ごせるようになるという。
初めてGVCが搭載されたプロトタイプに試乗したとき、アクセルを踏まない状態で発揮しないことを指摘したが、今回しっかりと改良されていた。
絶妙な加減でブレーキをかけ、車線変更時の揺れ返しを最小限にとどめる。
まるで職人のような技だ。
高速の車線変更のたびに頭が振られるような運転をする旦那さんでも、GVC Plusを搭載した車ならばかなりマイルドなドライビングとなって、技量が向上したと錯覚するだろう。
安全運転につながることだけではなく、さらには旦那さんの運転に不満のある奥様にとっても嬉しい装置となるはずだ。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:CX-5 25T Exclusive Mode ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHC+ターボ ■総排気量:2488cc
■最高出力:169(230)/4250 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:420(42.8)/2000[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:6AT
■全長x全幅x全高:4545 x 1840 x 1690(mm) ■ホイールベース:2700mm
■ガソリン種類/容量:レギュラー/58(L)
■WLTCモード燃費:12.2(km/L)
■車両価格:387.72万円(税込)
■グレード:CX-5 XD L Package ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHC+ターボ ■総排気量:2188cc
■最高出力:140(190)/4500 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:450(45.9)/2000[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:6MT
■全長x全幅x全高:4545 x 1840 x 1690(mm) ■ホイールベース:2700mm
■ガソリン種類/容量:軽油/58(L)
■WLTCモード燃費:18.6(km/L)
■車両価格:355.86万円(税込)
■グレード:CX-8 25T L Package ■乗車定員:7名
■エンジン種類:直4DOHC+ターボ ■総排気量:2488cc
■最高出力:169(230)/4250 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:420(42.8)/2000[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:6AT
■全長x全幅x全高:4900 x 1840 x 1730(mm) ■ホイールベース:2930mm
■ガソリン種類/容量:レギュラー/74(L)
■WLTCモード燃費:11.6(km/L)
■車両価格:424.44万円(税込)
【関連リンク】
あわせて読みたい
- 【試乗】新型 日産 ノート|市販モデルではプロトタイプのネガ部分が消え、スタビリティの高さが際立った
- 【フェルディナント・ヤマグチ×編集長 時事放談】自動車業界と半導体について(中編)
- ドア開閉音からも分かる卓越したビルドクオリティ、空冷時代だからこそ生きたポルシェの技術力
- マツダ CX-8の中古車流通量が増加中! 総額250万円からの選択肢が豊富に
- 【試乗】新型 トヨタ MIRAI|日本が生んだ大人のサルーンは、世界初の技術とともに進化を続ける
- 【試乗】マツダ MAZDA3ファストバック|その特徴的なデザインにも負けないパワーユニットへ進化した「SKYACTIV X」
- 【名車への道】’14 BMW i8
- 【マンガ】ホンダ N-ONE(現行型)ってどんな車? 詳しく解説【人気車ゼミ】
- 手ごろなライトウェイトFRスポーツだったマツダ ロードスター(2代目・NB型)も値上がり傾向。狙うなら今しかない!
- 【松岡充さんと行く!】ヘリテージカーの祭典「オートモビルカウンシル2021」レポート(中編)