マツダ アクセラ スカイアクティブ【プロトタイプ】
2011/09/26
■スカイアクティブ第2弾のアクセラは、燃費と走りのベストバランスがポイント!
デミオの場合、30km/Lという燃費性能が際立っていたが、このアクセラは10・15モードで20km/L(15インチタイヤ装着車)となる。数時を見聞きしただけでは「こんなものか」と思いがちだが、ここがマツダが狙った最大のポイントである。燃費性能を極めれば数値を伸ばせる余力はあるそうだが、それでは元々欧州や日本で高く評価されているアクセラの「走りの良さ」をスポイルし損ねない。そこで「走りと燃費&環境性能を高い次元で両立させる」ことを狙ったのである。
もちろん、マイナーチェンジレベルとは思えないほど手が入ったシャーシ回りのチューニングも寄与していることは間違いない。また燃費に関しては評価すること自体が、一般の使用条件とかけ離れた環境下なので意味はないが、それでも「2Lで1.5L並み」という性能を実現した点にスカイアクティブの実力を垣間見ることができる。
アクセラはマイナーチェンジという微妙なタイミングでありながら、デミオとは違う車の味つけを出すことに成功している。これがスカイアクティブテクノロジーの奥深さなのかは今後の評価を待ちたいが、現状アクセラは間違いなく進化している。この車の売れ方次第で現行モデルの中古車相場がどのように動くかも興味深い。
写真は現行より15%転がり抵抗を低減した15インチ装着車。乗り心地&燃費重視のタイヤのためかコーナリングでのグリップ感などは不足気味。逆に燃費は18.8km/Lまで下がってしまうが、17インチ仕様車はより安定したハンドリングを体感することができた
ハイブリッド技術などを使わずに10・15モード30km/Lの低燃費を達成したデミオで、世の中をあっと言わせたマツダの次世代技術が「スカイアクティブテクノロジー」。その第2弾がアクセラのマイナーチェンジで搭載される。今回山口県にある同社の美祢自動車試験場で、そのプロトタイプに乗ることができた。
前後バンパーの形状やアルミホイールのデザインを変更。目に見えない部分でもリアアンダーカバーの追加やサイレンサーの形状を変更することで全体として空力特性を向上。走行安定性や燃費性能にも効果を発揮した(左)
メーターカラーの変更や加飾の追加など細かな変更が加えられているが、一番大きく改良されているのがスカイアクティブ車に搭載されるマルチインフォメーションディスプレイ。i-stopの動作状況や動作しない理由などが表示されるようになり、見やすさも向上した(右)
アクセラ最大の特徴はデミオにも搭載された「スカイアクティブG」と呼ばれるガソリンエンジンに、新たに「スカイアクティブドライブ」と呼ばれるトランスミッションを組み合わせたこと。このトランスミッションは従来の5速から6速に進化しただけではなく、ロックアップ(直結)領域を拡大させることでダイレクトな運転感覚を目指しているという。メーターカラーの変更や加飾の追加など細かな変更が加えられているが、一番大きく改良されているのがスカイアクティブ車に搭載されるマルチインフォメーションディスプレイ。i-stopの動作状況や動作しない理由などが表示されるようになり、見やすさも向上した(右)
デミオの場合、30km/Lという燃費性能が際立っていたが、このアクセラは10・15モードで20km/L(15インチタイヤ装着車)となる。数時を見聞きしただけでは「こんなものか」と思いがちだが、ここがマツダが狙った最大のポイントである。燃費性能を極めれば数値を伸ばせる余力はあるそうだが、それでは元々欧州や日本で高く評価されているアクセラの「走りの良さ」をスポイルし損ねない。そこで「走りと燃費&環境性能を高い次元で両立させる」ことを狙ったのである。
圧縮比はデミオほどではないが12.0と高め。現行型に比べ最高出力4ps/最大トルク0.8kg-m向上しており、レギュラーガソリン仕様となる(左)
ロックアップ領域を現行型の49%から82%まで大幅拡大させた新AT。これにより大幅な燃費改善を実現する。ATレバー回りはピアノブラック仕上げで上質感と他グレードとの差別化を図った(中)
スカイアクティブ搭載車のヘッドランプにはブルーのリングをプラス、デミオには設定のなかったHIDとなる(右)
実際サーキットというハンドリング性能をチェックするのには厳しい環境で試乗会を行ったのも、マツダの自信の表れなのだろう。試乗して現行モデルである20S(5AT車)との比較で一番顕著だったのがコーナリング時の「応答の速さ」だった。20Sはコーナー出口で“一拍遅れる”ような感覚があったのだが、新型トランスミッションは常にエンジンの回転数をキープしつつ、スムーズにコーナリング→加速を行い、今までのような“切れ目”が極めて少ないのである。ロックアップ領域を現行型の49%から82%まで大幅拡大させた新AT。これにより大幅な燃費改善を実現する。ATレバー回りはピアノブラック仕上げで上質感と他グレードとの差別化を図った(中)
スカイアクティブ搭載車のヘッドランプにはブルーのリングをプラス、デミオには設定のなかったHIDとなる(右)
もちろん、マイナーチェンジレベルとは思えないほど手が入ったシャーシ回りのチューニングも寄与していることは間違いない。また燃費に関しては評価すること自体が、一般の使用条件とかけ離れた環境下なので意味はないが、それでも「2Lで1.5L並み」という性能を実現した点にスカイアクティブの実力を垣間見ることができる。
スカイアクティブ搭載車はスポーツのほか、セダンにも設定(左) 空力特性はスポーツ、セダンとも向上。Cd値は現行モデルと比較して約13%低減(右)
マツダは非常に真面目なメーカーである。このスカイアクティブがもし失敗すれば、企業の存続にかかわるほど社運を懸けて取り組んでいるはずだ。デミオは成功を収めたと言え、来年にはスカイアクティブテクノロジーの「全部入り」と言われているCX-5も登場予定である。アクセラはマイナーチェンジという微妙なタイミングでありながら、デミオとは違う車の味つけを出すことに成功している。これがスカイアクティブテクノロジーの奥深さなのかは今後の評価を待ちたいが、現状アクセラは間違いなく進化している。この車の売れ方次第で現行モデルの中古車相場がどのように動くかも興味深い。
Report/高山正寛 Photo/マツダ株式会社
マツダ アクセラ スカイアクティブ【プロトタイプ】/試乗レポート
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