▲現行型は登場から3年経過した2018年2月にマイナーチェンジを実施した。前後の意匠を変更するなどエクステリアの主張が強まり、より存在感と力強さが強調された ▲現行型は登場から3年経過した2018年2月にマイナーチェンジを実施した。前後の意匠を変更するなどエクステリアの主張が強まり、より存在感と力強さが強調された
▲フラッグシップセダンだけあり全幅は1890mmと、デカい。この巨体を軽々と走らせるパワーとヒラヒラとコーナーを駆け抜ける4WD技術の組み合わせがレジェンドの最大の特徴だ ▲フラッグシップセダンだけあり全幅は1890mmと、デカい。この巨体を軽々と走らせるパワーとヒラヒラとコーナーを駆け抜ける4WD技術の組み合わせがレジェンドの最大の特徴だ

ホンダのフラッグシップサルーンといえばレジェンド

▲初代レジェンドは1985年に登場した、当時のホンダとしては初の3ナンバーモデルだ ▲初代レジェンドは1985年に登場した、当時のホンダとしては初の3ナンバーモデルだ
▲2~3代目まではエンジンを縦置きにレイアウトしていたが、2004年に登場した4代目で横置きレイアウトに変更している。加えて独自の四輪駆動システム“SH-AWD(Super Handling All-Wheel-Drive)”を搭載。また国産車では初めて自主規制値の280psを超える300psで登場したことでも注目を浴びたモデル ▲2~3代目まではエンジンを縦置きにレイアウトしていたが、2004年に登場した4代目で横置きレイアウトに変更している。加えて独自の四輪駆動システム“SH-AWD(Super Handling All-Wheel-Drive)”を搭載。また国産車では初めて自主規制値の280psを超える300psで登場したことでも注目を浴びたモデル

レジェンドはホンダのラインナップの中で、トップに配置されているフラッグシップと言えるモデルだ。そのために常に高価な最新技術が投入されてきたモデルでもある。

先代からは、独自の四輪駆動システム“SH-AWD(Super Handling All-Wheel-Drive)”を搭載。このシステムは、コーナリングをスムーズにより速く走らせるために、前後と後輪左右の動力を連続的に配分できる世界初の機構だった。

サルーンのドライバーズカーとして究極のハンドリングモデルが、この価格(新車時価格525万円~)で登場したことに、さすが“MAID IN JAPAN”だとうれしく思ったことを思い出す。
 

注目されたのは300psよりもずば抜けた旋回性能だった

実際に試乗してみると、コーナーで動力をかけている状態で素晴らしい旋回性能を見せてくれた。特に高速コーナーは気持ちが高揚するほどのスピードで旋回が可能だった。しかもとても安定した状態でだ。

通常時はスタビリティを高く、スポーティに走行したいときにはダイレクトなハンドリングが得られれば、サルーンにしてすべての欲求を網羅することが可能なモデルと言える。 レジェンドはそれに最も近いモデルだった。

しかし、このシステムにもネガティブな点があった。実はアクセルを踏み、動力をかけていないとシステムが作動しないということだ。たえず積極的にアクセルを踏み込めば良いのだが、基本的にはフラッグシップのサルーンである。通常の使い方では、アクセル全開でコーナーを攻めるような走りはそうそう必要ではない。
 

現行型はハイブリッド化でさらに細かな駆動コントロールを可能にした

▲レジェンド初のハイブリッドモデルとなった現行型の初期モデル ▲レジェンド初のハイブリッドモデルとなった現行型の初期モデル

2015年に登場した現行型レジェンドは、314psを発生するV6 3.5Lエンジンを搭載。加えてフロントに48psのモーターを、リアの左右にそれぞれ37psのモーターと、計3機のモーターを使い四輪の駆動力をコントロールするハイブリッド4WD車だ。

トルクコンバーターのトランスミッションと、ツインクラッチの採用によって伝達ロスを最小限にした7速DCTを搭載。歯切れの良いシフトチェンジはもちろん、細かな制御が可能なモーターの組み合わせによって、違和感のない連続的な四輪制御を可能にしている。

しかし車内に乗り込んで瞬時に感じることは、インテリアの高級感。700万円クラスのモデルの質感としては最も高いレベルと言えるだろう。

実は、昨今のホンダはインテリアの雰囲気造りがとても上手なメーカーなのだ。
 

現行型はハイブリッド化でさらに細かな駆動コントロールを可能にした

▲静粛性や乗り心地は快適なまま、車体の大きさも全く苦にせずとんでもない旋回スピードでワインディングを軽快に駆け抜けていく ▲静粛性や乗り心地は快適なまま、車体の大きさも全く苦にせずとんでもない旋回スピードでワインディングを軽快に駆け抜けていく

マイナーチェンジしているレジェンドをあえて今、試乗してみる。

なんと、走り出す瞬間の静粛性は以前より高まっている。とても静かだ。一般道のやや荒れた路面を走らせるが、振動や乗り心地がしなやかで明らかにシャシー剛性も向上させている。7速DCTの変速も滑らかで申し分ない。

一般道から首都高速に入る。アクセルを強く踏込み、一気に加速して本線の速度とシンクロさせるが、静粛性はそのままに驚くほど加速がいい。まさに300psオーバーの強力なエンジンと、モーターのパワーが交わった瞬間に、高級セダンから高級スポーツサルーンへ変身するのだ。

そしてサスペンションはボディをフラットにさせながら実にうまく四輪を動かす。中速コーナーもマイナーチェンジ前よりもさらに駆動制御が細かくなったようで、進化を感じ取れる。
 

相変わらず、と言うか旋回性能はさらに進化してる!?

コーナー手前のアプローチから進入、そして脱出まで理想のラインでトレースしていき、道に吸い付いているかのごとく駆け抜けていく、まさにオンザレール感覚なのである。

首都高速の緩やかなコーナーでアクセルのオン・オフを試してみたが、加速をするとシステム制御によって滑らかに曲がり、またアクセルを抜いても速度に合ったスムーズなトレースが可能になっていた。

マイナーチェンジ前は力ずくでグイグイ曲げていくような印象だったことから、はっきりしたわかりやすいスポーツサルーンであった。

ところがマイナーチェンジ後のモデルは、一連のシステム作動がとてもスムーズになっていた。

もしかしたら、ドライバーは運転が上手になったという気になれるほどのアップデートだ。

エンジン制御によるトルクコントロール技術でもスムーズなコーナリングが可能ではあるが、レジェンドはアクティブなコントロール技術でドライバーが意図する最高の走りを提供していると言える。

これこそ電子立国である日本が作る究極のサルーンだと思わずにはいられない。

高コストなテクノロジーを投入しているにも関わらず、破格とも言える700万円台の価格で提供している点は、欧州の自動車メーカーからしたらとても考えられない。まさに、レジェンドはコストパフォーマンスにも優れた1台と言えるだろう。
 

広く余裕のある室内はさすが大型サルーンだ。またホワイト系の室内は明るく好感が持てる。そして予防安全技術「ホンダセンシング」の機能(自動追従機能など)の精度の高さも特筆すべき点だろう 広く余裕のある室内はさすが大型サルーンだ。またホワイト系の室内は明るく好感が持てる。そして予防安全技術「ホンダセンシング」の機能(自動追従機能など)の精度の高さも特筆すべき点だろう
text/松本英雄
photo/篠原晃一、ホンダ

【SPECIFICATIONS】
■グレード:ハイブリッド EX ■乗車定員:5名
■エンジン種類:V型6気筒SOHC+モーター ■総排気量:3471cc
■最高出力:231(314)6500 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:371(37.8)/4700[N・m(kgf・m)/rpm]
■前モーター最高出力:35(48)3000 [kW(ps)/rpm]
■後モーター最高出力:27(37)4000 [kW(ps)/rpm](1基当り)
■前モーター最大トルク:148(15.1)/500-2000[N・m(kgf・m)/rpm]
■後モーター最大トルク:73(7.4)/0-2000[N・m(kgf・m)/rpm](1基当り)
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:7AT
■全長x全幅x全高:5030 x 1890 x 1480(mm) ■ホイールベース:2850mm
■ガソリン種類/容量:ハイオク/57(L)
■JC08モード燃費:16.4(㎞/L)
■車両価格:707.4万円(税込)