▲2018年7月6日に発売されたS660 モデューロXに乗る機会を得た。今回はその模様をお届けする ▲2018年7月6日に発売されたS660 モデューロXに乗る機会を得た。今回はその模様をお届けする

ノーマルモデルに乗ってわかったサスペンションの懸念点

S660に初めて乗ったのは熊本のテストコースだった。ボディ剛性を追求した高性能なシャシーを持ったミッドシップカーを発売するホンダの底力はすごいと思った。

申し分ない仕上がりだったが、テストコースでは路面状況が良いこともあって路面のうねりやわだちがなかったため、サスペンションの動きを知ることができなかった。が、一般道で走行すると路面の入力に対してゴツゴツした印象で、滑らかではないように思った。

シャシー剛性が高いだけに、しなやかで精密に動き減衰力も安定すればもっと良いスポーツカーになると感じた。当然このことはホンダもよくわかっていたはずである。

そんなS660に、ホンダの純正アクセサリーを開発する“ホンダアクセス”が機能向上パーツを開発したのである。そのブランドが“モデューロ”であり、開発したパーツを採用し、コンプリートカーとして発売したモデルが“モデューロX”である。フリードモデューロXに続く5つ目の作品となる。

変更したパーツはフロントバンパーとリアのアンダーバンパーパネル、そして最も空力的に抑え込むのがリアのアクティブスポイラーである。スタイルの部分もあるが性能を追ったエアロパーツだそうだ。

そして最も機能として気になっていたサスペンションもコンプリートで専用設計となる。ダンパーは減衰力を5段階調整が可能なバルブも装着されているので、自分にあったセッティングもできるのが特徴。走りをとことん楽しむ人には嬉しい装備だ。限界性能を上げたので、当然ブレーキの制動力も向上させている。

▲ボンネットを開けると、フロントサスペンションの調整ダイヤルにアクセスできる ▲ボンネットを開けると、フロントサスペンションの調整ダイヤルにアクセスできる
▲スポイラーとアンダーパネルは非常にスポーティな印象だ ▲スポイラーとアンダーパネルは非常にスポーティな印象だ

コーナーの安定性が格段に向上。細かく動くサスペンションが好印象

エクステリアはルーフのトップがワイン色で大人の感覚を刺激する。今年の秋冬の流行の色であり、内装もブラックとワイン色のコントラストで先取りしたコーディネイトである。

専用のバケットシートのクオリティはとてもいい。ここまで演出に安っぽさが見当たらないと軽自動車の装いではない。あとはドライブした感じがどうかである。

▲シートは専用品。ヘッドレスト部にはモデューロXのロゴが刺しゅうされている ▲シートは専用品。ヘッドレスト部にはモデューロXのロゴが刺しゅうされている

試乗は首都高速から中央道を走り山間部まで行き、性能を確かめてみた。

後楽園から首都高速に乗るために都道を走るが、路面のわだちや凸凹も硬めのセッティングだが細かく動いて仕事をしているのがよくわかる。

通常モデルのS660のサスペンションは、路面からの振動を抑えきれずボディを共振させてしまっていた。しかしS660モデューロXは、サスペンションが細かく動いてボディにまで及ばないのだ。

西神田から首都高速に入る。加速して合流したが、コーナーの安定感は抜群だ。シフト操作が思わず楽しくなってしまう。ブレーキのコントロール性もとてもいい。フロントバンパーの空力よく、浮いたようにもならずに直進安定性も向上している。

ブレーキディスクは、放熱性に優れるドリルドローターを採用している ブレーキディスクは、放熱性に優れるドリルドローターを採用している

しばらく乗っていると自分は軽自動車に乗っている感覚がなくなっていた。軽だから価格がとかどうのこうのいう時代はとうに終わっている。S660モデューロXに乗ればその理由も理解できよう。

text/松本英雄
photo/篠原晃一

【SPECIFICATIONS】※試乗車
■グレード:モデューロX ■乗車定員:2名
■エンジン種類:直3DOHC+ターボ