日産スカイライン【フルモデルチェンジ】

2007/03/06

「ときめき」を十分感じ取れる秀逸なハンドリング

(Tester/西川淳 Photo/尾形和美)

◆テスト車両：350GT TypeSP
■車両価格：380万1000円
■主要諸元：350GT TypeSP(4WAS装着車)
●駆動方式：2WD(FR)
●トランスミッション：5AT
●全長4755×全幅1770×全高1450㎜
●ホイールベース：2850㎜
●車両重量：1810㎏
●乗車定員：5人
●エンジン種類：V6DOHC
●総排気量：3498cc
●最高出力：232kW(315ps)/6800rpm
●最大トルク：358N・m(36.5㎏-m)/4800rpm
●使用燃料：無鉛プレミアム
●燃料タンク容量：80L
●10・15モード燃費：8.8㎞/L
●タイヤサイズ(前/後)：225/50R18／245/45R18

◆コンセプト
伝統のモデルにふさわしいフルモデルチェンジを実施

V35からのスカイラインは北米市場におけるインフィニティブランドの基幹モデルとして絶大な支持を得ている。よってフルモデルチェンジは基本的にキープコンセプトだが、そこは時代の先端を走る運命のスポーツセダンだ。中身のブラッシュアップはかなり念入りに施されている。

プラットフォームやエンジンをほとんど新設計とするほか、先代の欠点であった見映えの質感や乗り心地が大幅に改善されている。さらには4WASといった世界初の装備も設定するなど、伝統の“スカイライン”ブランドの第12代目誕生にふさわしい内容となった。

2.5Lと3.5L、2種類のV6を搭載し、マニュアル動作が得意な5ATと組み合わせた。顔つきの違う、標準モデルとスポーティモデルを用意するのは、最近の日産流だ。

◆室内&荷室空間
質感の向上とインターフェイスの改良が目覚しい

基本的なシルエットは変えずに、随所にダイナミックな要素を大胆に加えたエクステリアに対して、インテリアは機能性とデザイン性の融合に力を注いだようだ。見映えの質感向上はもちろんのこと、やっとHDD化されたナビも使い勝手に優れたものにするなど、インターフェイスの改良が目覚しい。オプションのBOSEオーディオも一聴の価値アリ。

アイボリー系とブラック系の内装に、和紙調アルミもしくは本木目のフィニッシャー、そしてグレー、ブラック、ブラウンのシートを組み合わせる。シート地はファブリック、もしくはレザーを選ぶ。後席の広さも魅力で、国産・輸入問わずライバルより1クラス上。トランクスペースもゴルフバッグ4本を簡単に飲み込む。

◆ドライブフィール
北米仕様とはまるで違う足回りの完成度

オールマイティなのは350GTタイプSだ。18インチながら乗り心地は悪くなく、人や荷物を乗せても余裕の走りである。バランスの良さなら250GT。スポーツドライブに縁がないという人には十二分の性能だ。

総じて、とにかく素直に楽しめるFRセダンという印象だった。派手に駆っても実にコントローラブル。前アシからの不快な振動も抑えられていて、先行試乗した北米仕様とはまるで違う。スロットル制御もマイルドで、5ATの古さも少しはまぎれるというもの。官能さに欠けるエンジンフィールが惜しい。

4WAS付きは、タイプSの3割増しの硬さで、少しでも荒れた路面を低速で走ると体に不快な突き上げがくる。高速コーナーなどでは最高に楽しめるが、これは改良の余地あり。

◆こんな人にオススメ

もう一度走りをちゃんと楽しめるセダンに乗っておきたいという経験豊かなドライバーに。250GT系で十分ですから、取り急ぎぜひ検討を。ここ何年かの国産不作で輸入車に走ってしまったセダンユーザーには350GTタイプS系の4WASナシを勧める。日本車が相当なレベルに来ていることに驚かれるはずです。4WAS付きは、もう少し待った方がいいかも。

【新型スカイライン Photo Archive】