日産 GT-R▲冬の北海道にて日産の現行型モデルに試乗する機会を得た。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が、その様子をレポートする

ハイパワーモデルを含む3モデルに試乗

雪上を思いっきり走る機会は、そうそうあることではない。

今年1月に、日産が冬の北海道にて雪上試乗会を開催した。例年に比べると北海道でさえも積雪量が少ないという。

しかし、特設コースをはじめとした様々なシチュエーションで、日産の各モデルに試乗し、その性能を確認することができた。


今回の雪上試乗会のクライマックスと言えるのが、低速から中速まで堪能できるツイスティーなスペシャルステージでの試乗だ。

用意されたのは日産の代名詞モデルともいえるスポーツカーのGT-R & フェアレディZ、そして雪上路との相性が良いノート e-POWERの計3モデル。

以下、それぞれのインプレッションの様子をお伝えしていく。

電子制御OFFの方がコントロールしやすい
日産 フェアレディZ NISMO(6MT)

初めはハイパワーFRのフェアレディZからの試乗だ。最大出力を355psまで高めたNISMOバーションで、もちろん6MTである。

初めはVDC(ビークルダイナミクスコントロール)をONにしてスタートだ。

発進はその制御に頼りながらも、半クラッチを長めに使うことで余計な滑りを最小限に抑え速度を上げる。

ハンドルを軽く左右に振って、フェイントモーションを起こしコーナーに入る。

アクセルを踏み込んでも、車がVDCのコントロール下にあるので、反応が遅い。

速度による慣性があること、FRということ、そしてショートホイールベースのため、雪上でのスタビリティは期待できない。

そのため、アクセルコントロールとサイドブレーキできっかけをつくり、向きを変える。

テールを大きく振って、速度を落としながら中速コーナーに入る。

オーバーステアにならないよう、注意して走らせた。

日産 フェアレディZ

次にVDCをOFFにして発進するが、驚くほど前に進まない。

先ほどは、いかにコントロールが介入していたかがよくわかる。

日産 フェアレディZ ▲シャーベット状の雪上でVDCをOFFにすると、驚くほど前に進むのが難しくなる

一方でアクセルコントロールでのターンは容易になり、雪上ではかえってコントロールしやすい。

もっとも、滑らせながらのコーナリングが可能なドライバーに限った話ではあるが。

まだフロントノーズがコーナーの出口を向いていない状態で、代わりに自分の肩が出口を向いているのがよくわかる。

滑りながらも、次のアプローチに向けて身体が反応する。

操作が難しい状況でも、しっかりとドライバーの意思に応えてくれるFRスポーツというのは、やっぱり楽しい。

日産 フェアレディZ ▲ハイパワーFRを雪上で操るのは楽しい!

予期せぬトラブルが発生したが、安定感あるコントロールが可能
日産 ノート e-POWER(4WD)

続いては、ノートe-POWERの4WDモデルだ。

以前にも雪上を走ったことがあったが、そのときに最も楽しいと思ったモデルだった。

今回は、初めからVDCをOFFにしてスタートする。

サイドブレーキと左足ブレーキを駆使してきっかけをつくり、テールを振り出してターンする。

安定感があって非常に楽しい。

エンジンの回転数は高いが、これだけアグレッシブに走らせているため仕方ない。

日産 ノート

中速コーナーへ突入し、ここからさらに楽しもうと思った瞬間に、トラブルが発生した。

急にエンジンが吹け上がらなくなり、8km/hほどにしか速度が上がらなくなったのである。どこか故障したようだ。

現場に居合わせた、GT-Rのテストドライバーで有名な加藤氏が症状を見る。

なにやら今まで起こったことがない現象らしい。

走行時の状況を加藤氏には伝えたものの、残念ながら時間内に復帰することはできず、ノートe-POWERの試乗は終了した。

しかし、短時間の試乗でも、コントロールする楽しさが十分に伝わってくるモデルであった。

ドライで最高なモデルは、雪上でも最高だった
日産 GT-R(2020年モデル)

最後は日産を象徴するモデルのGT-Rだ。

エンジンが十分に温まっている状態でスタートする。

MTモードで一気に加速するが、雪上でも別次元の速さは健在だ。

ブレーキングのコントロール性も良く、申し分ない。

コーナー途中で外に流されても、アクセルを踏んでいけばどんどん前に押し出される。

日産 GT-R ▲圧倒的なパワーをしっかり路面に伝え、前へ前へと進んでいく

パワーを完全に伝えることは無理だが、急激なトルク特性の変化もなく、雪上でもコントロールしやすいことがわかる。

この大きなボディでも、軽快に走らせることが可能だ。

だだし、調子に乗り速度を上げすぎると、コースアウトしそうになるため、高ぶる気持ちを抑えてドリフトを楽しんだ。

GT-Rはドライだけではなく雪上でも、スタビリティとコントローラブルを両立し、最高の走りを見せてくれるファンなモデルである。

日産 GT-R ▲GT-Rは雪上でも最高のパフォーマンスを見せてくれた
文/松本英雄、写真/日産、編集部

【試乗車 諸元・スペック表】
●フェアレディZ 3.7 NISMO

型式 CBA-Z34 最小回転半径 5.2m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.33m×1.87m×1.32m
ドア数 3 ホイールベース 2.55m
ミッション 6MT 前トレッド/後トレッド 1.56m/1.58m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.04m×1.5m×1.09m
4WS - 車両重量 1540kg
シート列数 1 最大積載量 -kg
乗車定員 2名 車両総重量 1650kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.12m
マニュアルモード -
標準色

ブリリアントシルバーメタリック、ダイヤモンドブラックパール、バイブラントレッドカラークリア

オプション色

ブリリアントホワイトパール3コートパール

掲載コメント

-

型式 CBA-Z34
駆動方式 FR
ドア数 3
ミッション 6MT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ブリリアントシルバーメタリック、ダイヤモンドブラックパール、バイブラントレッドカラークリア
オプション色 ブリリアントホワイトパール3コートパール
シート列数 1
乗車定員 2名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
-
最小回転半径 5.2m
全長×全幅×
全高
4.33m×1.87m×1.32m
ホイール
ベース
2.55m
前トレッド/
後トレッド
1.56m/1.58m
室内(全長×全幅×全高) 1.04m×1.5m×1.09m
車両重量 1540kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1650kg
最低地上高 0.12m
掲載用コメント -
エンジン型式 VQ37VHR 環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆
種類 V型6気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 - 燃料タンク容量 72リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 9.1km/L
総排気量 3696cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 355ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
374(38.1)/5200
エンジン型式 VQ37VHR
種類 V型6気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 3696cc
最高出力 355ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
374(38.1)/5200
環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 72リットル
燃費(JC08モード) 9.1km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -

●ノート 1.2 e-POWER X FOUR 4WD(試乗グレード不明のため参考)

型式 DAA-SNE12 最小回転半径 5.2m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.1m×1.7m×1.53m
ドア数 5 ホイールベース 2.6m
ミッション その他AT 前トレッド/後トレッド 1.48m/1.49m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 2.07m×1.39m×1.26m
4WS - 車両重量 1300kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 1575kg
ミッション位置 不明 最低地上高 0.14m
マニュアルモード -
標準色

オリーブグリーンチタンメタリック、スーパーブラック、ダークメタルグレーメタリック、ブリリアントシルバーメタリック、シャイニングブルーパールメタリック、ナデシコピンクパールメタリック、ホワイト

オプション色

プレミアムコロナオレンジパールM、ギャラクシーゴールドチタンメタリック、ガーネットレッドカラークリアパール、インペリアルアンバーパール、ブリリアントホワイトパール3コートパール、サンライトイエローパール、オーロラフレアブルーパール2コートパール

掲載コメント

-

型式 DAA-SNE12
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション その他AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 オリーブグリーンチタンメタリック、スーパーブラック、ダークメタルグレーメタリック、ブリリアントシルバーメタリック、シャイニングブルーパールメタリック、ナデシコピンクパールメタリック、ホワイト
オプション色 プレミアムコロナオレンジパールM、ギャラクシーゴールドチタンメタリック、ガーネットレッドカラークリアパール、インペリアルアンバーパール、ブリリアントホワイトパール3コートパール、サンライトイエローパール、オーロラフレアブルーパール2コートパール
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
不明
マニュアル
モード
-
最小回転半径 5.2m
全長×全幅×
全高
4.1m×1.7m×1.53m
ホイール
ベース
2.6m
前トレッド/
後トレッド
1.48m/1.49m
室内(全長×全幅×全高) 2.07m×1.39m×1.26m
車両重量 1300kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1575kg
最低地上高 0.14m
掲載用コメント -
エンジン型式 HR12DE 環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆☆
種類 直列3気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 - 燃料タンク容量 41リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 28.8km/L
総排気量 1198cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 R02年度燃費基準
+40%達成車
最高出力 79ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
103(10.5)/5200
エンジン型式 HR12DE
種類 直列3気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 1198cc
最高出力 79ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
103(10.5)/5200
環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 41リットル
燃費(JC08モード) 28.8km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 R02年度燃費基準 +40%達成車

●GT-R 3.8 プレミアムエディション 4WD

型式 4BA-R35 最小回転半径 5.7m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.71m×1.9m×1.37m
ドア数 2 ホイールベース 2.78m
ミッション 6AT 前トレッド/後トレッド 1.59m/1.6m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.73m×1.48m×1.1m
4WS - 車両重量 1770kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 4名 車両総重量 1990kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.11m
マニュアルモード
標準色

ダークメタルグレーメタリック、バイブラントレッドカラークリア

オプション色

アルティメイトシャイニーオレンジ4コートM、アルティメイトメタルシルバー4コートM、メテオフレークブラックP 2コートパール、ブリリアントホワイトパール3コートパール、ワンガンブルー4コートマルチフレックスPM

掲載コメント

-

型式 4BA-R35
駆動方式 4WD
ドア数 2
ミッション 6AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ダークメタルグレーメタリック、バイブラントレッドカラークリア
オプション色 アルティメイトシャイニーオレンジ4コートM、アルティメイトメタルシルバー4コートM、メテオフレークブラックP 2コートパール、ブリリアントホワイトパール3コートパール、ワンガンブルー4コートマルチフレックスPM
シート列数 2
乗車定員 4名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.7m
全長×全幅×
全高
4.71m×1.9m×1.37m
ホイール
ベース
2.78m
前トレッド/
後トレッド
1.59m/1.6m
室内(全長×全幅×全高) 1.73m×1.48m×1.1m
車両重量 1770kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1990kg
最低地上高 0.11m
掲載用コメント -
エンジン型式 VR38DETT 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆
種類 V型6気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 74リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 3799cc 燃費(WLTCモード) 7.8km/L
└市街地:5.2km/L
└郊外:8.4km/L
└高速:9.4km/L
燃費基準達成 -
最高出力 570ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
637(65)/5800
エンジン型式 VR38DETT
種類 V型6気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 3799cc
最高出力 570ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
637(65)/5800
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 74リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 7.8km/L
└市街地:5.2km/L
└郊外: 8.4km/L
└高速: 9.4km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。