ノートにeーPOWER NISMOを超える韋駄天モデル“NISMO S”が追加
2018/10/18
オーテックモデルはバランスの良い逸品が多い
日産を支えている国内モデルといえば5ドアハッチバックのノート。
中でも抜群の人気を誇っているのが“e-POWERモデル”であることはみなさんすでにご存じであろう。良いモノは売れるという市場に任せた典型的なモデルである。
そのノート e-POWERのハイパフォーマンスモデルとして昨年登場したのが、“ノート e-POWER NISMO”だ。
“NISMO”は日産のレーシングカーはもちろん市販のハイパフォーマンス車も提供しているブランドで、日産系の会社「オーテックジャパン」が量産車をベースにコンバージョンを行っているモデルだ。制作モデルの方向性が見えることと前向きな取り組み方や姿勢に好感がもてる。
オーテックが手がけたモデルの多くは、サスペンションやシャシーのバランスが取れていると感じる。
そのオーテックの手でノート e-POWER NISMOをパワーアップさせたモデルが「ノート e-POWER NISMO S」である。
モーターパワー炸裂! これで十分だよ、e-POWER NISMO
そのNISMO Sをテストコースで試乗した。
比較のために、e-POWER NISMO、e-POWER NISMO Sという順で試乗をする。
テストコースは高速ストレート、スラロームに加え、タイトなコーナリングも試せる日産の試験場内コース。多少の高低差もあることから、車両のポテンシャルを知るには安全にかつ気持ちの良く走れるコースである。
最初は98psのノート e-POWER NISMO。編集部の大脇さんを隣に乗せ、ストレートで公道ではあり得ないフル加速を試す。
トルクがある分、大人2名乗車でも想像以上に速い。スペック上では最高速は155km/hだというが、短いストレートでもあっという間におよそ140km/hに到達する素晴らしい加速だ。
そこから中速コーナーを抜けてスラロームに侵入する。ガソリン車と比べてパワーバンドを意識する必要もなく、ただアクセルのコントロールとステアリング舵角を最小にする意識だけでキレイに速くすり抜けられる。
正直言って十分なパフォーマンスである。助手席の編集部大脇さんも、モーターならではの加速感とNISMOのセッティングにガソリン車とは違う“速さ”を感じたようだ。
ただ、1周でバッテリーはかなり減ってしまう。蓄電量が少なくなるとパワーダウンは否めない。とは言え、通常走行をしばらく続けることで充電される。サーキットを何周もする走りには向かないが、パフォーマンスを瞬間的に最大限引き出す必要がある公道では、十分実用的なシステムと感じる。
これ、全然違うじゃん! すごいよ“NISMO S”
続いては136psまでパワーアップしたノート e-POWER NISMO S。先ほどと同様、第1コーナーに向けてフル加速する。その加速力はe-POWER NISMOとはもはや別次元。助手席の大脇さんの「違う! 違う! 違う!」という叫び声とともに、あっという間に時速160kmを超える速度に達した。
スペック上では最高速は時速170kmということなので、700m程度のストレートでこの速度に達したことから、この大きさのモデルにしては相当速い。
ドライバーの私はもちろん、同乗者にもハッキリとわかる違いを“NISMO S”は見せてくれた。
本物のスポーツの世界へ足を踏み入れたe-POWER
どちらのモデルもセレクタモードは“S”で走行したが、“S”の方がアクセルはレスポンシブで、スラロームでも速く、専用にセッティングした電動パワーステアリングの重量感も微調整をしっかりとできていてトレースがしやすい。
サスペンションのセッティングはノート e-POWER NISMOと同様というが、Sの方がよりセッティングのバランスが取れているように感じられた。
最新のシャシーをチューニングしたわけではないが、培われた職人技のボディ補強によって最新モデルに見劣りしないシャシーと乗り味を見事に作り上げたオーテックジャパンを日産自動車は大切にしなければいけない。
公道での高速の本線に合流する加速シーンやタイトなワインディングを駆け抜ける加速を想像するだけで、“S”が韋駄天なのは明白である。
【SPECIFICATIONS】※試乗車
■グレード:1.2 e-POWER NISMO S ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列3気筒DOHC+モーター ■総排気量:1198cc
■モーター最高出力:100(136)/2985-8000 [kW(ps)/rpm]
■モーター最大トルク:320(32.6)/0-2985[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:2WD ■トランスミッション:-
■全長x全幅x全高:4165 × 1695 × 1535(mm) ■ホイールベース:2600mm
■車両価格:267万1920円~294万1920円(税込)
【関連リンク】
あわせて読みたい
- アウトドアブームの過熱を引き金に、規格外に車内が広い車の注目度が上がる!?
- 【総予算100万円!】格安90’sミニバンを自分仕様に仕上げて遊ぶ(後編)
- 【総予算100万円!】格安90’sミニバンを自分仕様に仕上げて遊ぶ(前編)
- 2022年モデルのGT-Rニスモ、スペシャルエディションを投入
- 【試乗】新型 日産 ノート|市販モデルではプロトタイプのネガ部分が消え、スタビリティの高さが際立った
- 【フェルディナント・ヤマグチ×編集長 時事放談】自動車業界と半導体について(前編)
- VIP=セダンの時代は終わった!? ラージサイズミニバンの2列4人乗り仕様で、極上の贅沢を味わおう
- ドア開閉音からも分かる卓越したビルドクオリティ、空冷時代だからこそ生きたポルシェの技術力
- 【試乗】新型 トヨタ MIRAI|日本が生んだ大人のサルーンは、世界初の技術とともに進化を続ける
- 【試乗】マツダ MAZDA3ファストバック|その特徴的なデザインにも負けないパワーユニットへ進化した「SKYACTIV X」