日産 エクストレイル 【海外試乗】
2007/07/18
まさに驚くべき進化と言っていい、オン&オフを問わない走りの性能
◆テスト車両:欧州モデル車
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:6MT /エクストロニックCVT
●全長4630×全幅1785×全高1685mm
●ホイールベース:2630mm
●車両重量:1482kg
●乗車定員:5人
●エンジン種類:直4DOHC
●総排気量:1997cc
●最高出力:104kW(141ps)/6000rpm
●最大トルク:196N・m/4800rpm
●使用燃料:プレミアム
●燃料タンク容量:67L
●10・15モード燃費:-
◆コンセプト
テーマは「ラゲージの拡大」 最新デバイスの搭載も注目
主力モデルで当時ジャスト200万円という手頃な価格や、汚しても丸ごと水洗いできるインテリア、さらにはザ・クラッシュの名曲を使ったクールなテレビCMなどによって若いユーザーにアピールし、大ヒットとなったエクストレイルがいよいよ新型へと生まれ変わる。実はこのエクストレイル、日本だけでなく世界167カ国で累計80万台もの販売を記録している日産の世界戦略モデル。それもあって、今回その発表に先んじて行われた試乗会は、なんとギリシャの北西部、イオアニアの地が舞台だった。
ヒット作の後継モデルだけに、外観は徹底したキープコンセプトでまとめられている。しかし若干落ち着きが増したように見えるのは、全長が175mm延ばされるなど全体に大型化されているからだろう。その狙いはラゲージスペースの拡大。新開発となるリアマルチリンクサスペンションの省スペース設計と相まって、これまで以上に使える空間が生み出されている。
走りっぷりにもさらに磨きがかけられた。4WDシステムには、舵角や横G、ヨーレートなどから運転状況を読み取り前後輪のトルク配分を最適化、気持ち良いハンドリングを実現する“オールモード4×4-i”を採用。ボディ剛性の向上、新設計サスペンションの採用、最新の電子デバイスの搭載などによって、オン/オフ両面での走行性能向上、そして走りのクオリティアップを果たしているのだ。
試乗したのはヨーロッパ仕様であり、日本仕様はフロントマスクが若干異なり、エンジンも2Lと2.5Lのガソリンのみとなる。使い勝手を高め、サイズを拡大しながら価格はできる限り現行型に近いレベルに抑えたいということだから、間近に迫ったデビューに大いに期待したいところである。
◆室内&荷室空間
室内の品質は向上。荷室はさらに使いやすく進化した
使い勝手が高く評価される一方で、クオリティの面では不満の声も少なくなかったエクストレイルの内装。そこで新型ではソフト樹脂の多用やシルバー塗装パーツの採用などで見映えの向上に力を入れている。定評のユーティリティ性も、貴重品や汚れ物と遊び道具を分けて積んでおける脱着式二重フロアと引き出し式アンダートレイの採用などによって磨きがかけられている。ラゲージスペースの容量は5名乗車時で従来比69L増しの479Lを確保。さらに二重フロアを外せばマウンテンバイクを車輪を付けたまま載せることもできるし、後席をすべて倒せば、実に1773Lもの広大なスペースを生み出すことができるのだ。
一つ残念なのは、クオリティアップと同時にセンターメーターの廃止などデザインの遊び心まで薄めてしまったこと。新型も内装の水洗いは可能だが、泥のついたブーツで気軽に乗り込める雰囲気ではなくなってしまった。クオリティアップは嬉しいが、テイストとしては高級化より道具っぽい雰囲気の磨き上げであってほしかったという感もしてしまうのが正直なところだ。
◆ドライブフィール
新開発2.5L+CVTはゆとりある走りを約束
見た目の変化が小さいせいもあってか、走りっぷりの激変ぶりには大いに驚かされた。まずうならされたのが快適性の高さ。静粛性も明らかに高まっていたが、サスペンションも実にしなやかに動き、路面の凸凹や不整をきれいにならした質の高い乗り心地を堪能できたのは望外の喜びだった。
これは姿勢をフラットに保つのに必要な減衰力を確保しながら、大きな入力に対してはしなやかに反応する新しいダンパーの効果。おかげでフットワークも秀逸そのもので、高いボディ剛性と相まって、オンロードではタイヤが常に路面をとらえて離さない絶大な安心感に浸ることができる。
安心感と言えば、積極的に後輪へトルクを配分する従来型から大きく進化した新開発オールモード4×4-iの貢献度も小さくないはずである。時に2輪走行になるほどの過酷なオフロードコースや、ギリシャ国内の所々に残る未舗装路でも、その効果はまざまざと発揮された。堅牢なボディとストロークをたっぷり取ったサスペンション、そしてオールモード4×4-iに装備された坂道発進や坂道降下時に有効な各種アシスト機能によって、オフはド素人?の僕でも存分に走りを満喫できたのだ。
エンジンは、まず日本でも設定予定の2.5L直列4気筒ガソリン+CVTの組み合わせを試した。出力には十分な余裕があり回転も滑らか。扱いやすさは抜群だ。しかし正直に言えば、低回転域からモリモリとトルクがわき出るヨーロッパ向けの2Lディーゼル+6速ATのほうが、エクストレイルという車のキャラクターには合っていて楽しめた。実はこれは開発陣も日本でぜひ走らせたいというほどの自信作。しかし残念ながら、それが実現する可能性は今のところ高いとは言えないところが惜しい…。
(Tester/島下泰久 Photo/日産自動車)
◆テスト車両:欧州モデル車
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:6MT /エクストロニックCVT
●全長4630×全幅1785×全高1685mm
●ホイールベース:2630mm
●車両重量:1482kg
●乗車定員:5人
●エンジン種類:直4DOHC
●総排気量:1997cc
●最高出力:104kW(141ps)/6000rpm
●最大トルク:196N・m/4800rpm
●使用燃料:プレミアム
●燃料タンク容量:67L
●10・15モード燃費:-
◆コンセプト
テーマは「ラゲージの拡大」 最新デバイスの搭載も注目
主力モデルで当時ジャスト200万円という手頃な価格や、汚しても丸ごと水洗いできるインテリア、さらにはザ・クラッシュの名曲を使ったクールなテレビCMなどによって若いユーザーにアピールし、大ヒットとなったエクストレイルがいよいよ新型へと生まれ変わる。実はこのエクストレイル、日本だけでなく世界167カ国で累計80万台もの販売を記録している日産の世界戦略モデル。それもあって、今回その発表に先んじて行われた試乗会は、なんとギリシャの北西部、イオアニアの地が舞台だった。
ヒット作の後継モデルだけに、外観は徹底したキープコンセプトでまとめられている。しかし若干落ち着きが増したように見えるのは、全長が175mm延ばされるなど全体に大型化されているからだろう。その狙いはラゲージスペースの拡大。新開発となるリアマルチリンクサスペンションの省スペース設計と相まって、これまで以上に使える空間が生み出されている。
走りっぷりにもさらに磨きがかけられた。4WDシステムには、舵角や横G、ヨーレートなどから運転状況を読み取り前後輪のトルク配分を最適化、気持ち良いハンドリングを実現する“オールモード4×4-i”を採用。ボディ剛性の向上、新設計サスペンションの採用、最新の電子デバイスの搭載などによって、オン/オフ両面での走行性能向上、そして走りのクオリティアップを果たしているのだ。
試乗したのはヨーロッパ仕様であり、日本仕様はフロントマスクが若干異なり、エンジンも2Lと2.5Lのガソリンのみとなる。使い勝手を高め、サイズを拡大しながら価格はできる限り現行型に近いレベルに抑えたいということだから、間近に迫ったデビューに大いに期待したいところである。
◆室内&荷室空間
室内の品質は向上。荷室はさらに使いやすく進化した
使い勝手が高く評価される一方で、クオリティの面では不満の声も少なくなかったエクストレイルの内装。そこで新型ではソフト樹脂の多用やシルバー塗装パーツの採用などで見映えの向上に力を入れている。定評のユーティリティ性も、貴重品や汚れ物と遊び道具を分けて積んでおける脱着式二重フロアと引き出し式アンダートレイの採用などによって磨きがかけられている。ラゲージスペースの容量は5名乗車時で従来比69L増しの479Lを確保。さらに二重フロアを外せばマウンテンバイクを車輪を付けたまま載せることもできるし、後席をすべて倒せば、実に1773Lもの広大なスペースを生み出すことができるのだ。
一つ残念なのは、クオリティアップと同時にセンターメーターの廃止などデザインの遊び心まで薄めてしまったこと。新型も内装の水洗いは可能だが、泥のついたブーツで気軽に乗り込める雰囲気ではなくなってしまった。クオリティアップは嬉しいが、テイストとしては高級化より道具っぽい雰囲気の磨き上げであってほしかったという感もしてしまうのが正直なところだ。
◆ドライブフィール
新開発2.5L+CVTはゆとりある走りを約束
見た目の変化が小さいせいもあってか、走りっぷりの激変ぶりには大いに驚かされた。まずうならされたのが快適性の高さ。静粛性も明らかに高まっていたが、サスペンションも実にしなやかに動き、路面の凸凹や不整をきれいにならした質の高い乗り心地を堪能できたのは望外の喜びだった。
これは姿勢をフラットに保つのに必要な減衰力を確保しながら、大きな入力に対してはしなやかに反応する新しいダンパーの効果。おかげでフットワークも秀逸そのもので、高いボディ剛性と相まって、オンロードではタイヤが常に路面をとらえて離さない絶大な安心感に浸ることができる。
安心感と言えば、積極的に後輪へトルクを配分する従来型から大きく進化した新開発オールモード4×4-iの貢献度も小さくないはずである。時に2輪走行になるほどの過酷なオフロードコースや、ギリシャ国内の所々に残る未舗装路でも、その効果はまざまざと発揮された。堅牢なボディとストロークをたっぷり取ったサスペンション、そしてオールモード4×4-iに装備された坂道発進や坂道降下時に有効な各種アシスト機能によって、オフはド素人?の僕でも存分に走りを満喫できたのだ。
エンジンは、まず日本でも設定予定の2.5L直列4気筒ガソリン+CVTの組み合わせを試した。出力には十分な余裕があり回転も滑らか。扱いやすさは抜群だ。しかし正直に言えば、低回転域からモリモリとトルクがわき出るヨーロッパ向けの2Lディーゼル+6速ATのほうが、エクストレイルという車のキャラクターには合っていて楽しめた。実はこれは開発陣も日本でぜひ走らせたいというほどの自信作。しかし残念ながら、それが実現する可能性は今のところ高いとは言えないところが惜しい…。
日産 エクストレイル 【海外試乗】/試乗レポート
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