ハイパワーでありながら、しなやかな乗り味の高級サルーン

(Tester/島崎七生人 Photo/篠原晃一)

コンセプト
ジャガーの新時代を予感させるスポーツサルーン

ジャガー XF フロントスタイル|ニューモデル試乗ジャガー XF リアスタイル|ニューモデル試乗ジャガー XF インパネ|ニューモデル試乗
ポジションは従来のSタイプの後継車種。ところがジャガー自身「古臭いクラシックジャガーのデザインに思い入れはない」と言い切るほど、前向きな車だそう。

象徴的なスタイリングは、ショーモデルの「C-XF」を市販用にデチューン(実際には市販車完成後に作られたらしい)。現代の車らしく、ボディ四隅の絞り込みは大きめ。優美で筆舌に尽くしがたかった眼差し(ヘッドランプ)が普通になってしまったのが返す返すも惜しい。全長×全幅×全高は4970×1875×1460mm。対BMW5シリーズなら、115mm長く30mm幅広く10mm低く、2910mmのホイールベースは20mmだけ長い。

ラインナップは全4タイプが揃い、最も身近な3.0ラグジュアリィで税込み650万円の価格設定だ。

室内&荷室空間
伝統と先端デザインの見事なハーモニー

ジャガー XF 前席|ニューモデル試乗ジャガー XF セレクターダイヤル|ニューモデル試乗ジャガー XF カーナビ|ニューモデル試乗
乗り込み、2拍で点滅するスタートボタンを押すと、セレクターダイヤルがニュイン! と上昇、4つの空調吹き出し口が反転して現れる。“サンダーバード気分”が何とも楽しい。

インパネ上面を低く、センターコンソールを高くしたという前席は、あつらえたジャケットを着たようなフィット感。後席は外観イメージから想像するよりスペースが稼いである。低めのサポート性のいいシートの着座感はかつてのXJに通じる雰囲気。ケータイのモトローラに触発されたブルーの照明は、ドアのパワーウインドウスイッチも上からクールに照らす。

レザー内装は全5色。ウッドは全3タイプあるが、艶出し処理された赤茶色のバーウォールナットがジャガーらしい上質さだ。

ドライブフィール
乗り心地を向上させる電子制御サスの効果は大

ジャガー XF 走り|ニューモデル試乗ジャガー XF エンジン|ニューモデル試乗ジャガー XF タイヤ|ニューモデル試乗
例のセレクターは、CD、チューナー…と切り替える家庭用オーディオアンプのファンクションダイヤル風で、すぐに馴染めた。

走らせて、最もXFらしさを実感できたのはトップモデルのSV8。XKR譲りの4.2LのV8スーパーチャージャー(426a/560N・m)はパワフルでレスポンスもいい。CATS(電子制御アダプティブサスペンション)の効用で、20インチタイヤながら乗り心地の質も高い。

次いで4.2L V8(304a/421N・m)もスムーズなパワー感と、しとやかな走りが魅力。ベーシックな3L V6(243ps/300N・m)は、スポーツカーのような軽快な身のこなしが特徴だが、現状では乗り味にやや粗さ(とくに低速域)を感じる。その点が磨かれれば、一段と魅力度がアップするはずだ。

こんな人にオススメ

近代的だが訳のわからない他社の操作ロジックに対し、ジャガーXFのドライブセレクターは、iPodのクリックホイールのような直感操作が可能。スカした車なのに操作に手間取ってはカッコ悪いが、その点XFなら大丈夫、心配は無用だ。V6モデルの走りのなめらか度アップに期待したいが、ニッチでスカせる、個性派サルーンではある。
主要諸元のグレード 4.2プレミアムラグジュアリィ
駆動方式 FR
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4970×1875×1460
ホイールベース(mm) 2910
車両重量(kg) 1800
乗車定員(人) 5
エンジン種類 V8DOHC
総排気量(cc) 4196
最高出力[kW(ps)rpm] 224kW(304ps)/6000rpm
最大トルク[N・m/rpm] 421N・m/4100rpm
10・15モード燃費(km/L) 6.8
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/69
車両本体価格 3.0ラグジュアリィ 650万円
4.2プレミアムラグジュアリィ 870万円
SV8 995万円