ジャガー XJR|海外試乗

2000万円クラスのハイパフォーマンス・ラグジュアリーサルーンともなれば、その存在からして選択した人のワガママ度がおのずと高くなるのは自明。英国車らしいアンダーステートメントをどう解釈するかがXJRのキモだ。高級車で女の気を引こうなどとは露ほども思ってない人に

上品さを忘れないハイパフォーマンスラグジュアリー

シリーズ最強のエンジンを搭載したハイエンドサルーン

ワールドワイドでの販売台数が対前年比+40%と、目下絶好調のジャガー。そのフラッグシップモデルがオールアルミボディをもつXJシリーズだ。

先だって追加されたエントリーグレードでは2L直4エンジンでも紛うことなきジャガーの世界観を演出してみせたわけだが、今回試乗したのは正反対のモデル。シリーズ最強のエンジンを搭載するXJRだ。

従来のトップモデルであるXJスーパースポーツに対し、さらに+40psの550psを発生する5L V8スーパーチャージャーは、圧倒的な加速性能と刺激的なサウンドでドライバーのアドレナリン分泌を促す。

それでいて、ドライバーが望めば高度に洗練されたハイエンドサルーンとして上品な振る舞いを見せてくれるのがXJRの魅力だ。

ドライバーズカーかつショーファー

停止状態から100km/hまでわずか4.6秒という凄まじい加速性能をもつ一方で、60km/hでもストレスなくクルージングできる。この柔軟性は日本の道路環境ではとくに嬉しい。また、ガッチリしたボディと固めすぎていない足が生み出す快適な乗り心地にも感心させられた。

XJRはドライビングを心ゆくまで楽しめるドライバーズカーであり、たとえサーキットに持ち込んでも音を上げることはない。だが、ときにはショーファーに運転を任せ、ブラックタイで後席に乗り込んでも十分にイケる幅広さと奥行きの深さを備えている。

仮想敵はAMGのS63やマセラティ クアトロポルテ、アルピナ B7など。XJRの登場によって、ハイパフォーマンス・ラグジュアリーサルーンの選択肢がまたひとつ増えた。

Rブランドのハイパフォーマンスラグジュアリーセダン。バンパーやスポイラーなどに専用装備がほどこされたエクステリアだ

Rブランドのハイパフォーマンスラグジュアリーセダン。バンパーやスポイラーなどに専用装備がほどこされたエクステリアだ

パネル類にカーボンやピアノブラックなどのカラーを用意し、高級感に加えスポーティーさをプラスしたインテリアとなる

パネル類にカーボンやピアノブラックなどのカラーを用意し、高級感に加えスポーティーさをプラスしたインテリアとなる

ベーシックなV8と比べ40ps/55Nm以上、出力が向上しているエンジン。よりシャープな加速を実現すべく手が加えられている

ベーシックなV8と比べ40ps/55Nm以上、出力が向上しているエンジン。よりシャープな加速を実現すべく手が加えられている

SPECIFICATIONS

グレード XJR
駆動方式 FR
トランスミッション 8AT
全長×全幅×全高(mm) 5127×1899×1456
ホイールベース(mm) 3032
車両重量(kg) 1870
乗車定員(人) 5
エンジン種類 V8DOHCスーパーチャージド
総排気量(cc) 5000
最高出力[ps/rpm] 550/6500
最大トルク[N・m/rpm] 680/2500-5500
Tester/岡崎五朗 Photo/ジャガー・ランドローバー・ジャパン