ジャガー Fタイプ|ニューモデル試乗

トランクは男と女が1泊旅行にでかけるためのミニマムスペース。実用的でないかもしれないが、仕事も遊びも好きでスポーツカーを愛するなら、これ1台でビジネスまでこなしたい。ジャガースポーツはそういうタフさを備えている。まさにタフガイのための1台

紳士の国からやってきたスポーツカーの本性は

レーシングスポーツの血統

XKシリーズはラグジュアリースポーツの系譜。このFタイプはC/D/Eと1950年代から1970年代にかけて続いていたレーシングスポーツの血統になる。

実際にFタイプでのレース復帰計画は明らかにはされていないものの、スペインでのプレス試乗会で会ったジャガー関係者からは、否定的な発言はなかった。

そんなFタイプは、一見、ラグジュアリー系の2シーターオープンスポーツだが、開発陣のヤル気は十分。

その走りも英国紳士そのもの

例えば、5L V8には標準、3L V6にはオプションで用意されているアクティブエグゾーストシステム。排気系のリアセクションに電子制御式のバイパスバルブを用いたこのシステムは、サイレンサー内をストレート式にアレンジする。

試しにアクセルオンで3000回転をオーバーさせてみると、エグゾーストノートは爆音モード。峠の向こうからでもやってくるのがわかる。でもこういう仕掛けはアストンやマセラティもやっている。迫力はここから。コーナーが迫り、ブレーキングしようとアクセルから足を放す。と同時にまるでサーキットのレーシングカーのようなバックファイヤーがパンパンパンッと周囲に響くのだ。このサウンドを耳にすると、ドライバーはつい心もレーシングモードになってしまう。

もちろん標準モードならば、美しいデザインと軽いアルミボディの紳士的なスポーツカーだ。

紳士の国、英国は実は秘密クラブも多いという。昼間はジェントルマンで品の良い身のこなしの紳士も、夜になると仮面をつけるような秘密クラブで野獣のようなときを楽しむ。ジャガー Fタイプはそういう意味でも英国紳士そのものといえる。

約100km/hで自動展開するリトラクタブル リアスポイラーを装備。揚力を最大120kg抑える

約100km/hで自動展開するリトラクタブル リアスポイラーを装備。揚力を最大120kg抑える

標準のスポーツシートに加え、さらにサポート性を高めたパフォーマンスシートを用意する

標準のスポーツシートに加え、さらにサポート性を高めたパフォーマンスシートを用意する

直噴やデュアル可変カム・タイミングシステムなどを採用。インテリジェントストップスタートも備え、環境性能も向上している

直噴やデュアル可変カム・タイミングシステムなどを採用。インテリジェントストップスタートも備え、環境性能も向上している

SPECIFICATIONS

グレード F-TYPE V8 S
駆動方式 FR
トランスミッション 8AT
全長×全幅×全高(mm) 4470×1925×1310
ホイールベース(mm) 2620
車両重量(kg) 1810
乗車定員(人) 2
エンジン種類 V8DOHCターボスーパーチャージド
総排気量(cc) 4999
最高出力[ps/rpm] 495/6500
最大トルク[N・m/rpm] 625/2500
車両本体価格(万円) 1250
Tester/石川真禧照 Photo/ジャガー・ランドローバー・ジャパン