新型ルノートゥインゴ久しぶりに上陸 【試乗by西川淳】
カテゴリー: ルノーの試乗レポート
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2009/02/23
先代ルーテシアベースのシャーシで走りが進化
「ルノートゥインゴ」と聞いて、一部のフランス車ファンはとても懐かしく思うに違いない。1993年に登場した初代モデルは、そのユニークな胴長スタイルと機能性の高さで14年もの間モデルチェンジを受けずに作り続けられた“名作”。日本でも1995年から2002年にかけて約5000台を販売した。
新型トゥインゴは、そんな偉大な初代に遠慮することなく、時代に合ったオールブランニューモデルとして刷新されての登場となった。それゆえスタイルはごく真っ当な3ドアハッチバックタイプとし、初代に比べて広い室内スペースを確保したのが最大の違いだ。とはいえ一見してユニークな存在感を見せるのは、ディテールの作り込みにこだわったため。
日本仕様として導入されるのは、「トゥインゴ」と「トゥインゴGT」の2モデル。前者には1.2L直4SOHC16バルブ75psエンジンとクイックシフト5(セミAT)が、後者には同ターボ100psエンジンと5MTが、それぞれ搭載されている。当然ながらGTを名乗るターボモデルのほうが見た目にもスポーティだ。リアスポイラーや15インチアルミ(ノーマルは14インチホイールカバー)、シルバー塗装ミラー、クロームカッターマフラー、ボディ同色サイドモールなどが与えられている。電動スライディングルーフや横滑り防止システムESPもGTにのみ標準だ。
外観では少し雰囲気の異なる両グレードも、インテリアではほとんど見分けがつかない。シフトノブが当然違うほかは、GTにはオートエアコンが装備されている点が違う程度で、その他はほぼ同じ。ダッシュボードはとてもシンプルな構成で、ほどよくデザイン性もあり、このあたりはさすがに巧いと思う。質感はそれほど高くないが、それをデザインで救っているのだ。
試乗したのはGT。先代ルノールーテシアで使用したシャーシをベースに開発されたというだけあって、その走りは完全に1クラス上のもの。専用チューニングの電動ステアリングはがっちり感とリニア感を両立させていて、前輪はその動きに正確に反応してくれる。特に、コーナリング途中の粘り気のある安定感は絶品。そのあたりを一回りしただけで、誰もが“いいクルマだ”と賞賛の声を上げるはずだ。
硬いブッシュを採用するなど、それなりにアシを固めているはずも、乗り心地だって悪くない。たしかに硬めだが、ごつごつした印象はなく、素直な動きと相まって走れば走るほどに気持ちよくなってゆく。このあたりのチューニングは欧州車、しかもフランスやイタリアのブランドにしかできない技(ワザ)というべきだろう。ルノーは、小さい車を作らせると、本当に天下一品である。ターボエンジンとはいえ、最大トルクの97%をわずか2000回転で発生させるから、取り扱いはラク。4500回転を超えたあたりからターボのオーバーブーストが利きだし、さらに気持ちのよい加速をもたらした。