滑らかになったけれど、キビキビとしたフィーリングは健在の新型MINI
2018/06/29
新型の神髄は内部にあり
初代MINI(BMW)が登場してから2013年までに、MINIは三度、大きく生まれ変わった。
他にはできないオンリーワンのアイデンティティを投入して、一貫した造形美を保ちながら様々なバリエーションを展開している。そして今回2018年5月に新たな意匠をまとったMINIが登場した。
MINI COOPERではヘッドライトのポジショニングを完全な円状にして、装飾的にせずシンプルな形状に変更した。
テールランプは凝りに凝っている。なんとユニオンジャックの半分の造形をレンズ左右に象嵌(ぞうがん)して、イギリスを主張しているのだ。
もっと良く見ると左右がアシメトリーになっていることに気がつく。なぜアシメトリーなのかを理解している人は、相当なイギリス通と言ってもよいのではないか。
個人的には、見えない部分のバージョンアップを図るのが自動車本来の進化だと思っている。では今回のMINIの中身はどうか。
初代MINIから3代目を試乗してきて感じるのは、乗り心地と質感がとても向上したという点である。
2013年に登場した3代目は、静粛性と強靭なシャシーを携えて少々ディメンション(車体)は大きくなった。路面と一体感あるダイレクトなハンドリングを保ちながら乗り心地にも気を使ったモデルだったと言える。
今回の試乗はもっとも需要がある5ドア仕様に3気筒ディーゼルエンジンを搭載した、“ Cooper D MINI 5Door YOURS”に試乗した。
良質な素材に専用のデザインを散りばめた内装は、ステアリングを握った瞬間に手にフィットする。MINIの中でも最も良質なレザーを使っていることは、質感にこだわる人なら気がつくに違いない。
今回は、新型といってもパネルを変えるほどの大きな変更はない。しかし、見えない変更こそが生まれ変わった新たな部分と言えるだろう。
シートに腰を下ろしステアリングを握っただけで雰囲気の違いがわかるだけに、走り出せばそれ以上に理解ができるはずだ。
今回の試乗会は山梨県笛吹市で行われた。この地域は桃畑が多くその間を縫って走るワインディングは気持ち良く、コーナーが続く緩やかな丘陵地帯はドライブにはもってこいのコースだ。
この桃源郷へCooper D MINI YOUR走らせる。
アクセルを踏んで走り出す瞬間はとてもスムーズだ。以前よりも滑らかさが増している。
走る止まるを繰り返したが、エンジンのアイドリングストップからの再始動は本当に速い。そのうえ、発進もスムーズでエンジンとATの制御の精度が非常に高い。
市街地のインプレッションはではとても重要な評価のひとつだ。一気に丘陵を駆け上がる加速は1.5リッター3気筒ディーゼルターボとは全く思えないほどパワフルなのだが、静粛性も高い。
先代よりも加速がナチュラルに感じるほどスムーズで、コーナリングも素晴らしい。上り坂で加速してもステアリングへの影響は皆無だ。
そして急に加速をして路面からタイヤが離れそうになっても、出力を大きな器に取り込むようにタイヤがしっかりと路面に伝える。
またMINIのキビキビとしたフィーリングを大切にしつつ、従来より滑らかにした重厚感あるハンドリングもこれまた高評価で、操作していて安心感を与えてくれる。
驚くほど快適だがそれでいてMINIらしい、キビキビとした爽快なオンザレールを新たに教えてくれてのだ。
乗っていて楽しい車はそうあるものではない。特にファミリーカーでは、そのようなモデルはごくわずかだ。
決して安くないが良いものを感じる満足と走った楽しさ、そして家族が快適に移動できる。
それがCooper D MINI 5Door YOURSなのである。
【SPECIFICATIONS】※試乗車
■グレード:MINI Cooper D 5 Door ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列3気筒ディーゼル・エンジン+ターボ ■総排気量:1496cc
■最高出力:85(116)/4000[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:270(27.5)/1750-2250[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:2WD ■トランスミッション:6AT
■全長x全幅x全高:4000 x 1725 x 1445(mm) ■ホイールベース:2565mm
■ガソリン種類/容量:軽油/44(L)
■JC08モード燃費:23.9(㎞/L)
■車両価格:347万円(税込)
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