アウディ A3スポーツバック イートロン【海外試乗】(大谷達也)
2014/08/18
車の基本性能を大切にしたハイブリッド
ハイブリッドに生まれ変わった途端、ベースモデルの魅力が薄れてしまったというケースは少なくない。重いバッテリーやモーターを積んで車重や前後の重量バランスが変わればサスペンションをセッティングし直さなければいけないし、駆動系に複雑なシステムが追加されればショックが起きたり、ドライバーが意図せぬ微妙な動きをすることもある。「でも、ハイブリッドなんだから仕方ないじゃん」 、それが、これまでの普通の受け止め方だったように思う。
でも、アウディ初のプラグイン・ハイブリッド、A3 e-tronは違う。車重は200kg以上も重くなったのに、新型A3の、あの軽やかな乗り心地はそのまま。ハンドリングも軽快で、前後バランスが変化したようには見受けられない。
ドライブトレインの印象もベースとなった1.4TFSIとほとんど変わりなく、モーター駆動の状態でエンジンが始動しても“ガクン”というショックを感じることはない。まるでトヨタのTHS(モーターとエンジンが常にギアで噛み合っているうえに制御が巧みなため、スムーズさではピカ一)のように、ドライバーに気づかれないよう駆動モードの切り替えを滑らかに行う。
ドイツ・プレミアム御三家が販売中のハイブリッドのなかでもスムーズさに関していえばA3 e-tronが圧倒的に優れているし、ブレーキの踏み応えもハイブリッドとしてはベストだ。
それでも一つだけ心配なのが、CO2排出量はわずか35g/kmなのに「未来からやってきた」というメッセージがこの車に希薄な点だろう。だから「それでも構わない。なぜなら、エコは人に自慢するためのものじゃないから」と信じる人にこそA3 e-tronはお勧めだ。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:1.4TFSI S t ronic ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHCターボ+モーター ■総排気量:1395cc
■最高出力:204[ps] ■最大トルク:350[N・m]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:6DCT
■全長×全幅×全高:4312×1785×1424(mm) ■ホイールベース:2630mm
■車両重量:1540kg
あわせて読みたい
- 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 ランボルギーニ ウルスの巻
- 先代BMW 3シリーズ(F30型)を買うなら、総額150万円以下が狙い目だ!
- 【トヨタ タンクの中古車を買うなら?】オススメの選び方や相場、グレードなどを徹底解説
- 【試乗】新型 日産 ノート|市販モデルではプロトタイプのネガ部分が消え、スタビリティの高さが際立った
- 【試乗】メルセデス・ベンツ 新型Sクラス│”新時代の車”を堪能できるラグジュアリーセダンの最高峰!
- 9年連続エンジン・オブ・ザ・イヤー2.0~2.5L部門賞を受賞した「2.5L直列5気筒TFSIエンジン」搭載の狙い目モデル3選
- 【試乗】新型 フォルクスワーゲン T-Cross│「TさいSUV」はハッチバックよりもどこが欲張りか? 実際に乗って考えた
- 今はもう中古車でしか味わえない高純度FR、国産を代表するミドルセダンのレクサス GS【Back to Sedan】
- 世界で3社しか市販していないレアなFCVの1台、トヨタ MIRAIのドライブフィールに注目! 【EDGE’S Attention】
- 【試乗】新型 アウディ A4 アバント│実用性の高いアバントボディがクアトロらしい俊敏な走りとマッチし、絶妙にバランスがとれた逸品