アウディ S1|海外試乗

“なり”は小さくても、真面目に作り込めばクオリティの高いコンパクトスポーツが出来上がるという好例。乗り心地も快適だから、普段使いを含め、これ1台で済ませることもできる。カラフルなボディが揃っているのでファッション感度の高い女子にもオススメだ。

分別をわきまえたオトナのホットハッチ・ファンへ

“ちょい悪イメージ”全開

どちらかといえば上品でおとなしいデザインの多い最近のアウディだけれど、コイツだけはかなりテイストが違う。

ルーフの後端には大胆な形状のリアウイングが取り付けられ、テールゲートは下側をブラックに塗ってコンパクトな外観をさらに引き締めている。仕上げは、こんな小さなハッチバックにはやや不釣り合いなくらいの、上質なクロームメッキを施した4本出しマフラー。はっきり言って“ちょい悪イメージ”全開である。

アウディのラインナップでいちばんコンパクトなA1に最高出力231psの4気筒2Lターボエンジンを押し込んで「現代のホットハッチ」に生まれ変わらせたのが、ここに紹介する“S1”である。

これだけ聞くと、かなりバランスが悪い車のように思えるが、S1は他のアウディSモデル同様、フルタイム4WDのクワトロを装備している他、A1ではトーションビーム式となるリアサスペンションを4リンク式独立懸架に変更。見た目はコンパクトでも、上級モデルと同等の贅沢なメカニズムを採用しているのだ。

真面目な車作りが伝わる走り

実際に走らせてみれば、アウディの真面目な車作りへの姿勢がヒシヒシと伝わってくる。

まず、ショートホイールベースと硬めのサスペンションの組み合わせなのにヒョコヒョコした動きを見せない他、クワトロのおかげで雪の残るスウェーデンの道を走ってもスタビリティは良好。

しかも、231psのエンジンにムチを入れれば、それこそはじけるように走り出す。

こんな痛快なニューモデルを待ち望んでいた往年のホットハッチ・ファンは、きっと少なくないだろう。

5ドアのスポーツバックもラインナップされる。リアコンビランプは水平基調の新しいデザインへ変更された

5ドアのスポーツバックもラインナップされる。リアコンビランプは水平基調の新しいデザインへ変更された

専用グレーメーターやスポーツシートを装備している。ブラックの内装にはオプションでカラーアクセントを追加できる

専用グレーメーターやスポーツシートを装備している。ブラックの内装にはオプションでカラーアクセントを追加できる

直噴を補う間接噴射を追加することにより燃費と粒子状物質を低減させる。サーマルマネージメントなども採用している

直噴を補う間接噴射を追加することにより燃費と粒子状物質を低減させる。サーマルマネージメントなども採用している

SPECIFICATIONS

グレード S1
駆動方式 4WD
トランスミッション 6MT
全長×全幅×全高(mm) 3975×1740×1417
ホイールベース(mm) 2469
車両重量(kg) 1315
乗車定員(人) 4
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1984
最高出力[ps/rpm] 231/6000
最大トルク[N・m/rpm] 370/1600-3000
Tester/大谷達也 Photo/アウディ ジャパン