【試乗】新型 BMW 8シリーズ│現時点で最高のグランツーリスモだ!
2019/06/20
名車の再来を予感させるエクステリア
2017年にアメリカのペブルビーチに赴いた際、BMW 8クーペのプロトタイプを見入ってしまったことを思い出す。
これが量産されるとなると、かつて世界一美しいクーペと呼ばれた“BMW 635csi”の再来になると確信した。
いま私の目の前に量産モデルのBMW 850i xDriveが用意されている。
程よいロングノーズに伸びやかなクオーターパネルは、スタイリング重視のフォルムではなく居住性と利便性も兼ね備えた美しいクーペであることを物語っている。
この優雅なスタイリングに搭載されているエンジンは、4.4L V型8気筒ツインターボ。530psで76.5kg・mの出力を発揮する。
十分ほどのパワーであることは確かだが、GT(グランツーリスモ)としてドライバビリティがラグジュアリーになっているのか。試乗が楽しみだ。
車体の大きさを感じさせないコックピット
試乗は箱根ターンパイクと一般道から首都高速、東名高速までとあらゆるシチュエーションを走行してみた。
乗り込むとノーブルな内装が心を豊かにさせてくれる。
レザーの素材も申し分ない。
シートはホールド性とリラックスさせる懐のある座面、そしてバックレストのストロークがまさしくGTだと語っている。
着座位置が低いがフェンダーの稜線が感じられるため、1900mmの車幅も広いという印象は受けない。
センタークラスターも華美な抑揚をもたせなくとも、水平基調のデザインと良質な素材と縫製によって計器類の視認性が良くなっている。
ドライバーや同乗車にとって、フラッグシップにふさわしいBMWのラグジュアリーとは何かを教えてくれる。
スタートボタンを押してエンジンを始動すると、ハイパワーだが静粛性の高いV型8気筒が目を覚ます。
発進はコンフォートモードだ。
ゆっくりとアクセルを開けると、低速での高いコントロール性を感じる。
静々と走らせられるのは、出力が安定しているラグジュアリーモデルの特徴だ。
そこから踏み込んで中速域までもっていく。
深く踏み込んだ瞬間のエグゾーストノートは、V型8気筒であるがハーモニックで心地よい音をドライバーに伝えてくる。
無理してアクセルを開けなくともその動きは軽やかだが、同乗者へは重厚感を感じさせる。
一般道のアンジュレーションも巧みにかわすサスペンションは、長距離のドライブでも疲れない証拠といえるだろう。
あまりにもスポーツ路線に徹したGTはこの部分が神経質であるが、BMW 8クーペは履きなれたノルベジェーゼ製法のダブルモンクストラップのようだ。
低中速で駆け抜けるゆるいコーナリングは、まさに直線を走るかのごとくスムーズである。
しかし、8クーペが最も得意とするのは高速だ。
高速走行で気持ちが高ぶる
空いている首都高速は軽快で気持ちいい。
快適に走るためにはキャビンの温度は重要であるが、おろそかなメーカーも多いのが現状だ。
しかし、8クーペのアメニティーコントロールは申し分ない。
首都高速3号線の用賀インターの手前の左カーブを気持ちよく一定の舵角で走り、東名高速へと向かう。
ここは高速走行の切り替えと、遠くへ行くアプローチロードとして気持ちが高揚するところだと個人的には思っている。
余裕のある加速は心を豊かにする。
X Driveによる四輪駆動システムは、出力を無駄なく路面に伝えてスタビリティを確保する。
様々な状況を鑑みる本物のラグジュアリーGTには、なくてはならない装備といえる。
それでありながら、いかにも4WDであるというような制御をしないのが大人の装いだ。
シレッとコントロールして安心感を与えてくれる。
だからアクセルを適度に踏んでいけば、接地感を失うようなことはない。
大井松田のマウンテン区間は、会話を弾ませ景色を堪能しながらドライビングを楽しめるセクションだ。
これほど目的地まで肩肘張らずにリラックスしてゆとりあるクルージングをできるGTは、現時点でBMW 8クーペのみであろう。
運転支援システムすら上質
新東名ではアダプティブクルーズコントロールを使って空間をより充実させる。
前方の車との車間距離が少なくなっても、ブレーキのコントロールはすこぶる上品だ。
120km/h区間では速度を上げて乗り心地のよさを感じることにする。
速度を上げるとスタビリティはさらに増した
ボディ剛性も向上したかのように、サスペンションもよく動き路面を捉える。
これほど奇をてらっていない上品なGTは少ない。
あてもなくもっと遠くへ行きたくなる。
美しく優雅な真のグランツーリスモの誕生だ。
【試乗車 諸元・スペック表】
●M850i×ドライブ 4WD
型式 | 3BA-BC44 | 最小回転半径 | 5.2m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.86m×1.9m×1.35m |
ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.82m |
ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.63m/1.64m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | ◯ | 車両重量 | 1990kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | 2210kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.13m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
アルピン・ホワイトIII |
||
オプション色 |
ミネラル・ホワイトメタリック、ブラック・サファイアメタリック、ブルーストーンメタリック、ブルー・リッジ・マウンテンメタリック、ソニック・スピード・ブルーメタリック、サンセット・オレンジメタリック、バルセロナ・ブルーメタリック、カーボン・ブラックメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、アヴェンチュリン・レッドIIメタリック、アルマンディン・ブラウンメタリック、タンザナイト・ブルーIIメタリック、フローズン・ブルー・ストーンメタリック、ブリリアント・ホワイトメタリック、ピュア・メタル・シルバーメタリック、フローズン・ダーク・ブラウンメタリック、フローズン・アークティック・グレーM、フローズン・カシミヤ・シルバーメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、フローズン・ダーク・シルバーメタリック |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 3BA-BC44 |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 2 |
ミッション | 8AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | ◯ |
標準色 | アルピン・ホワイトIII |
オプション色 | ミネラル・ホワイトメタリック、ブラック・サファイアメタリック、ブルーストーンメタリック、ブルー・リッジ・マウンテンメタリック、ソニック・スピード・ブルーメタリック、サンセット・オレンジメタリック、バルセロナ・ブルーメタリック、カーボン・ブラックメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、アヴェンチュリン・レッドIIメタリック、アルマンディン・ブラウンメタリック、タンザナイト・ブルーIIメタリック、フローズン・ブルー・ストーンメタリック、ブリリアント・ホワイトメタリック、ピュア・メタル・シルバーメタリック、フローズン・ダーク・ブラウンメタリック、フローズン・アークティック・グレーM、フローズン・カシミヤ・シルバーメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、フローズン・ダーク・シルバーメタリック |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 4名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.2m |
全長×全幅× 全高 |
4.86m×1.9m×1.35m |
ホイール ベース |
2.82m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.63m/1.64m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1990kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 2210kg |
最低地上高 | 0.13m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | N63B44D | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | V型8気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 68リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 9.9km/L |
総排気量 | 4394cc | 燃費(WLTCモード) |
8.3km/L
└市街地:5.2km/L └郊外:8.9km/L └高速:10.7km/L |
燃費基準達成 | H30年度燃費基準 達成車 |
||
最高出力 | 530ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
750(76.5)/4600 |
エンジン型式 | N63B44D |
---|---|
種類 | V型8気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 4394cc |
最高出力 | 530ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
750(76.5)/4600 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 68リットル |
燃費(JC08モード) | 9.9km/L |
燃費(WLTCモード) | 8.3km/L
└市街地:5.2km/L └郊外: 8.9km/L └高速: 10.7km/L |
燃費基準達成 | H30年度燃費基準 達成車 |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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