フォルクスワーゲン ゴルフGTI|ニューモデル試乗

こんなに普段使いを苦にせず、平日は奥様のアシとしても不満を抱かせることなく、それでいて走りが楽しく本格的で、趣味性まで備えた車、他にはない。乗る人すべてを幸せにする存在と言えるのでは?

性能だけでない進化がうれしい、走って楽しいGTI

コントロールの自由度が増した

車重が軽くなり、シャシー性能も大いに磨き上げられた新型ゴルフをベースとするだけあって、新しいGTIは期待を裏切らない出来栄えだった。その走り、格段に進化していたのだ。

2L直噴ターボという構成は従来と同様ながら、実は完全新設計のエンジンは、燃費向上の一方で最高出力220ps、最大トルク350N・mと強力で、車体の軽さも相まって吹け上がりをグンと軽く感じさせる。フラットトルク型の特性に面白みはないが、それでも相変わらずホレボレするほど素早いシフトチェンジを実現しているDSGを手元のパドルで操作して、つい高回転域まで引っ張りたくなる。

バリアブルレシオ化によりロック・トゥ・ロックを2.1回転まで速めたステアリングや、進化型の電子制御式デフロックのXDS+(プラス)を得て、フットワークも軽やか。高いスタビリティの一方で、何となく車に乗せられている感が強めだった先代や先々代と比べると、サスペンションがよく動いてコントロールの自由度が増したという印象。

ESCに多少のスライドは許容するスポーツモードが設定されたこともあり、サーキットでも積極的な走りを楽しめるのがうれしい。

乗りたいと思えるGTIになった

スペックだけを見る限りは、決して派手なフィーチャーがあるわけではない。けれど、単に性能が向上したというだけでなく、操る喜びをも確実に底上げしているのが新しいGTIの何よりの収穫と言える。

個人的には“GTI is Back.”をうたった5世代目以降で、最も走らせて楽しい、これなら乗りたいと思えるGTIになったと感じている。

車高がベース比で10mm低いスポーツサスペンションを装着。専用バンパーや初のGTIバッジなどでスポーティなスタイルに

車高がベース比で10mm低いスポーツサスペンションを装着。専用バンパーや初のGTIバッジなどでスポーティなスタイルに

シフト位置を20mm高め、ペダル間隔を16mm広げるなどレイアウトをさらに最適化。伝統のチェックシート生地も用意

シフト位置を20mm高め、ペダル間隔を16mm広げるなどレイアウトをさらに最適化。伝統のチェックシート生地も用意

アイドリングストップ機構と回生機構という環境性能を向上させるシステムも備え、JC08モード燃費は15.9km/Lとなった

アイドリングストップ機構と回生機構という環境性能を向上させるシステムも備え、JC08モード燃費は15.9km/Lとなった

SPECIFICATIONS

グレード GTI
駆動方式 FF
トランスミッション 6速DCT
全長×全幅×全高(mm) 4275×1800×1450
ホイールベース(mm) 2635
車両重量(kg) 1390
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1984
最高出力[ps/rpm] 220/4500-6200
最大トルク[N・m/rpm] 350/1500-4400
車両本体価格(万円) 369
Tester/島下泰久 Photo/向後一宏