"新装"なったフラッグシップ4ドアクーペ

  • フォルクスワーゲンCC 走り|ニューモデル試乗
  • フォルクスワーゲンCC リアスタイル|ニューモデル試乗
ダンパー減衰力やパワーステアリング特性を制御するDCCを標準化。直径5㎜未満の穴を自己修復してくれるモビリティタイヤが装着される
車名から"パサート"が取れて、その上位モデルとして再定義された"CC"は、フロントマスクやテールランプを現行のフォルクスワーゲンのトレンドに沿った横基調のシンプルなものとした新しいエクステリアを採用し、インテリアもブラックの他にトリュフ&チタンブラックカラーのナパレザーシートを採用するなど、全体にクラス感を強調した仕上がりとなった。

一方、パワーユニットには従来の3.6ℓV6と2ℓTSIに代えて、1.8ℓTSIを搭載。減速エネルギー回生システムも搭載し、燃費を向上させている。

装備の充実度も注目だ。アダプティブコントロールシャシー"DCC"や穴開きの自己修復機能をもつモビリティタイヤ、疲労検知システムなどを標準装備。さらにオプションで、プリクラッシュブレーキやレーンチェンジアシストなどを含むテクノロジーパッケージなども選択できる。

「高級」たることの難しさ

  •  フォルクスワーゲンCC インパネ|ニューモデル試乗
  • フォルクスワーゲンCC シート|ニューモデル試乗
ステアリング操作を監視することでドライバーの疲労を検知、警告灯や警報音で知らせるシステムも採用。ナビは質感の高い新型を装備する
ディテールの手直しだけで「こんなに変わるんだねぇ」というぐらい精悍になったCC。室内もシートの風合いなど良い雰囲気なのだが、ここまでやると今度はパサートと一緒のダッシュボード回りが寂しい。「高級」を標榜するのは難しい。

走りについても同様。動力性能は十分なのだが、フラットなエンジン特性ゆえにトキメキは薄い。路面を正直に拾う乗り心地やロードノイズも、エレガンスを求めた見た目とのギャップは小さくない。DCC付きとは言え、重量のかさむモビリティタイヤがこの点で不利なのはわかるけれど…。

見た目にホレたのでもない限り、VWのマークに思い入れのない人に勧めるのは難しそう。しかしパサートのユーザーが、次も同じじゃつまらないからと選ぶには悪くないかもしれないし、きっとターゲットもそんな人だろう。その場合は、せっかくだからテクノロジーパッケージは必須にて。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード 1.8TSI Technology Package
全長×全幅×全高(mm) 4815×1855×1425
車両重量(kg) 1540
エンジン種類 直4DOHC+TURBO
総排気量(cc) 1798
最高出力[ps/rpm] 160/4500-6200
最大トルク[Nm/rpm] 250/1500-4500
車両本体価格 524万円
Tester/島下泰久  Photo/向後一宏