※この記事はカーセンサー関東版31号(2000年8月17・24日発売)に掲載されていたものをWEB用に再構成したものです

巨漢を軽々と押し出す新世代のディーゼルターボだ

  • メルセデス・ベンツ ML270CDI 走り|ニューモデル試乗
  • メルセデス・ベンツ ML270CDI リアスタイル|ニューモデル試乗
↑ストレスを感じるどころか、むしろ速すぎるほどの出足をみせる(左)4WD用にチューンしたアクティブセーフティ機構を装備する(右)
グニャグニャ、フニャフニャ、走りも重くてドタバタして、どうもメルセデスらしくない、SUVのMLに、メルセデスの新世代ディーゼルターボである、270CDI(コモンレール・ダイレクト・インジェクション)搭載モデルが追加された。 このディーゼルターボは、先日海外で試乗してきた次期Cクラスにも搭載されており、その凄さは体験済み。スタートダッシュときたら、Cクラス最強のC320よりも強力で、踏みすぎるとホイールスピンしながら飛び出して行く。

個人的には臭い、煙い、うるさい、遅い、でディーゼルは拒否するタチだが、先の次期Cクラスで好印象だっただけに、あの低速トルクのバケモノなら、MLの巨漢も軽々と押し出すだろうという予想は見事に的中した。出足からストレスはまったく感じないし、いやむしろ速すぎるほどだし、アイドリングさえ除けば、“ディーゼル”はどこにも感じない。

オーストリア製になったことで剛性感も向上!

  • メルセデス・ベンツ ML270CDI インパネ|ニューモデル試乗
  • メルセデス・ベンツ ML270CDI エンジン|ニューモデル試乗
↑センターコンソール部にはカーボンルックパネルを採用する(左)コモンレールは燃料に高い圧力をかけてインジェクターに分配する装置(右)
加速するとそのエンジンサウンドは5気筒なだけにまさに旧いアウディ。ただし向こうはガソリン、こっちはディーゼルということが、技術の進歩を感じさせる。

冒頭の「グニャ・フニャ・ドタ」はもちろんボディや足回りからの振動だが、アメリカ製ではなくオーストリア製になったMLは、驚くほど剛性感が高くなった。感だけではなく、タイヤサイズをダウンした関係か、ハンドリングもムダな動きがなくシャキッと正確なものになっている。

とかく悪玉に取り上げられるディーゼルだが、CDIであれば有害物質を減少させ、煤煙やエンジンの振動や騒音も抑えられるから、東京都知事の決心を変えさせることも可能かもね。ともかくMLのベストバイモデルは、間違いなくML270CDIだ。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード ML270CDI
駆動方式 4WD
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4600×1835×1820
ホイールベース(mm) 2820
車両重量(kg) 2080
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直5DOHC+ディーゼルターボ
総排気量(cc) 2685
最高出力[ps/rpm] 163ps/4200rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 40.8kg-m/2600rpm
10・15モード燃費(km/L) 9.5
ガソリン種類/容量(L) 軽油/70
車両本体価格 460.0万円

桂 伸一の責任採点

コンセプト 5点 取り回し 4点 加速性能 5点 ブレーキ性能 5点
フィニッシュ 5点 操作系の使い勝手 4点 乗り心地 5点 環境対策 5点
前席居住性 5点 ラゲージルーム 5点 操縦安定性 5点 燃費 5点
後席居住性 4点 パワー感 5点 高速安定性 5点 ステータス 5点
内装の質感 4点 トルク感 5点 しっかり感 5点 コストパフォーマンス 5点
得点合計 96/100
(Tester/桂 伸一 Photo/渡邉 英昭)