メルセデス・ベンツ 新型Aクラスに試乗。小型ハッチバックとしては決して安くない。だが車としてのバリューは価格以上だ
カテゴリー: メルセデス・ベンツの試乗レポート
2019/02/17
「A」といえど侮れない仕上がり
メルセデス・ベンツの最もコンパクトなモデルがAクラスだ。
初代の登場は、1997年。少しハイトなコンパクトハッチバックとしてて話題と人気を集めた。
2012年に誕生した3代目モデルからは、メルセデス・ベンツのデザインアーキテクチャーに沿った2ボックス形状となった。
そして今回、4代目として新型Aクラスが登場したのだ。
日本で発売されるモデルは「A180」と「A180 Style」、加えて500台限定の「Edition 1」というモデル。
この試乗記では、私が最も購買意欲を感じた「A180 Style」について、感想をお伝えしたい。
先代に比べると若干大きくなったボディ。
エクステリアデザインも、よりロバスト(がっしりしていること)方向に振り、力強い造形となった。
他モデルでも受け継がれてきた、メルセデス・ベンツらしい形である。
横から見たときのプレスラインは、ボリュームがありつつも穏やかに抑えてあり、飽きのこないデザインに思える。
Aクラスのインパネには、上位車種と同様にワイドなディスプレイが採用されており、使いやすい。
更に今回から『MBUX(Mercedes Benz User Experience)』というインフォテインメントシステムを導入し「ハイ! メルセデス」と呼びかけると様々な機能が容易に操作できるというのも話題だ。
私も実際に試してみたが、意図的に話しかけずとも「メルセデス」というフレーズが入ると素早く反応した。
このボイスコントロール機能は自然言語を理解できるらしく、遠まわしな表現にも対応するという。
例えば、「○度」と指示しなくても、「暑い」と言えばエアコンの温度を下げてくれるのだ。
このようなクオリティの音声認識機能は、自動車では初採用である。
ディスプレイに限らず、インテリアの造りの良さは目を見張るものがある。
送風口やスイッチ類のフィールや質感も十分すぎる出来栄えだ。メルセデス・ベンツは、このようなアメニティのコントロールが素晴らしく、使っていてとても心地よい。
気分的な部分はもちろん、体感としてもだ。
例えば、エアコンは“全体的”に暖かさを感じる。顔の付近ばかりが火照って、足元が寒いなんてことはない。
冒頭に書いたとおり、Aクラスはブランド内で最も小さなモデルであるが、メルセデス・ベンツのクオリティや雰囲気というのを体感するには十分な仕上がりとなっている。
それは走行性能にしても同様だ。
ルノーと共同開発した1.33L(1.4Lと言いたいところだが……)ターボユニット。アイドリングの振動は少々気になったが、走り出せば全く問題なく、1.33Lとは思えないフィーリングだ。
トランスミッションはツインクラッチ式のDCT 7速AT。
走り出しは、ターボ車らしからぬ滑らかな立ち上がりで、十分な加速とスムーズなシフトを繰り返す。きめ細かい。
乗り心地は、どちらかといえば「スポーティ」な部類だろう。路面からの突き上げが少々気になった。
しかし、トーションビーム式を採用したリアサスペンションは落ち着きがよく、アライメント変化が少ないので、荷物や乗員の量に関わらず安定性が高い。
こういった点は、一般的なモデルにとって重要な要素である。
今後、成熟していけば、乗り心地ももっと角が取れた印象になるだろう。
そして高速道路。この速度域では本領が発揮された。
直進安定性が高く、横風にも強い。さすがドイツ車……というのは古い言い方だろうか。
新型Aクラスは、「ハッチバック」としては高価な価格設定だが、質感や先進装備、安全性能を考えれば、お得だと評価できる仕上がりだ。
小型であってもモノの良さを感じる。他のハッチバックとは一線を画した印象だ。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:A180 Style ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4 DOHC 16バルブ ターボ ■総排気量:1331cc
■最高出力:100(136)/5500 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:200(20.4)/1460-4000[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:7AT
■全長x全幅x全高:4420×1800×1420(mm) ■ホイールベース:2730(mm)
■ガソリン種類/容量:ハイオク/43(L)
■WLTCモード燃費:15.0(㎞/L)
■車両価格:369万円(税込)~
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