▲いよいよデリバリーが始まった新型Cクラスシリーズ。9月下旬に開催された試乗会で4モデルに乗ってきたので、感想をお伝えしたい▲いよいよデリバリーが始まった新型Cクラスシリーズ。9月下旬に開催された試乗会で4モデルに乗ってきたので、感想をお伝えしたい

マイナーチェンジとは思えない刷新ぶり

2014年に登場した4代目の現行型Cクラスは、“アジリティ”と呼ばれるドライバビリティがそれまでのCクラスと比べ機敏な動きとなった。今でも初めて乗った印象を鮮明に覚えている。

あれから4年。今年7月25日にマイナーチェンジが発表され、セダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレの4モデルがそれぞれ刷新された。

そして9月下旬に、肌寒さが始まった軽井沢にてメディア向け試乗会が開催。ここではその感想をお伝えする。

私が現行型に乗るのは、実に4年ぶりだった。4年前は、「メルセデスもずいぶんスポーティな雰囲気になった」と感じた一方、特有のどっしりとした重厚感も健在であった印象。新型はいかがなものか。

▲メルセデス・ベンツ日本広報部によると、目玉はセダン。ちなみに、日本で販売する量販モデルほぼすべて、このタイミングでランフラットタイヤを廃止したそうだ。より日本の道路での乗り心地に期待ができる ▲メルセデス・ベンツ日本広報部によると、目玉はセダン。ちなみに、日本で販売する量販モデルほぼすべて、このタイミングでランフラットタイヤを廃止したそうだ。より日本の道路での乗り心地に期待ができる

C200 アヴァンギャルド(セダン)

新たな装備として大きいのは、新設計の1.5Lターボエンジン。そして付随する48Vの電気システムとBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)によるマイルドハイブリッド装置だ。

これらは、トルクの落ち込みをそっとアシストし、加速をよりスムーズにする他、エンジン始動も滑らかに、クランキング振動の低減も実現している。

マイルドハイブリッドといえば、日産のセレナやスズキでも採用しているお馴染みのシステムであるが、新型Cクラスの場合は48Vを使って高効率化と力強さを発揮しているところが売りだ。

Photo:尾形和美

そして「基礎」は変わらないマイナーチェンジでも、エンジンの変更だけで終わらないのがメルセデスである。今回は、およそ6500ヵ所に変更を加えたらしい。その恩恵はどこに出ているのか、確認していきたい。

まず、新開発の1.5Lターボユニットは一瞬でエンジンが始動した。しかも4気筒でありながら振動がとても抑えられている。試乗時は3名乗車だったが、ターボを感じられないリニアな発進だった。

急激に増加しない力強さは「本当に1.5Lか?」と思えるほど厚みがある。アクセルを踏んで加速すると、これまた国産の1.5Lターボとは比べものにならない桁違いの重厚感。希薄なイメージは全くない。

そして、48Vモーターのほんのちょっとしたアシストが、トルクのつなぎ目を滑らかにしてATとのマッチングをスムーズにさせている。

上り坂で回転を上げても、無理をしている雰囲気は皆無である。ターボとはいえ、これはお釈迦様でも1.5Lとは思わないだろう。 そして、キャビン内の静粛性がとてもいい。乗り心地もマイナーチェンジ以前に比べ、とても滑らかになった。

試乗時は雨天だったが、ワインディングも実に安定していて、FRとしては最高の安心感。これこそメルセデスである。

高速道路の登坂路では多少加速が鈍るものの、嫌なノイズは全くなかった。

また、Sクラスに搭載されている安全装置がこのCクラスにも搭載されたということで軽く試してみたが、車線の中央キープといい、ウインカー操作による自動車線変更システムといい、ただただ感心してしまう出来だった。これらは明らかに、セグメントを逸脱したハイエンドな装備だ。

▲ドライバーがウインカー操作のみ行えば、車が勝手に車線変更を行う「アクティブレーンチェンジアシスト」。もはや人間のようなブレーキングで不快感は全くない。雨天でもきちんと車線を認識し、スムーズに誘ってくれる ▲ドライバーがウインカー操作のみ行えば、車が勝手に車線変更を行う「アクティブレーンチェンジアシスト」。もはや人間のようなブレーキングで不快感は全くない。雨天でもきちんと車線を認識し、スムーズに誘ってくれる

C220d ステーションワゴン アヴァンギャルド

すでに上級車種に採用されている2Lクリーンディーゼルエンジンが搭載のワゴンモデル。とても人気のある1台、C220dステーションワゴンだ。試乗したのは、セダン同様アヴァンギャルド仕様だ。

まず、2Lとなったディーゼルエンジンであるが、静粛性は驚くほど向上している。ガソリンモデルに引けを取らないほど静かだ。

Photo:尾形和美

セダン同様、3人乗車で試乗したが、エンジンのパフォーマンスはこのクラスには十分すぎる力強さ。中間加速は、ガソリン車では味わえない加速感だ。どこからでもズバッと加速し、無理のない運転ができる。頑張らなくても、ゆとりのあるドライビングが可能だ。

タイトな山間部では、フロントの重量の関係でガソリンモデルほど軽やかなハンドリングとはいかないが、スイスイと余裕の走りは実感できた。そして高速道路での乗り心地は、セダン同様にとても良い。

Photo:尾形和美

また、改めて思ったが、ワゴンというユーティリティ性はもちろん、コンパクトながら存在感あるこのスタイリングが人気の要となっているのだろう。Eクラスとのヒエラルキーすら超越したアクティブさが魅力的である。

ただし、このスタイリングだからこそのネガもある。乗り心地と静粛性はセダンに劣るのだ。これは、エンジンがディーゼルということも差し引いてもだろう。キャビンと荷室が同じ空間にあることが理由であるから仕方ない点ではあるが、乗り比べると差を感じてしまった。

▲ミニバンなど、ワゴン系の需要が高い日本には最適なモデルかもしれない。セダンと比較検討するなら別だが、他社のステーションワゴンと比較するなら、十分な静粛性と乗り心地だ ▲ミニバンなど、ワゴン系の需要が高い日本には最適なモデルかもしれない。セダンと比較検討するなら別だが、他社のステーションワゴンと比較するなら、十分な静粛性と乗り心地だ

2台とも「6500ヵ所の変更点はダテじゃない!」ということが実感できる仕上がりだった。次回は、試乗会2日目に乗ったカブリオレとAMGについて感想を述べたい。

text/松本英雄
photo/尾形和美

【SPECIFICATIONS】
■車種・グレード:C200 アヴァンギャルド ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列4気筒DOHC + ターボ + モーター ■総排気量:1497cc
■最高出力:135(184)/5800~6100rpm [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:280(28.6)/3000~4000rpm[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FR ■トランスミッション:9AT
■全長x全幅x全高:4686×1810×1442(mm) ■ホイールベース:2840mm
■ガソリン種類/容量:ハイオク/41(L)
■車両価格:552万円(税込)

■車種・グレード:C220d ステーションワゴン アヴァンギャルド ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列4気筒DOHCディーゼルターボ ■総排気量:1950cc
■最高出力:143(194)/3800rpm [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:400(40.8)/1600~2800rpm[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FR ■トランスミッション:9AT
■全長x全幅x全高:4702×1810×1457(mm) ■ホイールベース:2840mm
■ガソリン種類/容量:軽油/41(L)
■車両価格:602万円(税込)