V8NA+7MCTは歴史的パワートレイン

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↑Cクラスクーペに準じたインパネ回りには専用設計のパフォーマンスステアリングやスポーツシートを採用。速度計は 320km/hまで表示されるほか、タイマー機能が作動してラップタイムを計測できるレースモードも与えられた
Cクラスベースのクーペ、というとハッチバックを思い出す方もおられるはず。アレはキレイさっぱり忘れていただきたい。新型は正真正銘のノッチバック。それも骨太なBピラーのあるタイプだから、Eクラスクーペには設定のないAMGモデルも用意された。

基本的にはマイチェン後のセダン&ワゴンのC63と同じメカニズムを積む。珠玉の6.2L V8自然吸気エンジンに、SL63などと同じAMGスピードシフトMCTの7速ミッションを組み合わせた。SLSを除けば今、メルセデスで最もホットでスポーティ、マニアックなパワートレインで、それゆえ将来、エンスー車の対象となることが今から約束されているようなものだ。

Cクーペそのものが、もっと若い世代にアピールしたい、という趣旨で誕生した。そのフラッグシップゆえ、今までになく健康的な印象の強いAMGである。
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↑457ps/61.2kg-m、0→100km/h加速4.3秒を発揮する6.2L V8NA、通称M156ユニットは2006年にAMGが独自開発したもの (左)大きく口が開いた黒塗りのエアインテーク、トランクリッドにはカーボンリップスポイラーを装着。LEDデイタイムランニングライトもAMG専用デザインとなる(右)

いつでもどこでも、お尻フリフリ

相変わらず迫力と軽快を見事に掛け合わせたパワートレインだった。MCTの変速は、必要なときに必要なだけ速い、とても理性的にスポーティなもので、メルセデスの性格によく似合っている。はやとちりナシ。変速の速さだけを求める時代は、とうに終わったのだ。

心地よい引っ掛かりとか、気持ちよいショックもまた大事な要素。デュアルクラッチタイプにはない魅力だと思う。クーペのC63は、お尻が軽いにもかかわらず後ろ足に大きなパワーを溜め込んでいる。だからサーキットで走らせると、ほとんどすべてのコーナーで尻と腰がムズムズし、ちょっとしたアクセルペダルの加減で、びゃーっとケツが滑り出す。

それが愉快でたまらない。電子制御(3ステージESP)もなかなかよくできていて、程よいタイミングでお仕置きが入るけれども、楽しむ時間はたっぷりとあった。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード C63 AMG Coupe
全長×全幅×全高(mm) 4707×1795×1391
車両重量(kg) 1730
エンジン種類 V8 DOHC
総排気量(cc) 6200
最高出力[ps/rpm] 457/6800
最大トルク[kg-m/rpm] 61.2/5000
Tester/西川淳 Photo/メルセデス・ベンツ日本