▲今回試乗したのは、2019年5月に発売となった新型のトヨタ スープラ。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の模様をレポートする▲今回試乗したのは、2019年5月に発売となった新型のトヨタ スープラ。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の模様をレポートする

3グレードすべてを乗り比べ

昨年の12月にスープラプロトタイプをサーキットで試乗し、そのポテンシャルの高さを感じずにいられなかった。

 

しかし、試乗したのは6気筒モデルの最もパフォーマンスが高いモデルであったことと、プラットフォームを共有するBMW Z4に比べると、しなやかではあるがあともう少しそのしなやかさがあればさらに上質になるのではとエンジニアと話をした。

 

あれからおよそ半年が経過して、市販モデルのスープラを試乗することができたのでお伝えしたい。

試乗したのはプロトタイプでサーキット試乗した「RZ」、そして4気筒モデルの「SZ–R」と「SZ」だ。

まず我々の最初の試乗はトップレンジの「RZ」からである。

修善寺のタイトな山間部をひたすら走り込んだ。

サーキットでは分からない、一般道の不特定多数の路面状況でのセッティングを見たかったからだ。

エンジンを始動すると直列6気筒のハーモニックな音色が、ドライバーと同乗者を高ぶらせてくれる。

作り込みはトヨタの冠が掲げられたモデルの中で、センチュリーを除いて最も精度の高い技術力のあるプレスラインを使い、ハイクオリティのマテリアルをあしらえた内装のスポーツカーである。
 

▲今回試乗した3グレード。左から「SZ」「SZ-R」「ZR」 ▲今回試乗した3グレード。左から「SZ」「SZ-R」「ZR」

出力だけではない、緻密さをまとった「RZ」

ゆっくりと発進して一般道を走る。

6気筒ユニットを搭載しているにも関わらず、軽快なノーズでターンインを繰り返す。

モノブロックのアルミキャリパーの剛性感も抜群だ。

特にペダルの剛性の高さは国産車では見られないほどカチッとしており、信頼のできる作りになっている。

8速ATはキレが良く、細かな制御で心地よいサウンドとパワーバンドに確実に捉えている。

こういったシフトのポジショニング制御にBMWのノウハウが入っていることは、即座に理解できる。

ステアリングのフィーリングはしっとり重めで、コーナリング中に路面からの入力に対してもドライバーへ確実なアシストを教えてくれる。

轍の多い道でのブレーキングも、ステアリングホイールが取られることはない。

アライメント変化が少ないが、状態を維持しつつせめぎ合いのセッティングでのゴムブッシュのチューニングを行っているのだ。

カーブ途中の凸凹した路面でも、極めて懐の深いサスペンションが車体の挙動を最小限にする。

ドライバーは目先の挙動に臆することなく先を見てドライビングができる。

直列6気筒ツインスクロールターボチャージャーは、NAの6気筒をトルク重視にチューニングしたかのような滑らかでリニアな出力が特徴だ。

340馬力を受け止めるシャシーは盤石で、コーナーからの脱出でトラクションを失ってもバイブレーションを感じさせないソリッドさがある。

だからこそ緻密なコントロールができるのだ。

リアデフの制御は、サーキット試乗でも感じたが一般道ではより顕著に感じられる。

高速道路でも安定した乗り心地と、どこから踏んでも期待以上のパフォーマンスを得ることができる。

6気筒モデルの「RZ」は万能なグレードなのだ。
 

▲アップダウンの続く峠道で際立った「RZ」のエンジンレスポンス ▲アップダウンの続く峠道で際立った「RZ」のエンジンレスポンス

バランスの良さを感じさせる「SZーR」

続いて「SZーR」という4気筒モデルの試乗だ。

4気筒といってもそのフィーリングは、国産モデルにはない厚みのある出力が特徴だ。

強固なブロックとターボチャージャーの組み合わせが燃焼を均一にし、エンジン音も4気筒とは思えないほど心地よいバランスで重厚感がある。

タイトな上り坂のワインディングが続く山道でも、パワー不足は全く感じない。

しかし、SZーRの最も性能が感じられるのは下り坂だ。

軽快なハンドリングは、ノーズが軽い4気筒ならではの特徴がすぐさま理解できる。

専用にチューニングされたダイレクトで小気味良い8速ATと、18インチのタイヤとホイールにマッチしたサスペンションセッティングによって、3グレードの中で最も山道を楽しんでドライビングできる。

エンジンの出力うんぬんよりも、バランスの取れたパフォーマンスではこちらに軍配が上がる。
 

▲4気筒と侮るなかれ! 軽快な操作性は3グレードの中でも頭一つ抜けていた ▲4気筒と侮るなかれ! 軽快な操作性は3グレードの中でも頭ひとつ抜けていた

マイルドな乗り味の「SZ」

最後にドライビングした「SZ」は、このスープラのスタイリングが好きな人にはもってこいのグレードだ。

出力は200馬力に届かないが、普通に乗るのであれば申し分のないパフォーマンスだ。

ATとの制御もスムーズで乗りやすさが重視されている。

こちらも同じような山間部を走ったが、タイヤのダンピングが収束できないことでダンパー自体の収束も遅くなり、上のグレードに比べるとマイルドなセッティングではある。

それでもボディ剛性はトヨタ車の中ではピカイチで、品質の良さも他にはないものを感じさせる。

パフォーマンスやクオリティなどを鑑みて総合的に判断すると、6気筒モデルの価格はかなり頑張った価値ある690万円であると思う。
 

▲比較的マイルドな乗り味だが、それは上位2モデルと比べての感想。スタイリング重視の人には十分すぎるパフォーマンスを発揮するだろう ▲比較的マイルドな乗り味だが、それは上位2モデルと比べての感想。スタイリング重視の人には十分すぎるパフォーマンスを発揮するだろう
文/松本英雄、写真/尾形和美
 

【試乗車 諸元・スペック表】
●RZ

型式 3BA-DB42 最小回転半径 5.2m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.38m×1.87m×1.29m
ドア数 3 ホイールベース 2.47m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.6m/1.59m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 0.97m×1.46m×1.06m
4WS - 車両重量 1520kg
シート列数 1 最大積載量 -kg
乗車定員 2名 車両総重量 1630kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.11m
マニュアルモード    
標準色

ホワイトメタリック、シルバーメタリック、アイスグレーメタリック、ブラックメタリック、プロミネンスレッド、ディープブルーメタリック

オプション色

ライトニングイエロー、マットストームグレーメタリック

掲載コメント

-

型式 3BA-DB42
駆動方式 FR
ドア数 3
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ホワイトメタリック、シルバーメタリック、アイスグレーメタリック、ブラックメタリック、プロミネンスレッド、ディープブルーメタリック
オプション色 ライトニングイエロー、マットストームグレーメタリック
シート列数 1
乗車定員 2名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.2m
全長×全幅×
全高
4.38m×1.87m×1.29m
ホイール
ベース
2.47m
前トレッド/
後トレッド
1.6m/1.59m
室内(全長×全幅×全高) 0.97m×1.46m×1.06m
車両重量 1520kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1630kg
最低地上高 0.11m
掲載用コメント -
エンジン型式 B58 環境対策エンジン -
種類 直列6気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 52リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 2997cc 燃費(WLTCモード) 12.2km/L
└市街地:8.3km/L
└郊外:12.9km/L
└高速:14.7km/L
燃費基準達成 -
最高出力 340ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
500(51)/4500
エンジン型式 B58
種類 直列6気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 2997cc
最高出力 340ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
500(51)/4500
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 52リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 12.2km/L
└市街地:8.3km/L
└郊外: 12.9km/L
└高速: 14.7km/L
燃費基準達成 -
 

●SZ-R

型式 3BA-DB22 最小回転半径 5.2m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.38m×1.87m×1.3m
ドア数 3 ホイールベース 2.47m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.6m/1.59m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 0.97m×1.46m×1.06m
4WS - 車両重量 1450kg
シート列数 1 最大積載量 -kg
乗車定員 2名 車両総重量 1560kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.12m
マニュアルモード    
標準色

ホワイトメタリック、シルバーメタリック、アイスグレーメタリック、ブラックメタリック、プロミネンスレッド、ディープブルーメタリック

オプション色

ライトニングイエロー

掲載コメント

-

型式 3BA-DB22
駆動方式 FR
ドア数 3
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ホワイトメタリック、シルバーメタリック、アイスグレーメタリック、ブラックメタリック、プロミネンスレッド、ディープブルーメタリック
オプション色 ライトニングイエロー
シート列数 1
乗車定員 2名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.2m
全長×全幅×
全高
4.38m×1.87m×1.3m
ホイール
ベース
2.47m
前トレッド/
後トレッド
1.6m/1.59m
室内(全長×全幅×全高) 0.97m×1.46m×1.06m
車両重量 1450kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1560kg
最低地上高 0.12m
掲載用コメント -
エンジン型式 B48 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 52リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1998cc 燃費(WLTCモード) 12.7km/L
└市街地:9.2km/L
└郊外:13.1km/L
└高速:14.7km/L
燃費基準達成 -
最高出力 258ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
400(40.8)/4400
エンジン型式 B48
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1998cc
最高出力 258ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
400(40.8)/4400
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 52リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 12.7km/L
└市街地:9.2km/L
└郊外: 13.1km/L
└高速: 14.7km/L
燃費基準達成 -
エンジン型式 B48
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1998cc
最高出力 258ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
400(40.8)/4400
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 52リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 12.7km/L
└市街地:9.2km/L
└郊外: 13.1km/L
└高速: 14.7km/L
燃費基準達成 -

●SZ

型式 3BA-DB82 最小回転半径 5.2m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.38m×1.87m×1.3m
ドア数 3 ホイールベース 2.47m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.61m/1.62m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 0.97m×1.46m×1.06m
4WS - 車両重量 1410kg
シート列数 1 最大積載量 -kg
乗車定員 2名 車両総重量 1520kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.12m
マニュアルモード    
標準色

ホワイトメタリック、シルバーメタリック、アイスグレーメタリック、ブラックメタリック、プロミネンスレッド

オプション色

-

掲載コメント

-

型式 3BA-DB82
駆動方式 FR
ドア数 3
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ホワイトメタリック、シルバーメタリック、アイスグレーメタリック、ブラックメタリック、プロミネンスレッド
オプション色 -
シート列数 1
乗車定員 2名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.2m
全長×全幅×
全高
4.38m×1.87m×1.3m
ホイール
ベース
2.47m
前トレッド/
後トレッド
1.61m/1.62m
室内(全長×全幅×全高) 0.97m×1.46m×1.06m
車両重量 1410kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1520kg
最低地上高 0.12m
掲載用コメント -
エンジン型式 B48 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 52リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1998cc 燃費(WLTCモード) 13.1km/L
└市街地:9.5km/L
└郊外:13.6km/L
└高速:15.1km/L
燃費基準達成 -
最高出力 197ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
320(32.7)/4200
エンジン型式 B48
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1998cc
最高出力 197ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
320(32.7)/4200
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 52リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 13.1km/L
└市街地:9.5km/L
└郊外: 13.6km/L
└高速: 15.1km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。