トヨタ マークII 【プレイバック試乗記】
カテゴリー: トヨタの試乗レポート
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2009/06/22
※この記事はカーセンサー関東版44号(2000年11月30日発売)に掲載されていたものをWEB用に再構成したものです
単なる後継モデルでなく走りを追求した別セダン
↑グランデiR-V。乗り心地と“キレ”を両立した走り重視のスポーツセダン(左)リアビューでは、リアコンビの真ん中をボディカラーが横切る構成になっているため、色味によってはかなり印象が異なる。また、車名とグレード名の位置もポイント(右)
走りを追求するなら、やっぱりセダンであるというのが、新マークIIのコンセプトだ。そして、既存のマークIIの後継車をどう作るか? ではなく、そうしたセダン(より正確には、3ボックスタイプ)のあるべき姿をまず確認し、結果として、それにマークIIという名前をつけたのが、このモデルの開発の流れだったという。
とはいえ、クルマの大きさとか排気量は見事に「マークII」という場所を継承しており、その開発の話はちょっと言いすぎという気はするが、ともかく開発側のスピリットとしては、そういうことだった。そういえば、インテリア全体に見られる今回の素っ気なさは、非マークII的な光景ということもできるだろう。
そして、コンセプトは、少し高められたヒップポイント(シートの地上高)の設定にも表れている。しかし、スタイリング全体の印象は、これまでのマークII路線の中にあるといえよう。
NA 感覚のターボにより快適にセダンを楽しむ
↑iR系の木目調インパネはダークなワインレッドでブラックとコーディネート(左)座ってたっぷり“厚み”を感じるシートは、腰のサポートもいい(右)
新マークIIは、いわば“セダン好き”(走り好き)が世の中に存在することを信じてのモデルチェンジといえそうで、それを示すのが、新設された「iR」というシリーズであろう。これは従来のツアラー系の継承でもあるが、ただ、乗り心地のしなやかさと走りの“キレ感”との両立という点では、全体にちょっと荒っぽい部分もあったツアラー時代よりもワンランク上になっている。
そのiR系の足とターボの組み合わせになるのがiR-V。今回のターボは、パワーがドカッとこないNAライクな設定になっており、いつでも安心して(?)アクセルを踏める。
この辺にも、全体的な走りのバランスにこだわった姿勢がうかがえ、このターボユニットのトルク感を楽しみつつ、快適なスポーツセダンとしての走りができる。
また、どうしてもマークIIをマニュアルシフトで走らせたいということになれば、このiR-Vを選ぶしかない。しかし、こうしたMT 仕様は、ターボよりも、むしろNAエンジンに設定してほしい、というのは少数派の意見なのだろうか!?
ちなみに、iR-VでのMTとATとの価格差は3万円、またノンターボ仕様iR-S(AT)とは41万円差。
これまでの“らしさ”ならiR系以外がオススメ
↑グランデ系の木目調は、かなり明るいベージュ色でまとめられている(左)膝回りの空間が拡大された後席は、足が組める。カーテンエアバッグは後席も装備(右)
新マークIIのグレード設定は、主に足の設定において、iR系とそうでない仕様(グランデ系)とに大きく分かれると考えておけばよい。そして前述のように、iR系といっても乗り心地面での問題は特にないのだが、ただ、やっぱり“マークIIらしさ”(……って何だ!?)を求める人はいるということで、ノーマル仕様(グランデ系)が用意されている。 このノーマル仕様でも、走りにおけるヤワな感じなどはないのだが、一方でiR系がある以上、どうしても比較の対象になる。
この2 種の足では、ステアリング(手のひら)に伝わる接地感という点においてはiR系に分がある。一方でノーマル仕様は、ロールをうまく使って、しなやかに走れるセッティングになっている、という点ではなかなかのデキだ。
そのセッティングでバランスがいいのは2Lエンジンのグランデである。 また、iR系の場合、エンジンの音を、特に高回転域ではそれなりに“聞かせる”というセッティングになっている。したがって、あくまでも従来のマークII的な静粛性を重視するなら、iR系にはしないといい。
2.5L直噴エンジンは燃費もスムーズさも向上
↑過給に段つきのない滑らかなターボ、あくまでもNA感覚で、というのが狙い(左)直噴エンジンも進化し、全域でのスムーズさが大幅向上。これなら使える(右)
スポーツマークIIというべきシリーズがiRとして継承されている。
これは今日のマーケットでは、マークIIからの代替というよりも、もう少しお金を出してもいいですよ、というアルテッツァユーザーの上級移行にも対応できそう。ビシッとタイトなiR系の走りは、その役目を十分に果たすはず。ハードとしては、筒内直噴エンジンとして、2.5L D-4の初登場がニュース。
公表燃費は、従来型2Lを上回るもので、スムーズさが大幅に向上している。また、通常の運転で多用する2000rpm付近でのゴロゴロ感が、きわめて少なくなったのは評価できる。
SPECIFICATIONS
主要諸元のグレード | グランデiR-V(5MT) | グランデG-tb |
駆動方式 | 2WD | |
トランスミッション | 5MT | 4AT |
全長×全幅×全高(mm) | 4735×1760×1460 | |
ホイールベース(mm) | 2780 | |
車両重量(kg) | 1520 | 1530 |
乗車定員(人) | 5 | |
エンジン種類 | 直6DOHC ターボ | |
総排気量(cc) | 2491 | |
最高出力[ps/rpm] | 147ps/6000rpm | |
最大トルク[kg-m/rpm] | 25.5kg-m/4000rpm | 26.0kg-m/3800rpm |
10・15モード燃費(km/L) | 9.8 | 9.4 |
ガソリン種類/容量(L) | 無鉛プレミアム/70 | |
車両本体価格 | 333.0万円 |
家村浩明の責任採点
コンセプト | 3点 | 取り回し | 4点 | 加速性能 | 4点 | ブレーキ性能 | 4点 |
フィニッシュ | 5点 | 操作系の使い勝手 | 4点 | 乗り心地 | 5点 | 環境対策 | 4点 |
前席居住性 | 5点 | ラゲージルーム | 4点 | 操縦安定性 | 4点 | 燃費 | 4点 |
後席居住性 | 4点 | パワー感 | 4点 | 高速安定性 | 5点 | ステータス | 4点 |
内装の質感 | 5点 | トルク感 | 5点 | しっかり感 | 5点 | コストパフォーマンス | 5点 |
得点合計 | 87/100 |
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