クリープ現象(くりーぷ・げんしょう)/[基本性能]

クリープ現象とは、AT車においてエンジンがアイドリング状態でアクセルペダルを踏まなくても車両が動く現象のことで、“摺り足現象”とも呼ばれている。

AT車は流体クラッチを採用するトルクコンバーターを搭載するが、MT車のクラッチとは異なり、動力の伝達に液体を用いているため、完全に切断することができない。加えてトルク増幅機構も備わるため、シフトレバーがDレンジにある時、アクセルペダルを踏まないアイドリング時の低回転でも動力がタイヤまで伝わり、車両がゆっくりと動く。

メリットとしては、渋滞や駐車する時などのスピードコントロールが容易である。絶えず駆動力が伝達されているため、坂道発進などで斜度によってはブレーキからアクセルへペダルの踏み替え時に車両が後退しないなどの点が挙げられる。

一方デメリットは、ドライバーの意思に反して車が動き出すことで追突事故などが発生しやすいこと。そのため、エンジンを始動する時、ブレーキペダルを踏まないとエンジンがかからない安全機構が組み込まれた車が増えている。