誰もが待ち望んだ第3世代“R”
世界のライバルを見据えすべてを一新

PHOTO/篠原晃一、日産自動車
日産 GT-R
↑ボディ塗装には下部の衝撃吸収塗装と2種類のコートにより世界最高レベルの“耐ピッチング性能”を実現する

コンセプト
日産が解釈するスーパーカーの定義

CPS(開発総責任者)である水野氏が、そして日産が提唱する“スーパーカー(以下SCと略)”の考え方はこうだ。①パワーウェイトレシオ(P/W)が4.0kg/ps以下であること(3kg/ps以下はレーシングカーの世界)②300km/hで公道を走れること③ニュルブルクリンクサーキット(以下ニュル)で8分を切れること。この3つは必須条件(三種の神器)だという(ちなみに新型のP/Wは3.6kg/ps)。しかし、これでは一部の限られたユーザーしか味わうことができない閉鎖的な市場になってしまう。そこで、誰もがオープンにその超高性能の世界を堪能できること、雪道や雨中でも余裕の走破性をもつこと、新しいGT-Rはそこを目指したという。日産がSC市場に参入するということは従来からの欧州製SCとは異なる新しい高性能技術をグローバル(世界)にアピールすることである。だから今までのGT-Rがスカイラインをベースとしたのに対し、新型は日産における最高の性能をもつ車として開発された。つまりスタートの段階から新型GT-Rは考え方が従来とは大きく異なっているのだ。

エクステリア
走りのために追求した機能的なデザイン

エクステリアは’05年のプロトタイプをさらに洗練させた印象、水野氏も「あの段階で完成版の90%は見せていた」と言っていることからも、デザインはほぼ固まっていたということだろう。特に300km/hで公道を走れる性能に空力は不可欠、空気の力を味方にすることでGT-Rがもつ高性能は実現される。フロント側のダウンフォースを助ける“フェンダーバックスクープ”など数多くの空力デザインがGT-Rの機能として生かされている。

メカニズム
0→100km/h加速3.6秒を実現する4WDシステム

GT-Rの革新的とも言えるメカニズムのすべてを語ることは難しい。しかし、重要なことが一つある。それは「GT-Rはノーマルで乗ることを前提としている」ということだ。例えば、新型に装着される2種類のタイヤは4年の開発期間をかけて3000種類のテストの中から生まれた専用品である。ニュルを1周7分30秒で走るとタイヤ1本に5tの荷重がかかるという。これに耐えられるボディ、タイヤ、ホイールでなければならない。またオイル一つとっても通常の流動性の高いもののさらに上を行く“GT-R専用”でなければエンジンが壊れてしまう。エンジンはコンピュータの製造工場などで使われるクリーンルーム(塵、ホコリのない空間)で一人の匠の技で組み上げられ、出荷前にはブレーキ、ミッションの慣らし、サスペンションのフリクション取りまで行う。こうした念の入ったサービスは、GT-Rが「今までの規格をすべて超えたから」(水野氏)にほかならない。ゆえにノーマル自体が極めて高いレベルにあるGT-Rは素の状態で乗ることが必須ということなのだ。
POINT

[1]ダウンフォースを最大限に発揮する
    機能的なエクステリアデザイン
日産 GT-R リアスタイル

[2]ドライビングに集中するための
    機能性と快適性を両立したインパネ
日産 GT-R インパネ

[3]赤ステッチなど細部まで手の込んだ
   ホールド感抜群のフロントシート
日産 GT-R インテリア

[4]ドライビングのログが参照できる
   マルチインフォメーションディスプレイ
日産 GT-R マルチファンクションメーター

[5]480ps/60.0kg-mを発生する
    新開発VR38DETTエンジン
日産 GT-R VR38DETTエンジン


グレード 3.8 ベースモデル 3.8 ブラック エディション 3.8 プレミアム エディション
駆動方式 4WD
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4655×1895×1370
ホイールベース(mm) 2780
車両重量(kg) 1740
乗車定員(人) 4
エンジン種類 V6DOHCターボ
総排気量(cc) 3799
最高出力[kW(ps)rpm] 353(480)/6400
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 58.8(60)/3200〜5200
10・15モード燃費(km/L) 8.2
ガソリン種類/容量(L) プレミアム/71
車両本体価格(万円) 777.0 792.75 834.75
発表日:平成19年10月24日 取り扱い:日産ハイパフォーマンスセンター