三菱デリカD:5▲2007年から生産され、中古車市場にも数多く流通している三菱 デリカD:5

普段+アウトドアで守備範囲最強のミニバン

3列シートと両側スライドドアを備えるミニバン。サイズやコンセプトなど多種多様のタイプが存在するが、古今東西、“オフロード性能”の高さをウリにするのは三菱 デリカD:5だけだ。

デリカD:5は悪路走破性の高さを保持しながら、エンジン横置き、フロント搭載として優れたパッケージと乗用車ライクな乗り味を実現したモデル。

3列シート、両側スライドドアも完備して、他のミニバンに負けない快適性と使い勝手の良さを手に入れた。また、トルクフルで経済的なディーゼルエンジンをラインナップしているのも魅力のひとつ。

「アウトドアで活躍できるファミリーカー」を探している人にとっては、まさに全能の存在だ。しかし、そんなデリカD:5も登場してから15年がたち、その過程においては大きな変更が何度かあった。

そこでデリカD:5の実力を紹介しつつ、中古車として買いはどの年式、仕様なのかを改めて検証してみたい。中古車市場でも人気のデリカD:5を、オトクに手に入れたいと思っている人はぜひ参考にしてほしい。
 

デリカD:5 ▲SUVとしての悪路走破性をしっかり確保しながら、ミニバンとしての機能も優秀

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三菱 デリカD:5× 全国
 

【ボディサイズ・デザイン】パッケージと機動性を両立した絶妙なサイズ

デリカD:5 ▲2007年1月に登場した前期型のデザイン
デリカD:5 ▲2019年2月に登場したデリカ後期型のデザイン

デリカD:5のボディサイズは全長:4730mm(前期)~4800mm(後期)×全幅:1795mm×全高:1825~1875mm。前期と後期で全長が70mmも異なるのは、バンパーの形状が変化したからであり、基本となるボディの設計自体は変わっていない。

全高はズバ抜けて高いが、全長、全幅でいうとノア&ヴォクシーやセレナのようなミドル級ミニバンと、アルファード&ヴェルファイア、エルグランドのようなラージ級ミニバンのちょうど中間にあたるサイズ。

実はこのサイズ、現在の国産ミニバンではぴったり競合する車種が他にない。それもそのはずで、デリカD:5がデビューしたのは2007年であり、その頃に人気を博していた3代目エスティマなどに近いサイズとなっているのだ。

そして、このサイズが大きすぎず小さすぎず、日常使いにおいて実にちょうど良い。四角いボディ形状も車両感覚を把握しやすく、車内空間は3列目シートまで含めて必要十分。「なぜ他のメーカーはこのサイズのミニバンを出さないのか?」と疑問に思うほどだ。

シートレイアウトは2-3-3の8人乗り仕様と、2列目をキャプテンシートとした7人乗り仕様(2007年12月~)がある。フル乗車 or 車中泊する機会がある人は8人乗り仕様、それ以外の人は7人乗り仕様という選び方で正解だろう。

デザインについては2007年1月~2019年1月までの前期型と、2019年2月~現在までの後期型ではっきりと方向性が異なる。

ざっくり言うなら前期型は直線を基調とした腰高なスタイルで、縦スロットのフロントグリルなど四駆らしさを重視したデザイン。

それに対して、後期型は三菱の新デザインコンセプトである「ダイナミックシールド」が全面的に採り入れられ、押し出しの強さを強調したデザインとなった。

悪路での使用を考えるなら有利なのは前期型のデザイン。アウトドアにもよく映えるルックスだ。一方で、縦型マルチLEDヘッドライトなど現代的な意匠をもつ後期型は近年、アグレッシブになっている他のミニバンと比べても全く迫力負けしない。ここは好みが大きく分かれるところだろう。
 

 

【動力性能・走行性能】静かなガソリンか、力強いディーゼルか

デリカD:5 ▲2012年に追加されたコモンレール式ディーゼルエンジンはデリカD:5の魅力を大きくアップした

デリカD:5には同社のアウトランダーなどと同じ、電子制御トルクスプリット式4WDが採用されている。FF仕様も存在するが、デビューから今日までラインナップの多くは4WD仕様だ。

必要に応じてリアへのトルク配分を自動的に変化させる方式で、現代のSUVではごく一般的。悪路走破性と経済性をバランスさせ、スイッチを操作する必要もない、必要十分なシステムと言えよう。

他のミニバンと大きく異なるのは、225/55R18(上級グレード)という大径サイズのタイヤと路面クリアランスの大きさだ。背の高いミニバンは一般的に砂地などでスタックしやすいが、デリカD:5は4WDと路面クリアランスによってコンサバティブなSUVと同等、クロスオーバーSUV以上の悪路走破性が確保されている。

車高が高いわりに重心は低く抑えられており、オンロードでのドライブにも違和感がない。また、悪路走破性向上のために余裕がもたされたサスペンションストロークが、乗り心地向上にも役立っている。こうした日常ユースでの快適性こそ、デリカD:5が幅広い客層で人気となっている大きな要因だろう。
 

デリカD:5 ▲オンロードの快適性も兼ね備えている

2WD仕様と4WD仕様でエンジンラインナップが大きく異なるのも特徴のひとつ。

2WD仕様に搭載されるのは2L 直4ガソリンエンジンで、2011年12月のマイナーチェンジでエンジンをDOHCの4B11型からSOHCの4J11型へと変更。アイドリングストップ機構が搭載され、燃費を向上させた。

4WD仕様はデビューからしばらくの間、2.4L 直4ガソリンエンジンのみのラインナップだったが、2012年12月に2.2L 直4コモンレール式ディーゼルターボエンジンを追加。このエンジンがトルクフルでデリカD:5のキャラクターによく合っている、と評判が良い。

2019年2月以降の後期型ではディーゼル車のATを6速から8速へと変更、トルクも増大し、洗練度が増している。燃費も12.6km/l(WLTCモード)とまずまずだ。なお、後期型で2WD仕様、ガソリン車は廃止された。
 

 

【装備】前期型はグレード次第、後期型で一気に充実

デリカD:5 ▲前期型はあくまで機能性を重視した作り、後期型は高級感も意識した作りとなっている

装備内容も前期型と後期型で大きく異なるポイントのひとつ。前期型の装備はグレードによってかなり差別化されていた。助手席側電動スライドドアが全車標準となったのは2010年6月から。運転席側電動スライドドアについては同時期に「G パワーパッケージ」に装備されたのが最初であり、その後も「G プレミアム」「D プレミアム」などの上級グレードにしか装備されていない。

デビュー当初、リアゲートを電動で開閉できる「エレクトリックテールゲート」、カメラで周囲を確認できる「マルチアラウンドモニター」は最上級グレードにしか搭載されていなかったが、2014年8月のマイナーチェンジで「G パワーパッケージ」「D パワーパッケージ」に採用を拡大。年を経るごとに装備内容は充実していった。

2019年2月以降の後期型では新車価格が上がると同時に、装備内容も一気に豪華に。両側電動スライドドアが「M」を除く全グレードに装備され(「M」は助手席側のみ)、機能が進化した「エレクトリックテールゲート」も「P」と「G パワーパッケージ」に装備された。

また、前期型では先進安全装備においてライバルに遅れをとっていたD:5だが、後期型になったことでキャッチアップ。三菱の予防安全技術「e-Assist」が採用され、衝突被害軽減ブレーキシステム、車線逸脱警報システム、レーダークルーズコントロールシステム、誤発進抑制機能などが標準装備された。安全性を重視して選ぶなら、後期型一択となるだろう。
 

 

【オススメの中古車】コスパ重視なら「G パワーパッケージ」

デリカD:5 ▲中古車市場に流通しているデリカD:5のうち、後期型は約3割。選択肢は十分にある

デリカD:5の持ち味であるオフロード性能を重視するなら、力強いディーゼル車、車高の低い「ローデスト」ではない4WD仕様を選びたいところ。

デリカD:5は現在、2000台強が中古車市場に流通しているが、その9割以上が4WD仕様。そして約半数がディーゼル車だ。「ディーゼル」「4WD」に絞ると、中古車市場での支払総額価格帯は前期型で110万~400万円、後期型で340万~600万円というところ。
 

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三菱 デリカD:5 × 4WD × ディーゼル × 「ローデスト」を除く

購入価格を安く抑えたいなら、前期型のガソリン車が狙い目。

こちらも流通量は約1000台と豊富にある。購入予算を低めに抑えつつ、充実した装備内容のグレードとしては両側電動スライドを装備する2014年8月以降の「G パワーパッケージ」がオススメ。

こちらは支払い総額150万円ほどから狙える。
 

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三菱 デリカD:5 × 「G パワーパッケージ」 × 前期型(2014年8月以降)
デリカD:5 ▲ほとんどのグレードに7人乗り仕様 or 8人乗り仕様の両方が設定されていた

ファミリーカーとして、アウトドアの相棒としてフル活用したいというなら、「MMCS」「マルチアラウンドモニター」などの快適装備が充実した最上級グレードを狙うべき。

前期型なら「G プレミアム」「D プレミアム」。後期型なら「P」が該当する。前期型の「G プレミアム」「D プレミアム」の支払総額は30万~220万円だ。

後期型では支払総額350万円~となるが、「マルチアラウンドモニター」や「後退時車両検知警報システム」など運転支援システムが不要なら、「G パワーパッケージ」でもOK。中古車市場に流通している後期型のほとんどが同グレード以上であり、選択肢がぐんと増える。
 

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三菱 デリカD:5 × 「G プレミアム」 & 「D プレミアム」&「P」全国

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三菱 デリカD:5 × 全国

※記事内の情報は2022年7月6日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/三菱自動車
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。