見た目はそっくりな新旧ホンダ N-BOX。旧型は60万円も平均価格が安くて魅力的だが、どんな人にオススメか?
2022/07/10
初代と現行型の間には60万円以上の差が!
ホンダ N-BOXは、何度も年間販売台数ナンバー1に輝くなど大人気のハイト軽ワゴン。
2011年12月に初代モデルが登場し、2代目となる現行型は2017年9月に登場した。当然、フルモデルチェンジを受けて現行型の性能は大きくアップしたが、見た目は初代のイメージを色濃く残している。
そのためちょっと車に詳しい人でも、ぱっと見では初代か現行型かを判別できない、なんてこともあるくらいだ。
見た目はそっくりな両車だが、中古車平均価格は大きく異なる。
原稿執筆時(2022年7月6日)の平均価格は、初代が84.5万円であるのに対し、現行型は148.8万円と、実に60万円以上もの差がある。
「古いものは安く、新しいものは高い」といった、中古車では当たり前のことが起きているにすぎないとも考えられるだろう。
しかし、こんなにも見た目がそっくりなのにここまで価格に大きな差があると、「こんなに安くて見た目もそっくりなら、正直初代でも良くないか?」と感じる人もいるのでは?
ということで今回は、改めて初代と2代目の違いをチェックし、どんな人なら初代でも満足することができそうか(逆に現行型を買った方が良いのはどんな人か)考えてみよう。
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ホンダ N-BOX(初代)×全国初代と現行型の大きな違いは「走行性能」と「安全性能」
まず結論から述べると、「N-BOXをメインカーとして使い、高速道路や山道などもバンバン走って頻繁に遠出する」ような人でなければ、60万円安い初代N-BOXでも十分に満足できる可能性が高いと言えるだろう。
その理由について、初代と現行型の大きな違いである「走行性能」と「安全性能」から考えてみよう。
■大きな違い1:走行性能
現行型で大きく進化した点の1つ目は「走行性能」だろう。
乗り心地や乗ったときのしっかり感、ハンドルを切ったときにスムーズに車が動くといった点で進化している。
これは、プラットフォームと呼ばれる車の土台の構造強化やボディの軽量化、カーブする際のボディの傾きを抑える機能、路面の振動を吸収する部品の進化……などによってもたらされたもの。
どれも目に見えるものではないが、車が進化するにために欠かすことのできない技術だ。
一方の初代はどうだろうか。当たり前だが、走行性能は現行型にはかなわない。メーカーも前よりももっと良い車を作ろうと努力しているのだから当然だろう。
しかし、初代の乗り心地や操縦性が悪いかと言われれば、決してそんなことはない。初代がデビューした当時は、それこそ乗り心地のよさや軽快な操縦性を高く評価する声が上がっていた。
登場から10年以上経過した今も、中古車の人気が衰えていないことが初代の出来の良さを物語っているだろう。
つまり、現行型は“超”優れた走行性能を持つが、初代もなかなか優れているということ。両車を乗り比べれば違いは分かるが、逆に言えば初代だけ乗ったときに「走行性能が悪い」と感じる人は少ないのではないかということだ。
なお、走行性能において重要なエンジンは、ターボとターボなしの2種類があること、それぞれのパワーやトルク、組み合わされるトランスミッションはCVTのみであることなどは両車とも同じだ。
ただし、同じエンジンやトランスミッションでも、現行型で燃費性能が向上している点はチェックしておきたい。
初代では年次改良などで燃費が向上していったが、現行型の方がターボの2WDモデルで1.8~6.8km/L、ノンターボの2WDだと1.4~4.8km/L(すべてJC08モード)優れている。
■大きな違い2:安全性能
初代と現行型で大きく異なる点の2つ目が「安全性能」だ。
安全技術というのは日進月歩の技術ゆえ、N-BOXに限らず新しい車ほど性能が高まる。
デビュー時の初代の安全機能といえば、急ハンドルを切った際に車両姿勢を安定させてくれるVSAと呼ばれる機能が全車標準装備されていたのが大きなトピックだった。
今や衝突被害軽減ブレーキが当たり前の時代においてはウリにならないが、軽自動車に標準装備されるのは当時としては画期的なことだったのだ。
2013年12月の一部改良時には、ようやく低速域衝突被害軽減ブレーキ+誤発進抑制機能(シティブレーキアクティブシステム)が「あんしんパッケージ」としてオプションで用意された。「低速域」というとおり、約5~30km/hの速度域において、前方車両に衝突する危険がある場合に働くブレーキだ。
一方で、2代目はデビュー時から「ホンダセンシング」が全車に標準装備されており、以下の10個の機能が備わる。
・衝突被害軽減ブレーキ
・誤発進抑制機能
・歩行者事故低減ステアリング(路側帯の歩行者と衝突しそうになるとそれを防ぐ)
・路外逸脱抑制機能(車線からはみ出さないよう支援)
・ACC(アクセルやブレーキを踏まなくても前方車と車間を適切に保ちながら走行)
・車線維持支援システム(高速道路などで車線中央に沿って走れるようステアリングを支援)
・先行車発進お知らせ機能
・標識認識機能
・後方誤発進抑制機能
・オートハイビーム(前方車や対向車を検知してロー/ハイビームを自動で切り替える)
このように安全装備面でいえば、現行型の充実ぶりは圧倒的。普通車や高級車に比べても見劣りしない。
さて、ここまで初代と現行型、両車の大きな違いについてチェックしてきた。
まとめると、“超”優れた走行性能が欲しく、ちょっとでも燃費性能が優れていることが外せず、もしものために最新の安全装備は欠かせない! という人であれば間違いなく60万円高くても現行型を選ぶのが正解と言える。
イメージとしては「N-BOXをメインカーとして使い、高速道路や山道などもバンバン走って頻繁に遠出する」ような人だろうか。
一方で、普通に優れた走行性能で十分で、多少燃費が劣ることに抵抗がなく、安全装備が少ないことも許容できる、それでいて初代の見た目でも全然問題ないという人にとっては、60万円安く買える初代はかなりの狙い目となってくるだろう。
「遠出をするときはもう1台のメインカーを使い、普段は近場の買い物や通勤でちょこっと使うくらい」のような人にオススメできそうだ。
以上、初代と現行型で大きく異なる点を紹介したが、「自分は初代が良い!」と感じた人は、引き続き本稿を読み進めていただきたい。
初代のモデル概要と中古車状況は?
燃料タンクを前席の床下に置くことで、広々とした室内空間を実現する「センタータンクレイアウト」を採用した初代N-BOX。
2011年12月にデビューするとすぐに大人気となり、毎年のように年間販売台数1位を獲得したのは前述のとおり。
室内長2180mm、室内高1400mmはデビュー時点で軽自動車ではトップの数値。これは、小学校5年生くらいまでの子が立ったまま着替えられるくらいの広さだという。
ちなみに2代目では室内長は+60mmとなったが、室内高は1400mmのままだ。
センタータンクレイアウトの恩恵で床が低く、小さな子供からお年寄りまでラクに乗り降りできる。またラゲージ床も低いので重い荷物も載せやすい。
売れた車だけに、原稿執筆時点で約6700台もの掲載があり、選択肢が豊富なのが初代N-BOXの魅力の一つ。
平均価格は84.6万円で、価格帯は12.9万~199.6万円と幅広い予算に対応しているのも嬉しいポイントだろう。
2015年2月のマイナーチェンジでデザインが変わったものの、あまり大きな変更ではない。機能も上記で述べたように、衝突被害軽減ブレーキが用意されたことが大きいが、オプションなので、購入時に有無を確認するようにしてほしい。
あとはターボの有無や欲しい装備、好みのボディカラー、走行距離を含めたコンディションで好みの1台を探してみよう。
平均走行距離は約6.3万km。走行距離5万km以下・修復歴なしで絞ってみても約2500台あり、2012年式前後なら同条件で支払総額60万円程度とかなり手頃な価格で見つけられる。
ターボとターボなしの割合は約2:8で、圧倒的にターボなしの方が多い。そして、価格はターボなしの方が安く、ターボの方が1、2割程度高いという感じだ。
ノーマルとカスタムではほぼ同台数。ただし、価格にはやや差があり、ノーマルだと20万~180万円、カスタムだと40万~190万円といった具合で、カスタムの方が高めだ。
いずれにせよ、現行型モデルよりもかなり安く狙うことができるため、初代と現行型の違いを理解したうえでなお、この60万円安く買える初代に魅力を感じた人は、ぜひ一度チェックしてみることをオススメしたい!
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ホンダ N-BOX(初代)×全国ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。