マセラティ ギブリ ▲ちょっといい感じの輸入セダンが欲しいけど、ドイツの定番ブランドだと周囲とかぶりまくるのが嫌かも……と考えている人にぜひ注目してほしいのが、イタリアのマセラティ ギブリ。定番ブランドでは味わいにくい個性と高級感を、場合によっては総額200万円台の予算で堪能できてしまうのです。そんなマセラティ ギブリのモデル概要とオススメの買い方をご紹介します!

これぞ「人とかぶりにくい輸入セダン」の決定版

国産車ではすっかり人気薄のカテゴリーとなった「セダン」ですが、同じセダンであっても輸入車のそれは、今なお高い人気を誇っており、ちょっと気になっている人も多いのではないかと推測します。

とはいえあまりにもド定番なドイツ製セダンを選ぶと、周囲とかぶりすぎてしまう恐れがあり、また1000万円、2000万円クラスの輸入セダンも、ハッキリいってあまり現実的ではないと考える人が多いはず。

そんな人にオススメしたいのが、イタリアのスポーツセダン「マセラティ ギブリ」です。
 

マセラティ ギブリ▲日本では2013年11月に発売された現行型マセラティ ギブリ
マセラティ ギブリ▲「クアトロポルテ」の弟分ではあるが、ボディは全長4970mm、ホイールベース3000mmという堂々たるサイズを誇る
マセラティ ギブリ▲上質なレザーが織りなす世界の中で、伝統的なアナログ2眼式メーターが存在感を放つコックピット
Aクラスセダン▲シートは前後席ともたっぷりとしたサイズで、座り心地もきわめて良好

上の写真をご覧いただいておわかりのとおり、現行型マセラティ ギブリはとにかくラグジュアリー感満載で、ひと目で「高級車!」とわかる佇まいを有しています。まぁギブリの新車価格は1000万円を軽く超えますので、ある意味当たり前の話ではあるのですが。

しかしそんな現行型マセラティ ギブリも、中古車であれば「総額200万円台」から見つけることも十分に可能なのです。

この記事では「ちょっと個性的な輸入セダン」を探し求めている人のため、現行型マセラティ ギブリのモデル概要をあらためて振り返るとともに、オススメの選び方をご紹介いたします。
 

▼検索条件

マセラティ ギブリ(3代目)
 

モデル概要:3L V6ターボエンジンを基本とするイタリアン・スポーツセダン

2013年4月に上海モーターショーで発表され、日本では同年11月に発売となった現行型マセラティ ギブリは、全長4970mm×全幅1945mm×全高1485mmのイタリアン・スポーツセダン。

乗車定員は5名で、導入当初の日本仕様に搭載されたパワートレインは最高出力410ps/最大トルク550N・mの3L V6ガソリンツインターボ+8速AT。駆動方式は「ギブリS」がFRで、「ギブリS Q4」はフルタイム4WDです。
 

マセラティ ギブリ▲こちらが現行型マセラティ ギブリ
マセラティ ギブリ▲オーセンティックなセダンでありながら、抑揚の強い造形も各所に取り入れることで、唯一無二の存在感を放つに至っている
マセラティ ギブリ▲ダッシュボードのカラーは写真のロッソ(赤)の他「ネロ(黒)×クオイオ(茶)」など、計3種類が用意された

デビュー翌年の2014年5月には、同じ3L V6ガソリンターボながら最高出力を330psに抑えたベースグレード「ギブリ(※カーセンサーnetでは「3.0」と表記)を追加し、翌2015年9月には新エンジンに刷新するとともに、先進安全装備なども強化。

そして2016年3月には最高出力275ps/最大トルク600N・mの3L V6ディーゼルターボエンジンを搭載する「ギブリ ディーゼル」を追加し、翌2017年には前後デザインのフェイスリフトを行うとともに、上級グレードに搭載される3L V6ガソリンツインターボエンジンをさらに高出力化。
 

マセラティ ギブリ▲こちらが2017年11月にフェイスリフトなどを行った2018年モデル

その後も48Vマイルドハイブリッド機構付きグレードや、最高出力580psの3.8L V8ツインターボを搭載する「トロフェオ」などを追加しながら、現在も正規輸入車の新車販売が続いている――というのが、現行型マセラティ ギブリの大まかなモデル概要です。
 

 

総額200万円台で狙うなら?:前期型ギブリまたはギブリSを、整備履歴を重視して探す

2025年6月中旬時点における現行型マセラティ ギブリの中古車平均価格は392.1万円ですが、平均値よりずいぶんお安い「総額200万円台」の物件も、それなりの数が流通しています。

具体的には前述日現在、総額200万円台で買える現行型ギブリの数は50台。そのうちの26台が「ギブリ(最高出力330psの3L V6ガソリンターボを搭載するベースグレード)」で、19台が「ギブリS(同410psの3L V6ガソリンツインターボを搭載するFRの上級グレード)」、そしてギブリSの4WD版である「ギブリS Q4」は4台のみという状況です。
 

マセラティ ギブリ▲総額200万円台で検討可能な物件は前期型のベースグレードとFRのギブリSが中心

そしてベースグレードとギブリSを中心とする「総額200万円台で買える現行型ギブリ」には、おおむね下記のような特徴があります。

・新エンジンに刷新される前の前期型(2013~2014年式)が流通の中心
・一概にはいえないが、走行距離は6万~8万km台である場合が多い

前期型のエンジンや装備内容自体には特段の問題はありませんが、注意したいのは「10年落ち以上である」ということと、「走行距離がやや延び気味である」という2点です。
 

マセラティ ギブリ▲前期型は初度登録から10年以上が経過しているため、ある程度慎重に吟味する必要はある

イタリア車は「消耗部品が要交換になるサイクル」が、一般的な国産車と比べて短い傾向があります。極端な例としては、昔のラリーで活躍したランチア デルタ インテグラーレという車は、タイミングベルトという部品を2万kmごとに交換する必要がありました。ちなみに一般的な国産車であれば、タイミングベルトなんて10万kmぐらい無交換でOKです。

現行型マセラティ ギブリはランチア デルタ インテグラーレほど極端ではありませんし、ゴム製のタイミングベルトではなく鉄製のタイミングチェーンを使用しています。しかしそれでも一般的な国産車のように「ボンネットを開けるのは車検のときだけ」という具合にはいかず、定期的な整備と消耗部品の交換はマストになる車です。

しかし逆にいえば、定期的な整備と消耗部品の交換が行われてきたことが確認できるギブリであれば、総額200万円台の物件であっても比較的安心して乗ることができます。

それゆえこの価格帯の現行型マセラティ ギブリを購入する場合は、内外装の美観などをチェックすると同時に「整備記録簿の内容」も確認し、2年に一度は正規ディーラーまたは専門工場で点検と整備を受けてきたか否かを確認するようにしてください。
 

▼検索条件

マセラティ ギブリ(3代目)×総額200万円台×2013年11月~2015年8月生産×ベースグレード&S
 

もうちょい出せるなら?:総額300万円台で後期型ギブリまたはギブリSを狙う

しっかりと点検および整備されてきた個体であれば、総額200万円台であっても問題はないと思われる現行型マセラティ ギブリですが、予算をもうちょい足して「総額300万円台」のイメージで物事を考えると、その選び方はグッと楽になります。

2025年6月中旬現在、総額300万円台の予算で購入できる現行型ギブリの数は約40台。グレード別で見ると、検討対象となるのは総額200万円台のときと同じ「ベースグレードまたはギブリS」が中心になりますが、総額300万円台のベースグレードとギブリSには、おおむね下記のような傾向があります。

・新エンジンに刷新された2015年9月以降の後期型が中心(2016~2018年式が多い)
・一概にはいえないが、走行距離は2万~5万km台である場合が多い
・様々な有償オプションが、総額200万円台の物件より充実している場合が多い
 

もうちょい出せるなら?:総額300万円台で後期型ギブリまたはギブリSを狙う▲3L V6ツインターボエンジンの最高出力が430psまで増強された2018年モデル

もちろん2016~2018年式のマセラティ ギブリも、10年落ち以上の物件の場合と同様に「内外装の美観などをチェックすると同時に整備記録簿の内容も確認し、2年に一度は正規ディーラーまたは専門工場で点検と整備を受けてきたか否かを確認する」という作業はマストです。

しかし総額200万円台の物件を探す場合と比べれば「当たりの確率」は高いはずですし、様々な有償オプションがあらかじめ付いている(場合が多い)というのも、買い手としてはシンプルにうれしい話です。

最高出力330psのベースグレードと同410psを発生するギブリSとの間に、グレード(エンジン)の違いに基づく価格差はさほどなく、主にはコンディションとオプション装備の差で価格が決まっている状況です。そのため探す際は「ギブリかギブリSか?」にはあまりこだわらず、「あくまでもコンディション重視!」という姿勢で臨めば、きっと素敵な1台が見つかるはず。

この機会にぜひ、ド定番のドイツ製セダンではなかなか味わえない「マセラティの世界」をのぞいてみることをオススメいたします。
 

▼検索条件

マセラティ ギブリ(3代目)×総額300万円台×2015年9月以降生産×ベースグレード&S

▼検索条件

マセラティ ギブリ(3代目)
文/善福寺正文 写真/マセラティ
※記事内の情報は2025年6月11日現在のものです。

自動車ライター

善福寺正文

外資系消費財メーカー勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。