トヨタカムリ▲TNGAの指針をすべて盛り込んだ初のモデルとして話題になった現行型カムリ

スポーティで高級感のあるデザインでヒットモデルに

2015年12月に登場した現行型プリウスからトヨタが採用する新しい車づくりの指針であるTNGA。ただ、このプリウスはまだTNGAをすべて盛り込んだわけではありませんでした。

初のフルTNGAモデルとなったのは、2017年7月にフルモデルチェンジした現行型カムリになります。
 

トヨタカムリ ▲大きく開いたロアグリルと、低く構えるスタイルが現行型カムリの特徴です

プラットフォームはもちろん、各種ユニットや電子部品など、すべての部品をゼロから開発したことで、これまでのイメージを覆すエモーショナルなスタイルに生まれ変わりました。

中でも印象的なのはフロントフェイス。エンジン搭載位置を低くしたことでエンジンフードが低くなり、スポーティな印象に。トヨタのデザインアイデンティティである“キーンルック”も、より攻撃的なイメージに進化しました。

また、エンジンだけでなく乗員が座る位置も低くなっていて、ボディ全体で走りを連想させる低重心なスタイルを表現しています。
 

トヨタカムリ ▲水平基調の伸びやかなデザインが印象的なインテリア

カムリはインテリアにもTNGAの恩恵が。部品を小型化し、配置も見直したことでインパネを薄くすることに成功。先ほども書いたようにエンジンフードも下げられているため、広い視界を実現。デザインは抑揚と高級感を両立させたものになっています。

現行型カムリではエンジンをボディに固定する“マウント”という部品に、トヨタで初めて液体封入式を採用。エンジンの振動は走行中に車内に伝わるだけでなく、騒音の原因にもなります。カムリはこのマウントにより上質な乗り味を実現しました。
 

トヨタカムリ ▲新開発のダイナミックフォースエンジン2.5を中心に構成されるハイブリッドシステム。燃費はベースグレードのXでJC08モード33.4km/Lに

パワートレーンはTNGA思想で開発された2.5L直4直噴DOHCにモーターを組み合わせたハイブリッドになります。

先進安全装備はToyota Safety Sense Pを全グレード標準装備に。後退時の死角に左右後方から接近してくる車両を検知し自動的にブレーキ制御を行う「リアクロストラフィックオートブレーキ」をGとGレザーパッケージにオプション設定しました。
 

トヨタカムリ ▲リアコンビネーションランプはライン発光するLED式になります

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トヨタ カムリ(現行型)×全国

中古車の流通量が増加し平均価格が下落。お買い得度が高まってきた!

そんな現行型カムリの中古車は、デビューから4年が経過しており、中古車にも豊富に流通しているのですが、ここ数ヵ月は下降気味。
 

トヨタカムリ ▲初回車検が近づいた2020年4月以降、流通台数が増加傾向にあったのだが、2021年春以降、減少している

上のグラフはカーセンサーnetへの延べ掲載台数の推移です。2017年7月にデビューし、3年後の初回車検を迎えた頃に掲載台数が600台近くに達し、その後も順調に増加。現在は下降気味ではありますが、流通台数は少ないわけではありません。コンスタントに600台後半の台数が掲載されています。ただ、このまま減少傾向になってしまう可能性もありますので、欲しい人は在庫が潤沢なうちに動くべきだと言えるでしょう。
 

トヨタカムリ ▲コロナ渦の影響で相場が上がる車もありましたが、カムリの中古車相場は2020年7月まで順調に下落。その後反動で少し上がった後はほぼ横ばいに推移しつつ、安定してきました

上のグラフは現行型カムリの中古車平均価格の推移。昨年前半はコロナ渦の影響も受けずに半年で約25万円下落。これは初回車検を迎えて流通台数が急に増えた影響でしょう。

その後は多少の変動はあるものの、ほぼ横ばいで推移しています。ただ、このまま流通台数が減少していくと、今後は相場が上昇していく可能性も考えられます。

カムリに興味がある人は、早めに購入の決断をした方が良さそうですね。

日本ではセダンの人気があまりないため、多くのモデルは流通量が少なめ。そんな中でTNGAをフル採用した現行型カムリは、攻撃的なスタイルや走りの良さから多くの人に選ばれました。そのため中古車が豊富にあるので、好みのものを探しやすくなっています。
 

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現行型カムリの改良遍歴

そんなカムリは、これまで何度か変更が加えられています。ここで主なものを紹介します。

【2018年8月 一部改良】
・新グレード、WSを設定
・インテリジェントクリアランスソナー、オート電動格納式ドアミラーが全グレード標準装備に
・JBLプレミアムサウンドシステムを新規設定

【2019年9月 一部改良】
 

トヨタカムリ ▲スマホとの連携機能を高めたディスプレイオーディオ

・ディスプレイオーディオとDCM(車載通信機)を全グレード標準装備に
・全グレードにE-Fourを設定

【2020年8月 一部改良】
・インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]を全グレード標準装備に
・ブラインドスポットモニター、リアクロストラフィックオートブレーキ[パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)]の搭載グレードを拡大

【2021年2月 一部改良】
・エクステリア前後のデザイン変更
・ディスプレイオーディオを9インチにサイズアップ
・最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を搭載

ここからは、パターンごとにどんな中古車を選べばいいのか、具体的に見ていきましょう。

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トヨタ カムリ(現行型)×全国

パターン①装備にこだわりつつ低価格帯で探す
G×車両本体価格250万円以下

トヨタカムリ ▲写真のGレザーパッケージは、235/45R18タイヤを装着

デビュー時、カムリには下からX、G、Gレザーパッケージという3つのグレードが用意されました。

エントリーグレードのXでも基本的なものは標準装備されていますが、ステアリングがウレタンになってしまいます。

また、エクステリアのロアグリルやセンターピラーガーニッシュが普通の黒い加飾になるため、センターピラーがピアノブラックになりロアグリルが金属調塗装になるGに比べるとやや見劣りする部分が……。

せっかく高級感のあるカムリに乗るなら、G以上のグレードがオススメです。
 

トヨタカムリ ▲カラーヘッドアップディスプレイはGレザーパッケージに標準装備、Gはオプションとなっていました

現行型カムリの価格帯は170万~430万円。低価格帯でもGの中古車は見つかるものの、走行距離は10万km近いものが多くなります。

「デビューから4年しか経過していないため、もう少し走行距離が少ないものを選びたい」という人も多いはず。そんな人は車両本体価格250万円(支払総額270万円前後)まで予算を増やすと、走行5万km前後のものが探しやすくなります。
 

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トヨタ カムリ(現行型 ×車両本体価格250万円以下 ×Gグレード ×5万km以下 ×全国

パターン②スポーティさと先進性にこだわって探す
WS×2019年以降のモデル

トヨタカムリ ▲専用フロントグリルでクールなイメージになったWS

フルTNGAにより実現できたスポーティなルックス。そんなカムリの魅力を一層高めたグレード“WS”が2018年8月に追加されました。

WSはフロントグリル、リアスポイラーが専用のスポーティタイプになり、マフラーカッターも2本出しに。アルミホイールはブラック塗装の18インチになります。

WSは標準グレードと本革シートが奢られるWSレザーパッケージ、そして特別仕様車として2020年8月にWSブラックエディションが設定されました。
 

トヨタカムリ ▲WSのシート表皮は合成皮革とファブリックを組み合わせたものになります

せっかくWSを狙うなら、デビューよりさらに1年新しいものを探してみるのがオススメ。

2019年以降のモデルにはDCM(車載通信機)が装備されたことで、万が一の事故でエアバッグが作動した際に自動でオペレーターが警察や消防への取次を行ってくれるヘルプネットなどが備わります。

また、車から離れていてもスマホアプリからドアロックやハザードランプの消灯を行えたり、車の駐車位置をスマホで確認できたりします。

WS系の中古車は約150台流通していて、価格帯は220万~430万円。そのうち2019年9月以降のモデルは約90台。価格は少々高くなってしまいますが、車両本体価格250万円から見つけることができるので、自分の予算に合ったものを探してみてください。
 

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トヨタ カムリ(2019年~)×WSグレード ×全国

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トヨタ カムリ(現行型)×全国

※記事内の情報は2021年9月24日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/トヨタ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL