アウディ S1スポーツバック ▲A1の「S」モデルなので「S1/S1スポーツバック」と命名されている。くしくも1980年代に世界ラリー選手権(WRC)を席巻した伝説の名車「アウディ S1」と同じ名が冠された

アウディ S1/S1スポーツバックの中古車は今

アウディ S1/S1スポーツバックは、同社のコンパクトハッチバックである初代A1/A1スポーツバックの、スポーティモデルだ。

2014年11月に6速MT×4WDという走りに徹したモノグレードで登場し、2017年12月まで販売された。

兄弟車にあたるフォルクスワーゲン・ポロにはない6速MT×4WDは、このクラス(Bセグメント)で唯一無二の存在だった。

しかし、ベースの初代A1/A1スポーツバックが2019年11月に2代目へと進化(同時にA1スポーツバックのみとなる)しても後継モデルが現れることはなかった。そのため、S1/S1スポーツバックは、中古車でしか手に入らない希少なスポーツハッチとなっている。

執筆時点での中古車台数と平均価格は下記のとおりとなっている。
・S1:約10台/260万円
・S1スポーツバック:約20台/290万円

いずれも台数は少ないためか、大きく価格が下落しているような状況ではない。

ここからはアウディ S1/S1スポーツバックの特徴や中古車相場について紹介する。
 

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S1/S1スポーツバックの特徴と中古車相場

■S1 DATA
生産期間:2014年11月~2017年12月
中古車流通量:約10台
中古車価格帯:200万~390万円

■S1スポーツバック DATA
生産期間:2014年11月~2017年12月
中古車流通量:約20台
中古車価格帯:190万~390万円
 

アウディ S1 ▲0-100km/h加速はS1が5.8秒、S1スポーツバックが5.9秒。それだけパワフルなエンジンと、4WDシステムを搭載しているが、アイドリングストップ機能を備え、JC08モード燃費は14.4km/L。(写真はS1)

■アウディ S1/S1スポーツバックの特徴
メルセデス・ベンツの「AMGモデル」やBMWの「Mモデル」のようなハイパフォーマンスモデルが、アウディにおける「RSモデル」と「Sモデル」だ。

「RSモデル」はサーキットでのパフォーマンスも視野に入れているが、「Sモデル」はサーキットよりは公道での走りの楽しさを重視している。

アウディ S1スポーツバック ▲走行特性を任意に変更できるアウディドライブセレクトを標準装備。フロント310mm、リア272mmという大径のブレーキディスクに18インチアルミホイールと225/35 R18タイヤが標準装備される(写真はS1スポーツバック)

フォルクスワーゲン ポロやプジョー 208など競合がひしめくBセグメントに、アウディは3ドアのA1と、5ドアのA1スポーツバックを投入していた。そこに、さらなる拡充を図るべく2014年11月に投入されたのが「Sモデル」の3ドアのS1と、5ドアのS1スポーツバックである。

搭載されたエンジンは、最高出力231ps/最大トルク・370N・mを発揮する2Lターボ。これに、6速MTと同社の4WDシステム「クワトロ」が組み合わされたモノグレードのみとなる。
 

アウディ S1 ▲カーブでのトラクションを向上させ、機敏なステアリング操作をサポートするESC(エレクトロニック スタビリゼーション コントロール)を装備(写真はS1)
アウディ S1/S1スポーツバック ▲インテリアはS1/S1スポーツバック共通。メーターパネルはS専用のダークグレーメーターで、ペダルキャップはブラシ仕上げステンレススチール製が備わる。標準装備のスポーツシートの代わりに、Sスポーツシートも選べた

インテリアはS1/S1スポーツバック共通。メーターパネルはS専用のダークグレーメーターで、ペダルキャップはブラシ仕上げステンレススチール製が備わる。

標準装備のスポーツシートの代わりに、Sスポーツシートも選ぶことができた。

サスペンションもベースのA1/A1スポーツバックに対して全面的な改良が施され、操作性を高めるために新開発された電動パワーステアリングが採用されている。

また、ハイパワーを受け止めるべく標準で225/35 R18タイヤを履き、フロントに大径のブレーキディスクが備えられた。

同社の「Sモデル」のエントリーモデルでもあり、「Sモデル」の上位機種に当たる「RS1」は結局登場することはなかっただけに、貴重なコンパクトハイパフォーマンスモデルだ。
 

■S1/S1スポーツバックの中古車相場
S1/S1スポーツバックともに、価格帯は総額約230万~410万円といったところ。いずれも走行距離10万km以下の物件がほとんどで、5万km前後がボリュームゾーンとなっている。

走行距離が5万km以下の物件を狙うなら、総額300万円以上は見ておきたい。

5ドアのS1スポーツバックの方が日常での使い勝手はよいからだろうが、台数はS1より若干多い。

また、同年式・同走行距離で比べてもS1スポーツバックの方がやや価格が高くなっている。しかし、その差は新車時の価格差程度で、かつてのホットハッチと呼ばれるモデルには3ドアが多いことや、現状のA1に3ドアがないことを考えるとS1の価値も捨てがたい。

デビュー時の車両本体価格はS1が410万円、S1スポーツバックが430万円。いずれも現在は大幅に下落をしているという相場ではない。

そもそも、ハイパフォーマンスカーゆえ販売台数はあまり見込めなかったのに加え、わずか3年間しか販売されなかったため、中古車台数が少ない。今後も極端に増えることはないだろう。

走行距離や色など条件が決まっている人はじっくり探すほかないが、貴重なアウディ最小のピリ辛モデルだけに、今後市場価値が上がってもおかしくはないだろう。

走行距離や色にこだわらないのであれば、コンディションの良い中古車の多いうちに、早めに行動することをオススメする。
 

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※記事内の情報は2021年9月20日時点のものです。
 

文/ぴえいる 写真/アウディ
ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。