トヨタ マークX▲今回は初代マークXにフォーカスします。破格の値段な割に、改めて見てみるとよくできたスポーツセダンなんです!

スポーツセダンとして意外と素性の良い初代マークX

ここのところ、販売不振が叫ばれているジャンルのひとつが「セダン」ではないでしょうか? 一昔前まではセダンが自動車の基本形であり、各メーカーともフラッグシップモデルなどにセダンをラインナップしていました。

しかし、ここ最近ではミニバンやSUV、軽自動車などが主流となり、もはやセダンが基本形という時代は過ぎ去ってしまった感があります。

このような現状のセダンではありますが、いまだに固定ファンを抱えているジャンルがあります。それが「スポーツセダン」と呼ばれるもの。

国産スポーツセダンで言えば、いろいろとあると思いますが、いまだに多くのファンを抱えるのがトヨタ マークII 3兄弟ではないでしょうか?

特に、チューニングベースとして人気の7代目から9代目は、今でも高値で取引されるスポーツセダンです。

一方、そんなマークIIのスポーティポジションを受け継いだのが、マークX(初代)でした。しかし、ターボエンジンの設定もMTの設定もなかったため、そういったユーザーからはあまり注目を集めなかったモデルでした。

ですが、車種単体で見てみると意外にも素性の良いスポーツセダンなのです! それだけでなく、なんと格安プライスで買えるという何ともおいしい状況!! スポーツセダンを検討している皆さまに、ぜひ初代マークXに注目してほしいと思います。

価格の話をする前に、まずは初代マークXの素性の良さについて振り返っていきましょう。
 

トヨタ マークX▲今回紹介する初代120系のマークX。デザイン、中身ともによくできたスポーツセダンなのです

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軽量化に高剛性化など運動性能が高まるよう開発されたマークX

2004年11月に登場したマークXは、12代目クラウン同様の新規プラットフォームを採用した点が大きな特徴。とはいえ、クラウンの見た目をスポーティにしたモデル、という安易なものではありません。

ホイールベースこそ変わらないものの、前後オーバーハングを切り詰め、全高もクラウンよりも低くすることで運動性能を向上。さらに、軽量化も施してクラウンよりも50kg以上軽量に仕上がっているのです。

そして、プラットフォームが一新されたことでボディ剛性も大きく向上し、乗り心地はもちろんスポーツ走行時のしっかり感にも寄与している点も、見逃せないポイントです。
 

トヨタ マークX▲もちろん、軽快なハンドリングを楽しめるFRレイアウトを採用しています

搭載されるエンジンは、GR系と呼ばれる2.5Lと3.0LのV型6気筒エンジン。

さすがにターボエンジンほどの出力はないものの、215ps(2.5L)/256ps(3.0L)にマニュアルモード付き6速AT(4WDモデルは5速AT)が組み合わされ、FRらしい爽快な走りを実現していました。
 

トヨタ マークX▲従来の直6から、新世代のV型6気筒エンジンへスイッチしました

また、スポーティグレードの「Sパッケージ」(2.5L、3.0Lともに設定)には、専用チューニングが施されたサスペンションや強化スタビライザー、前後16インチベンチレーテッドディスクを採用したスポーツブレーキなどが奢られ、より一層スポーツセダンとしてのキャラクターを強めていたのです。
 

トヨタ マークX▲Sパッケージは、派手なエアロなどの装飾はなく一見普通にも見えますが、足回りはよりスポーティになっています

このように、クラウンに対してスポーツセダンというキャラクターが強調されているため、リアシートの居住性などはクラウンには及びません。

ですが、このクラスのセダンには珍しく6:4分割可倒式リアシートが採用されており、日常の使い勝手が高い点も嬉しいところです。

ちなみに、ターボモデルは存在しなかったマークXですが、モデリスタが手がけたスーパーチャージャー搭載モデルが存在しており、モアパワーを求めるのであれば探してみるのも選択肢のひとつです。 


トヨタ マークX▲運転席側が4、助手席側が6で可倒しトランクとつながることで長物の収納にも長けています
トヨタ マークX▲スポーティといえども、セダンらしい高級感のあるインテリアです

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安いもので総額20万円台から! ほとんど総額100万円以下で狙えてしまう!

ミドルクラスのセダンとして、堅調な販売を積み重ねた初代マークXは、累計で20万台以上の販売実績があります。そのため、中古車としても執筆時点で315台と比較的多めの台数が掲載されています。

ただし、ほとんどが2.5Lモデルであり、3.0Lモデルはわずか16台。とはいえ、3.0Lモデルだから高額ということもなく、どちらかというと走行距離や修復歴など車両の状態で値付けがなされている印象です。

そのため、少しでもパワフルなモデルがいいという人は、根気強く3.0Lモデルを探してみるのもアリでしょう。


もちろん、2.5LモデルでもFRらしい素直なハンドリングは十分に堪能できます。しかも、タマ数も多いですから、個人的なオススメは2.5Lモデルです。


気になる価格は、安い個体では総額20万円台から見つけることができ、その価格帯であっても修復歴なし、10万km未満というものも珍しくありません。

逆に高いものでは、総額100万~130万円というものが上限ですが、このあたりの個体は、エアロパーツや足回りなどのカスタマイズがすでに施されているものがほとんど。ノーマル状態に近いものであれば、多くの個体が総額100万円以下で狙える状態となっています。

中には、3万km未満の個体でも総額50万円以下のような物件もあり、買い得感は非常に高いと言えます。そのため、カスタマイズベースとして考えても買い得感が強いでしょう。もちろん、そのまま乗ってもポテンシャルの高さは折り紙つきですので、素の状態を楽しんでからカスタマイズに進んでも十分楽しめます。

スポーツセダンのベースが徐々に減っている現状で、この金額でこのポテンシャルを楽しめるのは破格です。今後価格上昇、または絶滅してしまう可能性もあると見ますので、今がラストチャンスかもしれません。
 

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文/小鮒康一、写真/トヨタ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。