トヨタ ランドクルーザー70▲タフなSUVを期間限定で再発売! 6年前に大きな話題になったランドクルーザー70の今を調べてみました

誕生30周年を記念して約1年の期間限定で復刻

2014年8月、トヨタから発表されたプレスリリースに驚いた人は多かったでしょう。そこには「ランドクルーザー“70”シリーズを期間限定発売」と書かれていました。

ランクル70の誕生30周年を記念して実現したこの企画。そんなランクル70の気になる現在の中古車事情をお届けしますが、その前に、そもそもどんなモデルだったのか、振り返ってみましょう。

ランクルは、警察予備隊(現・陸上自衛隊)への納入を目指して開発された、ジープBJ(1951年)が元祖になります。その後、走破性に加えて乗り心地も追求した、ステーションワゴン系の55系(1967年)が登場。これが現在のランドクルーザーにつながります。

さらに、レジャー志向の高まりに合わせて開発された、ライトデューティ系の70系ワゴン(1985年)も登場。これは現在のランドクルーザープラドへと続く系譜です。

トヨタ ランドクルーザー70▲1984年にデビューした70系ランドクルーザー

初代ジープBJから続く系譜は、ヘビーデューティ系と呼ばれ、機動力をとことん追求したモデルに。1984年に登場したランクル70は、ヘビーデューティ系のラストモデルで、日本では2004年まで、20年にわたり販売されました。

ただ、日本での販売終了後も、海外ではランクル70が販売され続けていました。だからこそ普通の車ではありえない、販売終了から10年後に再び販売ということが実現できたのです。

ランクル70は、日本で販売されていなかった10年の間に、マイナーチェンジも施されています。2004年式の最終型と復活販売されたモデルの顔つきが異なるのはこのためです。

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トヨタ ランドクルーザー70(バン・ピックアップ)×全国

ヘビーデューティ感に溢れる本気のギア

そんなランクル70の復刻版は、5ドアのバンに加え、過去に日本では販売されていなかったピックアップもラインナップされました。

4WDはパートタイム式で、トランスミッションは5MTのみ。電動デフロックはオプション設定になっていました。もちろん車体はラダーフレーム構造です。

トヨタ ランドクルーザー70
トヨタ ランドクルーザー70▲5ドアのバンに加え、ピックアップも用意されました

ヘビーデューティな装備として、フロントバンパー内に格納される電動ウインチをオプション設定。ウインチ搭載車はナンバープレートが助手席側に移され、ウインチ収納部には大きくTOYOTAのロゴが入ります。

搭載エンジンは4L V6ガソリンエンジンで、最高出力は170kW(231ps)、最大トルクは360N・m(36.7kg・m)となります。

新車時価格は、バンが360万円、ピックアップが350万円でした。

トヨタ ランドクルーザー70▲オプションの電動ウインチ。悪路でスタックしたときの脱出時やスタックした車の救出に活躍します

復刻したランクル70は、2015年6月末までの受注に。販売目標は月200台でしたが、なんと復刻して1ヵ月で3600台を受注。ラグジュアリーなクロスオーバーSUVとは違うヘビーデューティなギアを、多くの人が求めていたことがわかります。

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トヨタ ランドクルーザー70▲インテリアは派手な装飾のないシンプルな作りに

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いまだプレミア相場が継続中! 今後も高値安定が予想される

トヨタ ランドクルーザー70

2020年10月23日現在、復刻版ランクル70の中古車は、バンが22台、ピックアップが7台流通しています。

価格帯は、バンが360万~570万円、ピックアップが380万~480万円。これは、限定販売という希少価値がもたらしたプレミア相場と言えるでしょう。

相場の下限だけを見ると、ピックアップの方が高くなっていますが、最安値の中古車をよく見ると、バンが走行8.9万kmと走り込んでいるのに対し、ピックアップは2.6万km。バンは、走行4万km台だと車両本体価格が400万円を超えてきます。やはり利便性の高いバンの方が、価格は高めになっています。

また、バン、ピックアップともに走行距離は2万~5万kmのものが多めに。ピックアップは選択肢が少ないですが、バンだとオプションの電動ウインチやデフロックが付いたものも見つかります。ボディカラーもベージュ、ブルー、白など好みのものを選びやすくなります。

トヨタ ランドクルーザー70
トヨタ ランドクルーザー70

ランクル70が欲しい人にとって、最大の問題は新車価格より高いプレミア相場をどう考えるか。

復刻版ランクル70は限定車のため、この先流通量が急激に増えることは期待できません。現在は、販売されてから5~6年で走行距離をはじめとする車両のコンディションはいいものが多いものの、今後はだんだんと条件が厳しめになっていくでしょう。

もちろんタフな車なので、走行距離が延びたり多少荒く使われたものでも、すぐにガタがくることはないはずです。ただ、レアなモデルなので、相場が急に下がることも期待できません。なので、高いお金を出して多走行車を買うことになるのは覚悟しなければなりません。

それなら、条件のいい今のうちに手に入れておく。本気でランクル70に乗りたいなら、そう判断するのが賢明だと思います!

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文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/トヨタ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL