トヨタ クラウン▲2013年に登場したピンククラウン。高級車ではありえなかったカラーリングが大きな話題に

スポーティなアスリートに設定されたエキセントリックなボディカラー

コンフォートなプレミアムモデル、中でもシニア世代に好まれるモデルのボディカラーは、定番のパールホワイト、ブラック以外も、シックな色が選ばれる傾向にあります。

ところが、今から7年前にこの常識を覆すボディカラーを設定したモデルがありました。それが、トヨタ クラウンアスリートです。

クラウンといえば、1955年から続くトヨタの老舗ブランドで、“いつかはクラウン”という名コピーも生み出したコンフォートモデル。現在でもシニア層や「取引先との関係上、輸入車だとちょっと目立ちすぎる」というような人から選ばれています。

一方で、オーナーの高齢化はメーカーにとって大きな問題で、年齢層を下げるために様々な施策を講じていました。

そのひとつが、クラウンにアスリートとロイヤルを設定したこと。

トヨタ クラウン▲2012年12月に登場した210系クラウンアスリート。稲妻っぽいフロントグリルが衝撃的でした

中でも、2012年に登場した210系では、ロイヤルとアスリートの性格を明確に分ける戦略にでました。コンサバティブなデザインのロイヤルに対し、アスリートはスポーティさを前面に押し出し、デザインもロイヤルよりアグレッシブなスタイルになったのです。

そして、アスリートには斬新なボディカラーを設定する戦略を展開。それが今回紹介するピンククラウンです。

この記事では、あらためてピンククラウンがどのようなものだったか、今、中古車相場はどうなっているかなどを見ていきましょう。

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トヨタ クラウンアスリート(現行型)×ピンク×全国

ピンククラウンのカラーコーディネイトはテリー伊藤さんが担当!

トヨタ クラウン▲同じデザインでも色が変わるとここまで印象が変わります。ピンク色の高級車というとハリウッドのセレブが乗るイメージですが、まさかクラウンでピンクが設定されるとは!

ピンククラウンは、2013年9月に発表され、同年12月から生産がスタートした特別仕様車で、正式名称は“ReBORN PINK”と言います。

トヨタは、2011年から“ReBORN”と題した広告キャンペーンを展開。織田信長と豊臣秀吉が登場するCMや、実写版ドラえもんのCMを覚えている人も多いでしょう。

2012年12月にフルモデルチェンジしたクラウンは、その発表会でピンク色のクラウンが登場し、出席者の度肝を抜きました。しかも、そのクラウンを2013年に発売することを予告。そして翌年秋にこのピンククラウンが登場したのです!

このボディカラーの正式名称は“モモタロウ”。特別仕様車は、ハイブリッドのアスリートGと、2.5Lガソリンの4WDモデルとなる、アスリートG i-Fourをベースにしています。

トヨタ クラウン▲ピングのボディに真っ白なシート! ポップでどこかエロティックなこの組み合わせは乗りこなすのは大変!?

インテリアは、ホワイトの本革シート表皮になり、前席のセンターアームレスト、シートベルト、インパネのアッパーパネル、センターコンソールもホワイトに。室内全体に明るい色が採用されたことも、これまでのクラウンシリーズにはなかったことです。

さらに、室内の至る所にピンクの差し色を配置しています。

トヨタ クラウン▲ステアリングオーナメント王冠マーク
トヨタ クラウン▲スタートボタン
トヨタ クラウン▲スマートキー王冠マーク/カードキー王冠マーク
トヨタ クラウン▲HDDナビオープニング画面

そして、ドアアームレストやインパネサイド、ステアリングホイールにはピンク色のステッチが施されました。

トヨタ クラウン▲ピンク色のステッチはかなりのインパクト! フロアマットにもピンク色のステッチが施されています

インテリアのブラックとホワイトのコントラスト。そして、至る所に散りばめられたピンクの差し色。これをコーディネイトしたのは、カーセンサーでもお馴染みのテリー伊藤さんでした!

トヨタ クラウン▲テリーさんが「PINK SURPRISE(ピンクサプライズ)」をテーマにカラーコーディネイト!

ReBORN PINKをまとったピンククラウンは、アスリートG“ReBORN PINK”が約610台、4WDのアスリートG i-Four“ReBORN PINK”が約40台の受注に。つまり、世の中にピンククラウンは約650台しか存在しません。

しかし、これだけのオーダーがあったのは、トヨタとしては大成功だったのだと思います。2015年3月には、クラウン誕生60周年を記念した“空色 edition” “若草色 edition”という2色の特別仕様車を設定。さらに、2015年10月のマイナーチェンジでは、アスリートシリーズに“ジャパンカラーセレクションパッケージ”を設定。これまでにない斬新なボディカラーがカタログモデルになったのです。

トヨタ クラウン▲ジャパンカラーセレクションパッケージでは、日本ならではの繊細な色域の12色を用意

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トヨタ クラウンアスリート(現行型)×ピンク×全国

中古車流通量はごくわずか。見つけたら即買いで!

トヨタ クラウン▲原稿執筆時、ピンククラウンの中古車はFRのハイブリッドのみで4WDは流通していません

そんなピンククラウンは、納車が始まると同時に、プレミアム価格の中古車が世に出回るようになりました。確か800万円を超える値段がついたものもあったと記憶しています。

そして2020年9月15日現在、5台のピンククラウンが掲載されていました。掲載されていたのはすべてアスリートG“ReBORN PINK”になります。

価格帯は、車両本体価格で240万から330万円、支払い総額だと255万から350万円ほどになります。この価格は、ベースとなったハイブリッドのアスリートGと大きく変わりません。

走行距離は、ほとんどが5万km未満でした。

掲載台数もここ3ヵ月では3台から6台というところをうろうろしているので、今後急に掲載台数が増えることもないでしょう。

ピンククラウンに乗りたいと思った時が買い時! 見つけたら即買いがオススメです。

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トヨタ クラウンアスリート(現行型)×ピンク×全国
文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/トヨタ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL