ホンダ N-BOX ▲初代が2011年12月に登場し、スライドドアの利便性と広い室内が子育て世代に支持され、長く軽自動車販売台数No.1の座につくN-BOX。その安全装備の状況を中古車相場とともに年代ごとに振り返りかえってみよう

安全性の高さも魅力の“キング・オブ・軽自動車“

長く軽自動車販売台数No.1の座につくN-BOX。

スライドドアを採用した軽ハイトワゴンで、広い室内が生み出す利便性だけでなく、軽自動車とは思えない内装の質感の高さや走りの良さが支持されている。

ベースモデルに加え、強い個性と存在感を放つカスタムの2つがラインナップされ、幅広いユーザーの獲得に成功。

軽ハイトワゴンのメインターゲットであるファミリー層はもちろん、ミニバンなどからの乗り替えユーザーもつかんでいるという。

そんな“キング・オブ・軽自動車“と言えるN-BOXだが、ここまで支持されている理由として、様々な先進安全装備が付いていることもあげられる。

しかし、2011年12月の初代登場から約9年がたっているため、その間に装備される安全機能は進化を遂げてきた。

そこで今回は、装備される安全機能を年代ごとに振り返るとともに、中古車価格の状況も合わせてまとめてみた。

N-BOXの購入を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてほしい。
 

ホンダ N-BOX(初代)
モデル途中で安全装備が大幅に充実した

ホンダ N-BOX ▲キング・オブ・軽自動車の地位を確立した初代N-BOX。登場時には先進安全機能は無かったので注意しよう(写真は2013年12月の一部改良モデル)
 

■2013年12月以降生産モデル
「あんしんパッケージ」をカスタムの上級グレードに標準装備。ベース車にもオプション設定される


2011年8月のデビュー時には、先進安全機能が付いていなかった初代N-BOXだが、2013年12月の一部改良で大幅に安全性が強化された。

約30km/h以下で前方車両との衝突の回避・軽減を支援する低速域衝突軽減ブレーキと、前方に障害物がある状態でアクセルを踏み込んだときに急発進を抑制する誤発進抑制機能がセットになった「シティブレーキアクティブシステム」、そして前席用のサイドエアバッグとサイドカーテンエアバッグがセットになった「あんしんパッケージ」がオプション設定された。
 

ホンダ N-BOX ▲N-BOXに衝突軽減ブレーキが初めて搭載されたのは、2013年12月のマイナーチェンジ時となる
 

中古車の価格と流通量は?

原稿執筆時点(2020年6月25日)で、初代N-BOX総の流通台数は6000台以上と非常に豊富。

ただし、2013年式の衝突軽減ブレーキ付きに絞ると、約1/4の1500台程度となる。

それでも十分に潤沢なので、予算や好みに合わせて選びやす状況と言えるだろう。

ベースモデルでは、総額100万円以下の物件も増えており、走行距離6万km程度のものが70万円前後で見つかる。

一方カスタムの方は、まだまだ総額100万円を切るものは少なく、総額120万~150万円がボリュームゾーンとなる。

安全装備重視で、手ごろな価格で狙うならベースモデルをオススメしたい。
 

▼検索条件

N-BOX(初代)×2013年12月~2017年8月生産モデル×衝突被害軽減ブレーキ付き×全国

ホンダ N-BOX(2代目・現行型)
ホンダセンシング搭載で安全性が飛躍的に向上

ホンダ N-BOX ▲初代からのキープコンセプトとしつつ、新設計となった2代目N-BOX
 

■2017年9月~2019年9月生産モデル
ホンダの軽自動車で初めてホンダセンシングを採用。


2代目へとフルモデルチェンジしたN-BOXは、軽自動車で初めてホンダの先進安全運転支援システムである「ホンダセンシング」を全グレードに標準装備。(※装備しない仕様も選択可)

ミリ波レーダーと単眼カメラ、ソナーセンサーを使って車両周囲の状況を把握し危険回避などを行う統合システムで、以下のように充実した安全機能が備えられている。

●衝突軽減ブレーキ(CMBS)
前の車が急ブレーキをかけたり、対向車と衝突しそうなとき、人が急に飛び出してきたときなど、衝突の恐れがある場合に音とディスプレイで警告。それでも衝突の恐れが高まった場合に強いブレーキをかけて衝突回避、被害軽減を支援。

●誤発進抑制機能
0~10km/h以下の範囲で前方の障害物を検知し、ドライバーが間違ってアクセルペダルを踏み込んだ場合の急加速を抑制。

●歩行者事故低減ステアリング
歩行者が歩いている方の車線を逸脱して歩行者とぶつかる可能性がある場合に、音とディスプレイで警告。合わせて車道側に戻るようステアリング操作を支援。

●路外逸脱抑制機能
単眼カメラが車線を検知し、車線をはみ出しそうになったときにディスプレイ表示とステアリングの振動で警告。車線から大きく外れそうになったときは、車線中央に戻るようステアリング操作を支援。

●ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)
高速道路や自動車専用道路を走行する際に、約30km/h以上の速度で走行中に、あらかじめ設定した速度内で自動で加減速を行い、前を走る車との適切な車間距離をキープしながら追従走行を行う。

●LKAS(車線維持支援システム)
単眼カメラが高速道路上の車線を検知し、車が車線の中央付近を維持しながら走行するようにステアリング操作を支援。

●先行車発進お知らせ機能
信号待ちや渋滞で停車中に、前の車が発進したことを音とディスプレイ表示でお知らせ。

●標識認識機能
単眼カメラが道路上の標識を認識し、ディスプレイ上に表示。認識する標識は、進入禁止、一時停止、追い越し禁止、最高速度標識。

●後方誤発進抑制機能
0~10km/h以下の範囲でほぼ真後ろの近距離にある障害物を検知し、間違えてアクセルペダルを踏み込んだ場合に急な発進を抑制。

●オートハイビーム
夜間にロービームで走行している際に、システムが前方の状況を検知。暗い道を走るときに自動でハイビームに切り替え。そして、対向車や先行車を検知すると自動でロービームに戻してくれる。
 

ホンダセンシング ▲ACCは安全性だけではなくロングドライブ時などの疲労軽減にもつながる機能だ
ホンダセンシング ▲フロントカメラが道路標識を読み取り、見逃し防止に役立つ
 

中古車の価格と流通量は?

2代目も中古車流通量は多く、4000台以上の物件が掲載されている。

そのうち2017年9月~2019年9月生産モデルは、2500台ほど。

デビュー初期の2017年式だと、修復歴なしで走行2万~4万km程度のものが、総額110万~120万円程度で見つかる。

エントリーグレードの「Gホンダセンシング」にもホンダセンシングは装備されるが、スライドドア・イージークローザーや充電用USBジャックが付く「G Lホンダセンシング」は人気グレードゆえ、流通台数が多く価格の差もほとんどないためオススメだ。
 

▼検索条件

N-BOX(2代目)×2017年9月~2019年9月生産モデル×ホンダセンシング付き×全国

■2019年10月以降生産モデル
衝突軽減ブレーキの性能がアップ


2019年10月のマイナーチェンジで、ホンダセンシングの機能のうち衝突軽減ブレーキ(CMBS)の性能が向上。

これにより、夜間の歩行者や横断中の自転車にも衝突軽減ブレーキが作動するようになった。

さらに、リアワイドカメラの画素数が大幅にアップ(30万画素→100万画素)し、後方確認の精度がアップ。

この改良により、最新型の普通車を含めてもトップクラスの安全性能を備えることとなった。
 

ホンダ N-BOX ▲最新のホンダセンシングでは夜間歩行者や横断中の自転車も認識できるようになり、さらに安全性が高まった
 

中古車の価格と流通量は?

2019年10月以降生産の最新のホンダセンシング搭載モデルだと、相場の底値にあるGホンダセンシングで予算は130万円程度見ておく必要がある。

N-BOXカスタム系のモデルはグンと価格が上がり、総額160万~200万円の物件が多くなっている。

ただし登場からあまり時間がたっていないため、走行距離は1~2万km台のものが中心。

最新モデルゆえ、届出済未使用車も見つかるため、新車を検討している人にもチェックしてほしい。
 

▼検索条件

N-BOX(2代目)×2019年10月~生産モデル×ホンダセンシング付き×全国
文/高橋満(BRIDGE MAN)、写真/ホンダ
高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット500C by DIESEL