新車はまだまだ納車待ちが続く現行型ジムニー、中古車で「即納」を狙う場合のベストグレードは?
カテゴリー: 特選車
タグ: スズキ / ジムニー / カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー / 伊達軍曹
2020/03/07
デザイン性の高さで悪路派以外も巻き込んで大ヒット作に
カーセンサーだけが持っている膨大なデータをもとにした、毎年恒例の中古車注目度&競争率ランキング「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー」。その2019年版でイヤーカー(総合1位)となったのは現行型スズキ ジムニーでした。
もともとは軽の本格オフローダーとして「仕事で悪路を走る人」や「ディープなオフロード趣味をもつ人々」に愛用されてきた歴代ジムニー。しかし2018年7月に登場した現行型は、本格オフローダーとしての資質はそのままに(というかむしろ向上し)、そのうえで「かなりおしゃれな内外装デザイン」に生まれ変わりました。
それにより、まるで本格アウトドアブランドの防寒着を街中で着るのがおしゃれに感じられるのと同じニュアンスで、現行型ジムニーはオフロードとあまり縁がないユーザーの間でも大人気となったのです。
あまりにも人気がありすぎて、新車の方は「長い納車待ち」がまだまだ続いているようですが、幸いなことに即納可能な中古車は市場にたくさん出回っています。
そんな現行型スズキ ジムニーの中古車を買うとしたら、「どのグレード」の「いくらぐらいのモノ」を探すのがベストなのでしょうか? いろいろ考えてみたいと思います。
最初に検討すべきグレードはXLとXC
まずは「現行型ジムニーにはどんなグレードがあるのか?」という部分を簡単に整理してみましょう。現在、ジムニーに用意されているのは大きく分けて下記の3グレードです。
●XG|新車価格148.5万円~|簡素な装備の本格オフローダー向けグレード
●XL|新車価格161.15万円~|まずまずな装備の中間グレード
●XC|新車価格177.65万円~|やや豪華系な装備と先進安全装備も付いている上級グレード
ゴリゴリのオフローダー各位は別として、「街乗り車としての現行型ジムニーにとりあえず興味がある」という人には「XG」はあまり向いていませんので、これは最初に除外しちゃいましょう。
となると残るのは中間グレードのXLと上級グレードであるXCで、両者をさらに細分化すると下記のような構成になっています。
[中間グレードのXL]
●XL(5MT)|新車価格161.15万円
●XL(5MT/スズキ セーフティ サポート装着車)|新車価格165.44万円
●XL(4速AT)|新車価格171.05万円
●XL(4速AT/スズキ セーフティ サポート装着車)|新車価格175.34万円
[上級グレードであるXC]
●XC(5MT)|新車価格177.65万円
●XC(4速AT)|新車価格187.55万円
「スズキ セーフティ サポート」というのは、デュアルセンサーブレーキサポートや誤発進抑制機能(4速AT車)、車線逸脱警報機能などの先進安全装備がセットになっているものです。
これは上級グレードのXCでは標準装備なのですが、中間グレードのXLではオプション扱いであるため、中古車ではこれが付いている物件と付いていない物件があります。
この他「5MTにするか? それとも楽ちんな4速ATを選ぶか?」という問題もありますので、ここについてもあらかじめ考えておく必要があります。
街乗り中心なら「スズキ セーフティ サポート」は欲しい
「MTかATか?」という部分は各自で考えてもらうとして、次に進みます。「中間のXLと上級のXCでは何が違うのか?」という問題です。
両者は車としてのベース部分(骨格やエンジン、サスペンションなど)には違いがなく、主に「装備が違う」ということになります。
具体的には、
●ホイール|XCは16インチのアルミ製で、XLは16インチの鉄製
●ハンドル|XCは本革巻きで、XLはウレタン
●クルーズコントロール|XCは付いてるが、XLは付いてない(オプション装着も不可)
あたりの違いが中心です。その他、上級グレードであるXCだけの装備としては、
●ヘッドライトウォッシャー
●LEDヘッドランプ
●ステアリングオーディオスイッチ
●助手席バニティミラー
●LEDサイドターンランプ付きドアミラー
などがあります。
また前述のとおりXCでは「スズキ セーフティ サポート」が標準装備となりますが、中間グレードのXLでもメーカーオプションとしてこれが装着済みの中古車はたくさんあり、その場合は物件情報に「スズキ セーフティ サポート装着車」と表記されています。
以上のモロモロから、XCにするか、それともXLで行くかを考えたいわけですが、最終的な判断は、各自の価値観や好み、あるいは予算に任せるほかありません。
しかし、基本的な考え方としては「街乗り中心で使うなら、スズキ セーフティ サポートはどう考えても付いてた方がいいでしょ?」となりますので、候補は下記4種類に絞りたいと思います。
●XL(5MT/スズキ セーフティ サポート装着車)
●XL(4速AT/スズキ セーフティ サポート装着車)
●XC(5MT)
●XC(4速AT)
繰り返しになりますが、「その中でもMTにするか、それともATか?」という問題についてだけは各自でお考えください。
なんだかんだで買いやすいのはXCの4速ATか?
前段までの検証により、現行型スズキ ジムニーの中古車を買う場合の候補は4グレードにまで絞られました。となれば最後に、それらの流通状況と相場を見てみることにしましょう。
上表の「新車支払総額(参考)」というのは、「とりあえず一番高い純正カーナビとETC2.0ユニット、そして一番安いフロアマットを付けた場合」の、おおむねの総額です。オプション装備の選び方次第で総額はここから大きく変わりますので、参考程度にお考えください。
そのうえで考えますと、下記の2点が言える調査結果となりました。
前段までになんだかんだ検証しましたが、結局のところ中古車の流通量が圧倒的に多いのは「オートマのXC」で、それ以外はちょぼちょぼ程度。まぁ5MTのXCはそこそこの数が流通していますが。
一般論として中古車というのは新車と比べると安価なわけですが、今現在、現行型ジムニーにはその一般論は当てはまりません。
なぜならば、長い納車待ち状態が続いている新車のジムニーに対して、中古の現行型ジムニーには「即納」という優位性がありますので、その分だけ、市場原理が働いて高値になるわけです。
上表のとおり、新車の総額より安価だったりほぼ同額だったりする中古車もたしかにあるのですが、流通している中古車の多くは「新車の総額以上」の総額となっています。また、これには「登録済み未使用車が多いから」という理由もあります。
以上の各種検討から考えますと、最終的な結論は下記のとおりとなります。
1. 探しやすいのは4速ATのXC(上級グレード)
2. その他の有力グレードは流通量少なめだが、それが欲しいのであれば、根性を入れて探せばそれなりに見つかるはず
3. いずれのグレードを買うにせよ、その個体の金額にプラスされている「即納プレミアム分」が心情的に納得できるか否かを冷静に判断すべし
やたらと高額なプレミアム分が乗っけられている個体は正直どうかと思いますが、「多少」であれば、ぜんぜん納得の範囲かと個人的には考えています。
なぜならば、それを払ってでもすぐ手に入れたくなるほど現行型のスズキ ジムニーは「いい車」であり、「今、最高におしゃれな車」だと思うからです。
【記事に登場した現行型ジムニーを予算別に探してみる】
▼検索条件
スズキ ジムニー(2018年7月~生産中モデル) × XC 4WD × AT▼検索条件
スズキ ジムニー(2018年7月~生産中モデル) × XC 4WD × MT▼検索条件
スズキ ジムニー(2018年7月~生産中モデル) × XL スズキ セーフティ サポート 装着車 4WD × AT▼検索条件
スズキ ジムニー(2018年7月~生産中モデル) × XL スズキ セーフティ サポート 装着車 4WD × AT▼検索条件
スズキ ジムニー(2018年7月~生産中モデル)自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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