フォード エクスプローラー ▲今回、紹介するのは2007~2012年に生産されたフォード エクスプローラースポーツトラック(写真は米国仕様、ボディカラーはシルバーバーチメタリック)

乗用車的なSUVがベースのピックアップトラック

フォードがかつて投入していたエクスプローラーをベースにした、ピックアップトラック「エクスプローラースポーツトラック」を取り上げてみたい。新車時価格が398万~543万円と比較的高額だったものが大分、こなれてきたのだ。

かつて商用車としてピックアップトラックの需要は旺盛だったが、いつしか日本では下火になっていった。乗用車としても各メーカーから何度か投入されるも、そうそう見かけないレアな存在となっている。

エクスプローラースポーツトラックは、乗員のキャビンとは別に荷台をもつピックアップトラックという形状であった。しかし、“スポーツトラック”はSport Truckではなく、Sport Trackであった。このTrackはサーキットを意味する英語で、走りの良さを予感させる車名が付けられていた。

ピックアップトラックをベースに荷台部分をキャビン化することでSUVルックに仕上げられることは多いが、エクスプローラースポーツトラックはというと、乗用車的なSUVをベースにピックアップトラックに仕立てられた車だったのだ。
 

フォード エクスプローラー

エクスプローラー同様、強靭なラダーフレームをもち、サスペンションにはピックアップトラックにありがちな板バネを使わずに四輪独立懸架式を採用。そして、4WDシステムもエクスプローラー同様、切り替え不要なオンデマンド式を採用している。

キャビンは前後2列のシートを備え、かつピックアップトラック並みの荷台を両立するために全長は5370mm、ホイールベースは3310mmとビッグサイズ。ベースのエクスプローラー(全長は4400mm、ホイールベースは4250mm)に比べて、スポーツトラックは約1m長くなっている。

荷台はSMC(シート・モールディング・コンパウンド)と呼ばれる複合素材製で、軽くさびない。

前後2分割でキー付きの防水リッドをもち、壁面には12Vソケット、フロアは一体成型で3ヵ所の収納スペースを内蔵。

この中にも水抜き穴を備えている。バンパー上のステップ、サイドに備え付けられたタイダウンフックを含め、道具として考え抜かれている。

キャビンは、フロアがラバーになる以外はエクスプローラーと同等の上質さをもつ。前席はもちろん、後席も例外ではない。

一般的にピックアップトラックのリアシートは薄いクッションと直角座りとなりがちだが、スポーツトラックは空間も厚みも角度も適切に確保されている。

4L V6エンジンと5速ATはエクスプローラーXLTと共通。

最高出力213ps、最大トルク35.1 kg-mで車重は2230kg(エクスプローラーXLTより70kg増に抑えた)、加速に不満はないと言えるだろう。

最高出力213ps、最大トルク35.1 kg-mで車重は2230kg( また、4.6lV8エンジンを搭載したハイパワーモデルもラインナップされ、車両重量2280㎏となるが最高出力296ps、最大トルク41.5kg-mと文句のつけどころはない。組み合わせられたトランスミッションは6速AT。

フォード エクスプローラー ▲ブラック(左)、レッドファイヤーメタリック(中)、シルバーバーチメタリック(右)
フォード エクスプローラー ▲インテリア(内装色はキャメル)

V8エンジンへの需要が高い

原稿執筆時点(2020年3月2日)でカーセンサーnetに掲載されているエクスプローラースポーツトラックは16台。

年式が古く、走行距離が多いほど安い傾向にあり、最安値は119.8万円となっている。

中古車市場で一般的に大排気量モデルは敬遠されがちなのだが、エクスプローラースポーツトラックではV8モデルの方が新車時同様高値で推移しているのは面白い。それほどV8への需要の方が高いことを意味しているのだろう。

アウトドアグッズを汚れたまま荷台に積み込み、ラフな使い方ができるのがピックアップトラック最大の魅力。それでなくても走っている台数が少ないゆえに、カーライフにおける差別化も図れるだろう。

ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
 

フォード エクスプローラースポーツトラック
フォード エクスプローラースポーツトラック ▲水や泥を気にせず、そのままベッド(荷台)に積み込めるタフな使い方を実現
文/古賀貴司(自動車王国)、写真/フォード

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フォード エクスプローラースポーツトラック(2007年6月~2012年12月生産モデル)×全国
古賀貴司(こがたかし)

自動車ライター

古賀貴司(自動車王国)

自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。