うちのアルトラパンはカワイイだけじゃない。ウサギ年女子が選んだちょっと変わったグレード
2025/08/05

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
ミラジーノが本命だったけれど……

カシスピンクパールメタリックの小さなアルトラパンが駐車場にすっと入ってきた瞬間、空気がふわっと明るくなった。運転席から降りてきたのは、笑顔が印象的な石垣結衣さん。
関東在住で保育士として働く彼女は、通勤も買い物も、休日のドライブも、すべてこの1台でこなしているという。

「もう、ラパンちゃんがかわいくてたまらないんです!」と名前を呼んだ愛車に満面の笑み。
大切に乗っているこの車は、2代目アルトラパンの中でも、2013年のマイナーチェンジで登場した「ショコラ」というグレード。当時、グッドデザイン賞を受賞したり、燃費性能も優秀だったが、約2年間しか販売されなかった希少なモデルのため、今でも中古車市場では根強い人気がある。

ただ、彼女が最初からこのラパンを探していたわけではない。
「本当は最初、街中で走るダイハツのミラジーノに一目ぼれして、あちこち探してたんです」
そんなある日、叔母が中古車サイトを見せてくれて、これどう?と差し出したのが、まさにこのラパン ショコラだった。写真を見た瞬間、心を撃ち抜かれた。
「こんなかわいい車があったの!? と衝撃でした」
販売している店舗が遠方だったが、そんなのお構いなし。すぐさまお店へ直行し、その場で瞬く間に購入を決めた。

納車されたのは、まだ免許を取って間もない頃。彼氏と一緒に近所で一日中駐車の練習をしたり、ちょっとした移動でもとにかく運転したりと、ラパンとの日々が始まった。
こすり傷ついてしまったり雪道で横滑りしたりと、初心者ならではのヒヤヒヤな出来事もあったが、すべてが今では大切な思い出。
車を購入して約5年。夜景を見にいったり、お台場まで行ってみたり、人気の場所を決めずに走らせてみたり。岐阜までのロングドライブにも出かけたという。ラパンと一緒に行った場所の数だけ、心のアルバムが増えていく。

「運転席から見る景色って、写真みたいで特別に感じます」
彼女の言葉からドライブがただの移動手段ではなく、時間を味わう貴重なものだと感じられた。
お気に入りポイントを尋ねると、ピンクのボディカラーも、ホイールの色も、丸目ライトも、小回りが利いて運転しやすいところも好きだし、見た目より荷物もたくさん載るんですよ! と、止まらない。
友達4人とドライブしたこともあるし、ラゲージにはいつでも遊べるような小物を忍ばせていたりと、ワクワクが詰まっている。

そんな中でも特に気に入っているのは、車内外に散りばめられたウサギのモチーフだという。
「実は私、卯年なんです。自分もウサギで、この車にもウサギがいて。これはもう運命ですよね」
インテリアを見てみると、自分で集めたウサギグッズが至るところに飾られ、後席にはぬいぐるみがきちんと“着席”している。


そんな大切な愛車だからこそ、日々の手入れも抜かりない。ガソリンスタンドで、手洗い洗車やコーティングを定期的に依頼し、最近ではオールシーズンタイヤにも履き替えた。
発売から10年以上たっているとは思えないほど艶やかで、コンディションは抜群である。

子供の頃からドライブが好きだったという石垣さん。今では自由にハンドルを握り、大切な愛車とどこへでも出かけられる。
「この子と一緒なら、どこまででも行ける気がするんです」
そう言って、彼女はラパンに乗り込み、またひとつ、新しい思い出を積み重ねるために走り出した。

▼検索条件
スズキ アルトラパン(2代目) × ショコラ系グレード
石垣さんのマイカーレビュー
アルトラパン(2代目)
●購入価格/約60万円
●年間走行距離/約5000km
●マイカーの好きなところ/ウサギデザインが散りばめられているところ、シートやインパネなど内装のデザインがおしゃれなところ
●マイカーの愛すべきダメなところ/リアのステッカーがはがれてきちゃった
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/とにかくかわいいものが好きな人!

自動車ジャーナリスト
瀬イオナ
車メディアの雑誌編集部員を経て、2024年にフリーランスとして独立。「走って書ける」自動車ジャーナリストを目指して修行しながら、若手ジャーナリストとして活動中。車業界に入ったきっかけは、某動画で中谷明彦師匠を見つけたこと。現在に至るまで「ドライビング」はもちろん「ジャーナリスト」の心得など業界におけるすべてを教わりながら日々鍛錬中である。趣味はドライブ、レーシングカート、スキー、サウナ。