今や「100万円以下」が当たり前な旧々型(E90型)BMW 3シリーズ。その買い方を考える!
2020/01/23
1年分古くなったのに昨年の総合8位から総合3位にジャンプアップ
カーセンサーだけがもっている膨大なデータをもとにした、毎年好例の中古車注目度&競争率ランキング「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー」。その2019年版で総合3位に付け、輸入車としては第1位に輝いたのは旧々型BMW 3シリーズ(5代目・E90型)でした。
旧々型BMW 3シリーズは最終年式でもすでに9年落ちであり、世代で言うと「2つ前」になってしまったわけですが、依然としてかなり高い人気を誇っている理由は、
●比較的手頃なサイズで
●相場的にもお手頃で
●それでいて高級感は十分以上で
●BMWならではのシャープな走行性能を堪能できる
ということなのでしょう。上記のような車って他にもありそうで、実はあまりないですから、今なお高いその人気にも納得です。
ということで、これから旧々型BMW 3シリーズを買ってみたいという方に向けて「結論としてどの年式のどんなグレードを、いくらぐらいで買えばいいのか?」という部分をズバリ解説したいと思います。
今や全体の約9割がU-100万円。U-50万円も多数!
まずは現時点における旧々型BMW 3シリーズの分布状況を把握してみましょう。
2020年1月中旬現在、旧々型BMW 3シリーズの流通台数は全国で378台。それをグレードごと、あるいは価格帯ごとに細分化してみます。まずはグレード別の流通台数です。
●320i系|257台(68%)
●323i系|63台(17%)
●325i系|31台(8%)
●330i系|7台(2%)
●335i系|20台(5%)
現在流通している旧々型3シリーズの約7割はベーシックな2L直4エンジンを積む320iとその派生グレードで、2.5L以上の直6エンジンを積んでいるグレードは少なめです。
同じ2.5Lでも325iより出力を抑えている323i(※前期型のみに存在)はそれなりの数がありますが、それ以外の6気筒系は希少、特に3L直6の330iはかなり希少だと言えます。
お次は価格帯別の数字を見てみましょう。なお、本当なら「支払総額」で物事を考えたいところですが、総額表示がされていない物件も一部にあるため、下記はすみませんが「車両本体価格」で調査しています。
●50万円以下|171台(45%)
●50万~100万円|161台(43%)
●100万~150万円|34台(9%)
●150万円~|9台(2%)
●価格応談|3台(1%)
昨年の同時期に行った調査では150万円以上の個体もけっこう多かった旧々型BMW 3シリーズですが、その後の1年間で格安化が進んだ模様。最多の価格帯はなんとアンダー50万円で、次点がアンダー100万円。車両価格100万円以下の物件だけで全体の9割近くを占めるという状況になっています。
以上2種類の数字から言えることは、下記のとおりとなるはずです。
「旧々型BMW 3シリーズは今、アンダー100万円級の予算で320iを探す時代になった」
もちろん100万円以上の個体や320i以外のグレードを探すのもOKなのですが、基本的には「最もホットなゾーンの中でなるべく数多くの個体を見比べて、なるべく良好な個体を選び出す」というのが、中古車を買う場合の得策です。
それゆえ、以降は「車両価格U-100万円級の320i系」に絞って話を進めていきます。
U-50万円級はグレードや走行距離にとらわれず「内容重視」で
では最初に「U-50万円級旧々型3シリーズ」の選び方について考えます。
これはですね、いきなり結論になりますが「グレードや走行距離にはこだわらず、とにかく現状のコンディションとそれまでの整備履歴にだけこだわる」というのがベストです。
ある程度高年式でお高い中古車の場合は、もちろん新車のようにグレードにはこだわりたいですし、走行距離も短めのモノを選ぶに越したことはありません。
しかし、U-50万円級の旧々型3シリーズというのは10年落ちまたは10年落ち以上となるのが普通ですので、グレードにこだわる意味はないというか、そこにこだわるのはむしろ逆効果だったりもします。
つまり「ボロボロの上級グレードより、しっかり手入れされてきた廉価グレードの方がよっぽど気持ち良く乗れる」ということです。
また走行距離も、この価格帯においては「最重要指標」ではありません。もちろん傾向として「走行距離短めの個体の方が何かとコンディションがいい」というのはあるのですが、それはあくまで傾向であって「絶対」ではないのです。
人間の顔やお肌も、中年になってくると「日頃のお手入れ」によってかなりの個人差が生じるのと同様に、中古車も10年落ちクラスになると「それまでの使われ方」こそが大きな差を生みます。
すなわち、「乱暴に扱われ、ろくに点検もされてこなかった走行5万kmの個体より、乗り方も点検&整備もとにかく丁寧だった10万km車の方が状態がいい」なんていうのはザラにあることなんです。
よって、U-50万円級予算で旧々型BMW 3シリーズを探す場合の基本姿勢は下記のとおりとなります。
1. グレードは何でもOK
2. 走行距離も基本的には不問
3. 内外装に荒っぽく扱われた痕跡がない個体を探す
4. 車内に嫌なにおいがこもっていない個体を探す
5. 最低でも2年に1回の整備記録が残っている個体を探す
6. できれば5の中でも「部品交換」の履歴が多めの個体を選ぶ
7. さらにできれば、ウォーターポンプなどがなるべく最近交換されている個体を探す
8. 可能であれば試乗し、足回りからコトコトという音などが出ていないか、その他違和感がないかを確認する
上記の3と4は「車を雑に扱う人」の痕跡が現れやすい部分で、5と6は逆に「ちゃんとしてる人」の特徴が現れやすい部分です。
▼検索条件
BMW 3シリーズ(2005年4月~2011年12月生産モデル)×総額50万円以下×320i×全国U-100万円級は「後期型」と「装備」にこだわりたい
次に「50万~100万円級旧々型3シリーズ」について考えます。具体的には、車両価格60万~90万円ぐらいの320i系を探す場合のコツのようなものです。
ここでも基本的にはU-50万円級の場合と同じ、つまり「グレードや距離よりも現状のコンディションとそれまでの整備履歴を重視する」というのは同じなんですが、それに加えて、総額で100万円近い予算を投じるのですから「後期型」にこだわるのもいいかもしれません。
旧々型BMW 3シリーズは2008年11月にマイナーチェンジを行っていて、それ以降の世代は俗に後期型と呼ばれています。後期型の特徴は、
●前後バンパーやライトのデザインなどを変更
●ボンネットに2本のプレスラインを追加
●新型のiDriveを採用し、8.8インチのワイドディスプレイも高解像度に
●追突時に乗員の頭部ダメージを軽減する「アクティブヘッドレスト」を標準装備
あたりが主なポイントです。走行5万km前後の後期型320iはおおむね車両70万円/支払総額90万円ぐらいで探せるはずですので、現状の内外装コンディションが良好で、なおかつ整備履歴がしっかりしているのであれば、なかなか悪くない選択となるはずです。
▼検索条件
BMW 3シリーズ(2005年4月~2011年12月生産モデル)×総額50~100万円以下×320i×全国▼検索条件
BMW 3シリーズ(2008年11月~2011年12月生産モデル)×総額50~100万円以下×320i×全国総額で90万円ほども投じるのであれば「パッケージオプション」にもこだわりたいところ。この価格帯で狙える代表的なパッケージオプションのひとつは「Mスポーツパッケージ」で、これは専用の前後バンパーやサイドスカート、17インチホーイル、専用サスペンションなどがパッケージ装着されたもの。スポーティな雰囲気を好む人にオススメです。
もうひとつの「ハイラインパッケージ」は、いわゆるゴージャス系の雰囲気を好む人にオススメのパッケージオプション。具体的には本革パワーシートとウッドパネル、マルチファンクションスイッチ付きの本革巻きステアリングなどが標準で装備されています。もしもレザーシートの劣化が少なければ、お買い得な選択肢となるでしょう。
またその他、2010年5月以降の「最終型」も、U-100万円級の予算で探すことができます。この最終型というのは320iのエンジンが直噴方式に変更され、出力とトルクが約10%アップしたにも関わらず、燃費は約45%向上しています。繰り返し述べてきたとおりの「現状のコンディションと整備履歴」に不足がない最終型をこの価格帯で見つけられたなら、もちろんオススメとなる選択肢です。
▼検索条件
BMW 3シリーズ(2010年5月~2011年12月生産モデル)×総額50~100万円以下×320i×全国まだまだ豊富に流通している旧々型BMW 3シリーズですが、ここ1年間の相場下落っぷりから考えると、そろそろ「ラストチャンスは近い」と言えるタイミングなのかもしれません。
もちろんまだまだ本当のラストではないので安っぽくあおるつもりはないのですが、「コンディションが良いモノを手頃な予算で探す」という部分においては、もうそろそろラストタイミングなのかな? とも思うわけです。
無理に焦る必要はありませんが、かといってあまりのんびりもせず、ナイスな旧々型BMW 3シリーズをカーセンサーnetで探し始めていただけましたら幸いです。
▼検索条件
BMW 3シリーズ(2005年4月~2011年12月生産モデル)×全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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