マツダ トリビュート ▲今回、紹介するのは2000年10月に登場したマツダ トリビュート

マツダとフォードの共同作

マツダとフォードは1979年から資本提携を結んでいた。だが、日本の消費者にこれといって分かるようなつながりはほぼ見えなかった。

おそらくフォードとのつながりを最も感じさせたのは、1996年にフォード出身のヘンリー・ウォレス氏がマツダの社長に就任したときではないだろうか?

1999年の東京モーターショーでは「アクティブビークル」という名称のコンセプトカーが披露された。この頃、日本ではコンパクトカーブームと相まって、いわゆる“都会派SUV”が人気を博していた。

トヨタはRAV4を、ホンダはCR-Vを、日産はエクストレイルと熾烈な販売競争を繰り広げていた。そんな中、マツダはアクティブビークルを「トリビュート」として2000年から市販した。

トリビュートは親会社であるフォードと本格的な共同開発された車だった。これまで、両社のつながりといえば、OEM供給の関係が主だった。

トリビュートに用いられるパーツの半分は日本以外から輸入されていた。右ハンドル車は広島にあるマツダの工場で、左ハンドル車はアメリカのフォードの工場で生産された。

なお、フォードからは「エスケープ」というモデル名で販売された。ただし、共有していたボディパネルはルーフとフロアのみ、というこだわりぶり。

共同開発、共同生産、世界展開、と資本提携がもたらす成功例のモデルケースのようなものだった。
 

マツダ トリビュート ▲エクステリアは「コントラスト イン ハーモニー」をテーマに、力強い前後のフレアフェンダーなどで、街中でも自然の中でも際立つデザインを採用

マツダらしいロールの少ない走り

プラットフォームはマツダの乗用車のものをベースに、フォードが新規開発。エンジンはフォード製の2L直4(最大出力129ps)と3L V6(最大出力203ps)だったが、マイナーチェンジにおいて直4エンジンは排気量2.3Lのマツダ製(最大出力157ps)のものへと置き換えられた。組み合わせられたトランスミッションは、4速ATのみだった。

FFの他、ロータリー・ブレード・カップリングを用いた、トルク配分型のフルタイム4WDを選ぶことができた。また、この4WDシステムは、ダッシュボードに配されたロックスイッチで前後輪のトルク配分を50:50に固定することもできた。

サスペンションはマクファーソンストラットがフロントに、マルチリンク式がリアに採用された。

安全装備は全車に運転席/助手席エアバッグ、電子制御制動力配分システム付きABS、プレテンショナー&ロードリミッター付きシートベルトを標準装備していた。

この手のSUVとしては、珍しいほどステアリング操作に対してクイックに反応し、ワインディング走行におけるロールも少なかった。これが“マツダらしさ”だったのだろう。
 

マツダ トリビュート ▲インパネまわりは乗用車を意識した造形を採用
マツダ トリビュート ▲リアシートは6:4の分割可倒式(中) 後方スペースに余裕のないときに重宝するガラスハッチも備えている

平均中古車価格はたったの35万円!

デビュー時、“道具として使い倒せる!”みたいなことが言われていたが新車時価格は約200万円~、であった。そう考えると、17万9000円(2019年11月21日執筆時点)からでも買える今こそが、道具として買い求めるタイミグのように思える。

たったの11台しかカーセンサーnetに掲載されておらず、平均中古車価格はたったの35万円。もちろん、年式や走行距離によってバラツキはあるが、安値安定しているのは間違いない。

遊びの車として、徹底的に使い倒しても金額的に気にならないのではないだろうか?

ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
 

マツダ トリビュート
文/古賀貴司(自動車王国)、写真/マツダ

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マツダ トリビュート(2000年10月~2005年10月生産モデル)×全国
古賀貴司(こがたかし)

自動車ライター

古賀貴司(自動車王国)

自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。